【大学受験】数学を楽しく学ぶには 〜興味とモチベーション〜
前回の記事で、2点ほど後回しにした議題がありました。
今日は、それらについて考えていきたいと思います。
数学に興味を持つには
数学がそこそこ得意な人でも、数学自体にはさほど興味を持っていないことが多いです。
それでも良い点を取れるのは、その人の努力の賜物です。
数学は積み重ねの教科なので、日々の授業で先生の話をちゃんと聞いて、定期テスト前にちゃんと問題演習して、分からないところは個別で先生に聞きにいく。
そういう習慣を中高続けていれば、受験数学でも解ける力は普通に付いていきます。
では、途中サボっちゃったとか、途中でついていけなくなっちゃったとかいう人は、どう挽回しましょうか?
そこで、もう無理やりにでもまず興味を持ってみようよ、ということです。
これは、僕が家庭教師で基礎がなっていない生徒を受け持った時に、最初に言う言葉です。
数学だけでなく、物理・化学を教える時でも使います。
多くの場合、生徒の反応はあまり良くないことが多いですが、ハマった時はそれなりの効果があるように感じています。
さて、具体的にどう考えたら数学が面白く感じるんでしょうか?
まずは、苦手だという意識をできる限り遠くにやってほしいと思います。
あなたが数学できないのは、単にやってこなかったからです。
なので、"わからない"というのを前提に、数1の最初から学び直せば良いのです。
いきなりチャート式を解くなどをしないで、 読み物系の参考書で、各単元で習得すべき事項をまず整理しましょう。
その際、できれば全範囲の流れも知ると良いと思います。
各科目一言ずつ言うと…
数1は、中学数学と高校数学の橋渡し。
数2は、高校数学のツール集め。
数3は、そのツールを使って応用(微積)する。
というニュアンスでよろしいかと思います。
この流れを意識するのも、意外と有効です。
あと、数ある読み物系の参考書の中でも、できるだけ雑学的なコラム的な記載が多いものを選ぶと良いです。
例えば、本質の研究数学III・C〈行列・曲線〉―Lectures on mathematicsは、内容は難しめなので初学者にはオススメできませんが、非常に勉強になるし読んでて面白いです。
とにかく、数学は難しい!ムリ(>_<) と思わず、一単元一単元「ヘぇ〜、そうなんだー」と感心し、新しい解法を知った時は「すげぇ!頭いいなこいつ(解答)!」と感情を伴って理解すると、より頭に残ります。
それでも、復習しないと忘れちゃいますけどね(^_^;
というわけで、そろそろまとめますと、僕が言いたかったことは…
・せっかくやるなら、まず興味を持とう!
・わからないのは当たり前。一歩ずつ進もう!
・無理やりにでも感情を伴って学習しよう!
てな感じになりますね。
もしよかったら実践してみてください^_^
数学に対するモチベーションを高めるには
例え話ですが、サッカー選手に憧れている少年は、コーンの間をドリブルするなど日々の基礎練を黙々とこなしますよね。
また、ピアニストに憧れる少女は、日々ピアノと向き合うことでしょう。
彼らは、まずその道のプロの凄さを知って、それから好きになって、好きだから続けられるわけですよね。
この点、勉強は難しいです。
プロの数学者のプレーを見る機会なんてまずあないですから、そもそも感化されることがないんですよね。
でも、数学やらなきゃ志望校には合格できない。
なので、もし近くに尊敬する数学講師がいれば、その人の話(授業)をいっぱい聞いてモチベーションを高めましょう。
尊敬する同級生とかでもいいですね。
そういう人がいなかったら、一例ですが一度『月刊 大学への数学』を読んで見ることをオススメします。
内容はサッパリでもいいです、数式ではなく書いてある日本語を読んでください。
本物が発する言葉がそこには載ってますので。
あと、ある問題に対して公募形式で高校生の答案が載ってたりするので、それもすごく刺激になります。
スポーツで例えるならば、全国大会を観ているようなものですね。
そうやって、「自分もこういう風になりたい!」というような憧れのような感情を抱くと、自ずとモチベーションが上がっていくことでしょう。
一つ気をつけないといけないのは、逆にやる気を下げてしまう可能性です。
さすがだなーと思うと同時に、自分と彼らは違うんだ、初めからモノが違う。とつい考えてしまったりします。
それで、どうせ自分には無理だ…と。
まあ確かにそうなんですが、それは部活サッカーやってて全国大会をテレビで観てやる気なくすようなものなので、極力やめましょう。
と、『大学への数学』を読むのはあくまで一例ですが、何かしらの方法で"本物"に触れると良い刺激になることでしょう。
…以上、「数学に興味を持つには」「数学に対するモチベーションを高めるには」について、僕の考えを述べていきました!
正直理想論だし、賛同できないところもあるかもしれないですが、これを読んで少しでも「自分も数学できるかも」と、ポジティブに捉えていただけたら嬉しいです^_^
それでは、受験生の方々、勉強頑張ってください!
【数弱克服】MAX偏差値87が考える数学が苦手な人向けの数学の勉強法③ 〜例示は理解の試金石〜
前回の記事で、数弱克服の課題は…
良問を解ける数学力をつけること
でしたね。
では、具体的にどう勉強したら良いでしょうか?
その道筋を、いくつかのステップに分けて説明していきたいと思います。
ちょっと変わった思考をしますが、最も低いステップから順に上がっていくのではなくて、逆算的に考えて最もゴールに近いところから下がっていくように話を進めていきますね。
つまり、数学レベルとしては
高 ➡︎ … ➡︎ 低
という順番になります。
- ①良問が解けそうで解けないレベル
- ②問題集の例題は大体解けるけど、入試問題になるとなかなかできないレベル
- ③基本問題が解けたり解けなかったりするレベル
- ④高校数学ちょっとイミフなレベル
- ⑤数学なんてシラネというレベル
- ⑥数学?何それおいしいの?というレベル
- まとめ
①良問が解けそうで解けないレベル
この段階の方は、是非諦めないで問題に当たってほしいです。
やはり、"みんなができないような難しい問題を解けた"という経験に勝るものはありませんからね。
きっと、解けるはずの実力はついてるはずなのに、今までの癖で諦めちゃっているんだけなんですよ。
あと一歩なんです!!
ちょっと唸って、ちょっとゆっくり考えて、ときには時間を気にせず一つの問題に立ち向かってみてください。
確かに今解いてる一問はできないかもしれない、でもそれを繰り返していけばいつか解ける瞬間がやってきます。
そうしたら、数弱から完全卒業です。
②問題集の例題は大体解けるけど、入試問題になるとなかなかできないレベル
ここに属する方々は、"数学の面白さがわならない"中で最も高いレベルにいる人たちなのです!
そして他人からは、"なかなか応用ができないね"と言われるタイプですね。
でもおそらくこれ、半分思い込みです。
自分が「どうせできない」と思ってるから、本当にできないんです。
現に、こういう方にヒアリングすると、多くの方は"ある"勘違いをしてます。
それは…
数学ができる人は、こんな難しい問題でもきっとすぐひらめいて、パパッと解けちゃうんだ
という勘違いです。
実は、数学が得意な人でも、難しい問題を解く際は案外、四苦八苦しています。
あーでもない、こーでもない… あ、こうやったら上手くいくんじゃ! …いやーだめだ違う、早とちりだった。ん?まてよ… お、おーなるほどぉ、こうすればできるんだな!
的な、大体こんな感じの思考になっています。
…そう、常に試行錯誤なのです。
問題文眺めているだけでは何も始まらないので、手(ペン)を動かしていろいろ実験しているわけですね。
僕が好きな本の数学ガールというお話の中で、かなりの頻度で次のフレーズが登場します。
例示は理解の試金石
この言葉を胸に刻んで、どうせできないと思って手を止めず、「例えばn=1の時はどうなのだろう?」など例示をして見てください。
きっと、何か発見があるはずです。
③基本問題が解けたり解けなかったりするレベル
残念ながら、このレベルを超えるのが最も長く、最も険しい道になるはずです。
英語でいえば、英単語の暗記みたいなものですかね。
「数学は暗記だ」説が支持されるのも、このレベルを乗り越えるための言論の一つだからでしょう。
…つまり、やはりある程度は、解き方を"覚える"しかありません。
この作業をしている時は、全然数学の面白味がわからないのでしんどいですが、でもやっぱりやるしかないです。
こういう時、『モチベーション』というのが非常に大事ですね。
数学に対してこの『モチベーション』をどうやって高めようか?というのとは、なかなか難題です。
それについて述べると長くなるので、次回別個の記事でお話します。
…話は戻って、どうやって解法を蓄積していくか?ですが、いろいろ方法論があるかと思います。
ここでは一つ紹介しますね。
その方法は…
一問5分以内で考える
です。
ある問題を見て、5分以内に解法が思いつけば実際に解いてみる。途中で詰まったらその時点で解説を読む。もし5分経っても分からなければ、すぐ解説を読みます。
一問あたり考える時間は5分以内!
それでサクサク問題演習を積みます。
ここを乗り越えれば、数学の全体像が掴めて、とても気が楽になると思いますよ。
④高校数学ちょっとイミフなレベル
高校に入って数学落ちこぼれた、とか。
高校数学から急に難しくてついていけなかった、とか。
よくありますよね。
そういう方は、理想を言えばまず優秀な個別講師を付けるべきです。
でも普通、それは難しいので、やはり自力で勉強する必要があります。
そういう時は、まずは数学に興味を持ちましょう。
「いやいや、数学嫌いだから。そんなん無理だし。」
という声が聞こえてきそうです。
…お気持ちはわかります。僕も国語特に現代文が苦手だったので、「本読め!」と言われるの嫌だったですもの。
でもあなたは、医師になりたいとか、諸事情により理系を選択したんですよね?
理系に進んだからには、数学からは逃れられない。
だったら、せっかくなら楽しんでやろうぜ?という提案です。
同じ"やる"なら、興味を持った方が断然ラクだし効率いいです。
しかも、マンガ・ゲームにハマっても親に怒られるだけだったのに、数学にハマれば大人は褒めてくれます。
一石二鳥ですよ。
というわけで、嫌いだけど数学に興味を持つ、というところから始めましょう。
それで、どうしたら興味を持てるか?という事になりますが、これもなかなか単純な話ではないので、こちらも次回に回します。
⑤数学なんてシラネというレベル
ここまでくると、現実はなかなか厳しいです。
けど、これから2年くらいかけて頑張っていこう!という気概があるならば、まずは中学数学からやり直してみましょう。
全範囲丁寧にやり直す必要はないですが…
・四則演算など基本的な計算の速さと精度を高める
・因数分解を完璧にする
・連立方程式、二次方程式をスムーズに解けるようにする
・比例、反比例、二次関数のグラフが書ける
あたりを重点的に復習したら良いかと思います。
この中に図形関係がないのは、中学の図形問題は案外難しく、高校数学とはちょっと毛色が違うからです。
平方根とか確率も数ⅠAとオーバーラップするので、飛ばしてもOKでしょう。
⑥数学?何それおいしいの?というレベル
このレベルではさすがに…
理系をやめるか、数学を使わなくても受験できる大学(帝京医)を受けるしかなさそうですね(^o^;
【数弱克服】MAX偏差値87が考える数学が苦手な人向けの数学の勉強法② 〜良問とは何か〜
どうもこんにちは、タマころです。
前回の記事では、結局数学が得意な人と苦手な人の違いは、質の高い演習量の差だと結論づけました。
これ自体は、至極当たり前なことだと思います。
でもなんでこんなにも遠回りして?と思われるかもしれません。
経験談持ち出してひと記事まるまる使って。
それは、モノを論じるというのはまず明確な「テーマ」があって、そのテーマを解決する術を論理的に掘り下げていくという作業になるので、前回はその導入をしたのです。
つまり、このシリーズのテーマは
どうやったら、数学嫌いな人が良質な演習を多くできるのか?
ということになります!
予め言っておきますが、これから話す事はあくまで方法論の一つなので、それが全てではありません。
…ではまず、「良質な演習」って一体なんでしょうか?
言葉をちょっと言い換えると
良質な演習=良質な問題を解く
ですね。
では、「良質な問題」とは?
これは、諸説あるかもしれませんが、僕は"類題経験が必須でない かつ 膨大な計算量を要求しない適度な難問"だと思っています。
これ即ち、『良問』ですね。
ちょっと"類題経験が必須でない"という表現が誤解を生みそうなので補足。
ここでいう"類題経験が必須"とは、出題率が非常に低いにも関わらず「これ絶対似た問題を一度解いた事ないと思いつかないだろ」というものを指します。
あとポイントは、やはりある程度難しさも必要だということですね。
イージー過ぎる問題は、残念ながら良問とはなかなか呼べません…
何を持って難問と言うかは、これも悩ましいのですが、まあ偏差値60〜65の人の半分が解けるくらいでしょうかね。
もしくは東大数学でいえば予備校評価の"やや易"程度かな。
たまに、チャートの章末問題の出典に「東大」とかあるじゃないですか、まああれは東大の中ではイージーだったりするわけですが、良問と呼ぶにはそれくらいのレベルは必要かなぁと、個人的には思います。
ということで、当記事で暫定的に僕が定めた『良問』がどんなものか、お分かりいただけたかと思います。
これには賛否両論あるかと思いますが、ひとまずこの定義を基に議論を進めますね。
…てなわけで、元も子もないことを言ってしまうと、
良問を解けるようになるレベルに達していれば、あとは量をこなせば数学の成績は勝手に上がっていくわけです。
だから、数弱克服の課題は
「良問を解ける数学力をつける」
ということになりそうです。
もちろん、ここで一つ分かれ道があります。
「そんな難しい問題が出る大学受けないし、数学嫌いだからひたすらチャート解いて解法暗記するわ!」
というルートです。
断固としてこちらのルートで行くと心に決めている方は、この先読んでもあまり参考にならないでしょう。
…では、良問を解ける数学力をどうやってつけていこうか、という辺りの話を次回していきたいと思います!
短めですが今日はこの辺で。
あけましておめでとうございます
あけましておめでとうございます!
本年もよろしくお願いいたします。
ブログをはじめて、2ヶ月弱。
スタイルもだんだん安定してきて、はじめに比べれば読みやすいものになってるかなぁと勝手に思ってます。
記事数も大切ですが、コンテンツにこだわってこれからも頑張っていきたいです。
今年の目標は…
①まずブログを続けること
②Google検索で「医学部 編入 ブログ」と打てば、1ページ目に出てくるようになる
ですかね。
あとプライベートでは、来年度は6年生になるので勉強頑張りたいです笑
今後の予定としては、近いうちに生命科学の講義形式を長期シリーズ化してやっていくつもりです。
タイミングとしては、1月中にはスタートして、次の編入シーズンに十分に間に合うように、G.W.までには終わらせられるように考えています。
まあ、合間にはちょこちょこネタ的な記事も挟んでいきたいですね。
いずれにせよ、あまり考えすぎないよう気楽にやっていきます。
今後とも、タマころのブログをよろしくお願いします^_^
【数弱克服】MAX偏差値87が考える数学が苦手な人向けの数学の勉強法① 〜タマころの数学史〜
どうもこんにちは、タマころです。
数学って、得意不得意がすごく分かれますよね。
僕も家庭教師とかやってたりして、数学を伸ばすのが一番難しいなぁと感じています。
でも理系の受験、特に医学部受験においては、数学ができるとできないとでは、全体の勉強量が大幅に変わりますよね!
というわけで、数学が苦手だなーと感じている人向けに、ちょっと数学の勉強法について考えていきたいと思います^_^
まず第一回目の今回は、導入ということで僕の経験談をメインに話させていただきます。
どうして、数学が得意教科になったのか?
その前に、タイトルにある偏差値87というのが一応本当であることをお示ししときますね。
写真がかなりブレてて非常に見づらいんですが…
これは、高3の駿台大学別実戦模試の結果です。
どこの大学かは、一応伏せときます。
数学の偏差値を見ると、なんとか87.8と書いてあるのが読めますね。
…それで、まず僕が中学生の頃まで遡りますが、当時は数学が得意だという意識はありませんでした。(参考までに、中学受験時の算数の偏差値は50前後でした)
可もなく不可もなく、ただ学校で習ったことを勉強してましたね。
それが、あるとき一つ目の転機が訪れました。
中3くらいだったかと思います。
学校で一番成績の良かった友達から、「微分積分って知ってる?」と声を掛けられました。
もちろん、その時僕は知りませんでした。
彼は言いました。
「微分って言うのを使うと、二次関数の接線が一瞬で求められるんだよ」
当時、ちょうど数1の二次関数をやっていて(中高一貫だったため、中学数学は中3の途中で終わってすでに高校数学に入っていた)、面倒くさい接線の求め方を習ったばかりでした。
その方法を、彼は教室の黒板を使って説明してくれました。
僕は、よくわからないけど、これは確かにすごい!と感じて、家に帰ってひとまず微積の入門書を読んでみることにしました。
当時の僕には難しかったですが、本当に易しく書いてある本だったので、なんとか理解することができました。
そしてその後、その友人と、お互い学んだことを議論し合う、ということを度々行いました。
この一件は、学校での勉強を自主的に学んだ初めての経験になりました。
その甲斐もあって、大して得意でなかった数学の成績は、高校1,2のとき模試を受ければ偏差値65程度は取れるようになってました。
ただ、"得意科目"というにはまだ物足りない感じはしていました。
そして高2の冬、二度目の転機が訪れました。
DQNだけどすごく仲の良かったある友人と、本屋で参考書漁りをしていたところ、『月刊 大学への数学』という本が目に留まりました。
僕は、この本の存在は知っていましたが、僕には縁の無いものだと思っていました。
レベルが違いすぎて。
でも、一緒にいた友人が「買ってみたらー」と、軽い気持ちで勧めてきました。
僕は、まあ難すぎて意味ないっしょ、とか思いながら、たしかその時3月号だったかを購入しました。
僕は家に帰ってその本を開いてみました。
そしたら、数学の問題だらけだと思ってたらそんなことなくて、意外と読み物系が多く、楽しく読み進めることができたのです。
"ある程度のレベルに達していれば"という条件つきなのでしょうが、目からウロコな、知らなかった解法とかアプローチの仕方が書いてあって、おお!という気持ちになりました。
高3になってからは、巻末の「学力コンテスト」というのを解き始めました。
学力コンテストというのは、毎月6題あって、問題の下にある余白に直接解答を書き込めて、それを郵送すると採点されて帰ってくるというものです。
さらに、成績優秀者は翌々月号で名前が載ります。
こうなってくると、燃えてきますね。
この時の感覚としては、テレビゲームをやってるのとほとんど同じ感覚でした。
ゲームと違ったのは、やればやるほど大人が褒めてくれるところ。
みんなが解けない問題を、自分は解ける。
と同時に、世の中には、自分がどう足掻いても思いつかない解法で、エレガントに解いてくる輩もいる。
ある種、スポーツをやっている状況にも似ていたかもしれません。
とにかく、目の前の強い敵(難易度の高い問題)を倒す。倒せなかったら倒せるようになるために練習(演習)する。
そういう日々を送るようになりました。
その結果、模試では偏差値75くらいがアベレージになり、良い時は偏差値80を超えるようになりました。
…てなわけで、そろそろ締めに入りますが、この記事で僕の経験談を通して言いたかったことは、数学が得意な人と苦手な人で何が一番違うのか、ということです。
それは、ありきたりですがやはり演習量の差です。しかも良質な。
全員がそういうわけではないでしょうが、得意な人というのは概して、ただ強い敵を倒す快感を得たい、という動機付けがあって、結果多くの演習量をこなしていることになります。
これは例えば、義務感で「よし、黄チャート2周するぞ!」というように考えてる人ではなかなか達せない境地かと思います。
さて、次回からは、苦手意識を感じている人がどうやって質の高い演習量を増やすか?というのを一つの軸にして、話を進めて参りたいと思います。
では、今日はこの辺で。
【易しい解説】天然高分子化合物をマスターしよう④ 〜核酸〜
どうもこんにちは、タマころです。
久々の更新になってしまいました(^_^;
これで高分子化合物シリーズが終わるので、今後はまた更新のペースを上げていきたいですね。
目標は二日に一記事!
↓高分子シリーズこれまでの記事↓
tamakoro.hatenablog.jptamakoro.hatenablog.jptamakoro.hatenablog.jp
さて、ラストの単元は「核酸」
いやー、この単元は旧課程時代から存在はしたけど、当時は選択分野だったこともあって、実は僕入試で解いた経験は一度もないんですよね…
模試でも出題された記憶はありません。
昔はそれくらいレアな単元だったんですよね。
で・す・が
このたび新課程になってから、おそらく出題頻度は高くなります!
その根拠は、核酸分野があの"センター試験"で出題されたからです!!
去年のセンター試験最後の設問、こんな問題でした。
というわけで、今後各大学での個別試験でもそれなりの頻度で出題されることが予想されますね。
…さて、それでは解説に入りますが、まず核酸って何でしょうか?
答えは、ざっくり言えば「細胞の核内に存在する酸性物質」ですね。
もともとは、核内に"リン"を多く含む未知の物質があるとして、スイスのフリードリヒ・ミーシャという方が「ヌクレイン」と命名したのがはじまりのようです。
ヌクレインという言葉は知らなくて良いです。
では、核酸の構造を細かく見ていきましょう。
(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/核酸)
wikipediaより引用しましたが、この図はいい具合に端折られてかつ炭素の番号がハイライトされてて、理解するには非常にいいですね。
具体的に見ていくと、真ん中が糖で、左にリン酸基、右に塩基(bace)が付いている構造になっています。
つまり、リン酸・糖・塩基の3つの構造が合わさっているわけですね。
そして、これらをひっくるめて、核酸の一単位を「ヌクレオチド」と呼びます。
もっと噛み砕いた図でみると…
(http://www.mogella.com/dendo/col/index.php?eid=101)
こういうイメージになります。
ここでポイントは2点あって、一つは糖が五炭糖(ペントース)であること、もう一つは塩基には5種類あるということです。
ヌクレオチド内にあるこの五炭糖のことを、「リボース」もしくは「デオキシリボース」といいます。
ちなみに上のwikipedia引用の図は、リボースですね。
この2番目の炭素についているOHがHになると、デオキシリボースになります。
リボースの酸素が一つ外れる=デオキシリボース
というわけですね。
そして、塩基の種類についてですが、
アデニン(A)
グアニン(G)
シトシン(C)
チミン(T)
ウラシル(U)
の5つがあります。
そして、AとT(またはU)、GとCがペアになります。
ウラシルはDNAでは登場せず、RNAでチミンの代わりをします。
(http://www.mogella.com/dendo/col/index.php?eid=101)
さらに、高校化学としてはこの一歩先が大事です。
キーワードは、水素結合です。
結論を言えば、AとTの結合は2個の、GとCの結合は3個の水素結合が存在します。
まあ、細かい構造上のことは一度資料集でもご覧になって確認してもらって、とにかく個数だけでも覚えてください。
覚え方は…あの、野球知ってる人は、G.G.佐藤って選手いたじゃないですか?落球で有名の。
それに掛けて G-C 3個 とかどうでしょうか?
つまらんシャレ言ってスミマセン(^_^;
まあこれで、核酸の基本は押さえたことになるかと思います。
あと残すは、ヌクレオチド同士の結合についてですね。
ヌクレオチド同士は、リン酸基のOHと糖の3番の炭素に付いてるOHとが、縮合重合することで連なります。
大事なところは、炭素の番号ですね。
もう一度、ウィキから引用の図を貼ります。
この図の通り、リン酸基が付いてる炭素は5番なので、「5番と3番が結合する」ことになります。
そして、この結合は当然非対称にあるため、5番の方向を5'側、3番の方向を3'側というように名付けます。
ここまで知っていれば、だいたいどんな問題が来ても大丈夫でしょう。
もっと詳しく学びたい方は、生物の図説を読むことをオススメいたします。
…というわけで、核酸のお話は以上になります。
天然高分子化合物シリーズはこれにて終了。
後半だいぶ筆が重くなってしまいましたが、なんとかやり切れて良かったです。
少しでも読んでくれた皆さんの勉強の参考になったら嬉しいです^_^
そして、次回からはちょっと数学の話をしたいと思います。
それでは、また!
【易しい解説】天然高分子化合物をマスターしよう③ 〜タンパク質〜
どうもこんにちは、タマころです。
天然高分子化合物シリーズ第3弾タンパク質です。
↓第1弾・第2弾の記事はコチラ↓
tamakoro.hatenablog.jptamakoro.hatenablog.jp
いきなりですが、「タンパク質ってなんですか?」と聞かれたらどう答えますか。
「お肉にたくさん含まれているもの」とか?
確かに、人間の三大栄養素の一つに挙げられていて、一つの正解だと思います。
ではなぜ、タンパク質はお肉にたくさん含まれているのでしょう?
それは、お肉は細胞の塊で、その細胞の中にはたくさんタンパク質がいるからですね。
つまり、逆に言えば、細胞が生きていくためにはタンパク質が必要なわけです。
ちょっと話は変わって、古い学説ですが「一遺伝子一酵素説」なるものがあります。
これは、一つの遺伝子は一つの酵素(タンパク質)をコードしているという説です。
この説には例外があったり全部が正しいわけではありませんが、概ねそういうことになっていて、じゃあ遺伝子って人間はいくつ持っているのでしょうか?
Wikipediaによると、2004年の段階で約2万2000個との事です。
となると、ざっくり言って、タンパク質もそれと同じくらい存在することになるわけですね。
もちろん、一つの細胞で全ての遺伝子が発現しているわけではないので、実際に細胞内にあるタンパク質の種類はずっと少ないですが、お肉にタンパク質が豊富なのはよく分かっていただけたかと思います。
…では、高校化学で必要なタンパク質の知識について整理していきましょう!
ペプチド結合
大事なことをまだ言ってませんでしたが、タンパク質の正体は、アミノ酸が連なったものです。
アミノ酸とアミノ酸は、それぞれのアミノ基とカルボキシル基が脱水反応して結合します。
この結合を、一般的には「アミド結合」と言ったりするんですが、今回のようなアミノ酸同士の場合を特別に「ペプチド結合」と呼びます。
(https://ja.m.wikibooks.org/wiki/高等学校化学Ⅱ/糖類とタンパク質)
それで、ペプチド結合で繋がったこの化合物のことを「ペプチド」と言います。そのまんまですね。
アミノ酸2つだったらジペプチド、3つだったらトリペプチドという具合です。
アミノ酸がいっぱい連なったら、それは「ポリペプチド」と呼びます。
そして、何を隠そうこのポリペプチドがすなわち「タンパク質」なわけですね!(全くの同義ではない)
タンパク質の高次構造
タンパク質は20種類のアミノ酸が何千何万と連なったもので、その組み合わせは天文学的な数字になります。
そして、各タンパク質はそれぞれ特有の立体構造をとります。
しかし、その立体構造というのは、非常に複雑なものになります。
そういうわけで、タンパク質では立体構造をいくつか段階に分けて考えることにしています。
具体的には、一次構造・二次構造・三次構造・四次構造の4段階です。
まず、下の図を見てイメージをつけましょう。
(http://blog.livedoor.jp/crazybio/archives/42016577.html)
- 一次構造
一次構造は、そのタンパク質を構成するアミノ酸の配列順序のことです。
うーん、なんか分かりにくいですよねぇ…
一次"構造"と言ってるのにアミノ酸配列の順番なんて、全然構造じゃないぞーという声が聞こえてきそうです。
こういうのは、この言葉がどのように使われるかを知るとスッときたりします。
では、その一例をご紹介します。
まず前提知識ですが、「プリオン」ってご存知ですか?
プリオンは脳にあるタンパク質で、ウシのBSEの原因になるものです。
ヒトにも病気を起こしますが、きっとBSEの方がはるかに身近な存在かと思います。
それで、立体構造のおかしくなった異常プリオン蛋白というのが牛の脳に蓄積することで病気になるわけなんですが、実は異常プリオン蛋白のアミノ酸配列は正常のそれと全く同じなんですよね。
その事実が分かる以前は、「タンパク質の立体構造は、その一次構造により規定される」というのが通説でした。
プリオン蛋白は、上記の説が必ずしも正しくないことを示したわけですね。
…というわけで、こんな感じで一次構造という言葉が使われます。
- 二次構造
二次構造で覚えてほしいのは、αヘリックスとβシートというワードです。
上図の通り、αヘリックスはらせん状で、βシートはまんまシート状の形をしています。
はい、これだけです。次にいきます。
- 三次・四次構造
(http://kusuri-jouhou.com/creature1/protein.html)
三次構造は、ようはタンパク質の立体構造そのものです。一番イメージしやすいですよね。
四次構造は何かと言うと、複数のポリペプチドが集まっているものを指します。
例えばヘモグロビンというタンパク質は、4つのポリペプチドが合わさってはじめて機能を持ちます。
いずれにせよ、あまり細かいことは気にせず、この図の通り理解していただくで良いかと思います。
タンパク質の検出
タンパク質の検出法は、ざっと3つあります。
- ニンヒドリン反応
正確にはアミノ酸の検出法であるが、高校化学ではタンパク質の検出法として載っている。発色は紫系。
- ビウレット反応
ペプチド結合が2個以上(アミノ酸は3個以上)ある時に反応する。色はこちらも紫系。
- キサントプロテイン反応
タンパク質中のベンゼン環を持つアミノ酸と反応して、黄色系に発色する。キサントの"キ"は黄色の"き"と覚えよう。
これだけです。何度か目を通して、それぞれの名前と呈する色を覚えちゃいましょう。
ちょっと面倒なのは、問題文に反応名ではなく試薬の名前とかで出題される時があることですね。
例えば、「水酸化ナトリウム溶液NaOHと少量の硫酸銅(II)水溶液CuSO4を加えたところ、赤紫色に呈色した」とか。
これはビウレット反応を指しています。
この辺り、ピンとくるのは案外難しかったりします。
それぞれの具体的な試薬や反応については、申し訳ありませんがお手持ちの資料をご参照ください。
酵素
酵素とは、触媒として機能するタンパク質のことです。
はじめに登場した一遺伝子一酵素説から想像できるように、酵素にはいっっっっぱい種類があります。
高校化学的には、以下の図の内容と図内に出てくる単語を知っていればだいたい良さそうです。
(https://commons.m.wikimedia.org/wiki/File:酵素基質複合体_模式図.svg#mw-jump-to-license)
あとこの図にないものでは、"基質特異性"というのもキーワードになります。この言葉の意味はだいたい分かりますかね?
短いですが、酵素についてもこれでバッチリかと思います。
…はい!タンパク質について、だいたい分かっていただけたでしょうか。
アミノ酸とタンパク質は、慣れるまではしんどいですが、出題される問題自体は比較的簡単なことが多いです。
なので、一度腑に落ちればこっちのものですね!
それでは、天然高分子シリーズラストとなる次回のテーマは「核酸」です。
お楽しみに^_^