【易しい解説】天然高分子化合物をマスターしよう② 〜アミノ酸編〜
どうもこんにちは、タマころです。
ご無沙汰しておりました。
前回アップしたのはだいぶ前になりますが、天然高分子化合物シリーズ第2弾「アミノ酸編」ということで、勉強していきましょう。
↓前回の記事「糖類編」↓
tamakoro.hatenablog.jp
突然ですが皆さん、学校のクラスメート3,40人の顔と名前覚えていますか?
いつの時でも結構ですけど、やはり直近の高3か高2の頃が一番鮮明ですかね。
再受験生の方とか場合によっては今はもう記憶が薄いかもしれませんが、通学していた当時は余裕で覚えていたかと思います。
むしろ、クラスに顔と名前が一致しない人がいる方がまずいですよね。
というわけで、クラスメートの顔と名前は普通に知ってる、ということで皆さんよろしいでしょうか。
...さて、話は変わって、アミノ酸は何種類あるでしょうか?
はい、20種類ですね。
まず提案なんですが、彼らをクラスメートだと思ってみたらどうでしょう。
たった20人のお友達です。さらに、高校化学ではもっと登場人物は普通少なくて、10人程度でしょうか。
しかもみんな、それなりにキャラも立ってます。
それぞれの身長・体重、誕生日とか知らなくても、顔と名前くらいは一致させられるのではないでしょうか。
アミノ酸に話を置き換えると、「顔」はまさにぱっと見の構造の雰囲気。
「身長・体重」は正確な構造式で、「誕生日」は等電点といったところでしょうか。
例えば、クラスみんなの誕生日なんて、仲のいいやつでない限り正確には覚えていないでしょうが、
だいたい何月だったか?というくらいは把握していることが多いかと思います。
アミノ酸も同じで、大まかな等電点、すなわち酸性か?中性か?塩基性か?を把握していれば良いと思います。
あと、他人の身長・体重の細かい数値を知らないのと一緒で、アミノ酸の構造式も完璧に書ける必要はないかと考えます。
いずれにせよ、それぞれの特徴を捉えることが何より重要です!
では、各々のアミノ酸の性質を、キャラクター分けして理解していきましょう。
アミノ酸の基本構造
そもそも論なんですが、なんで「アミノ酸」って言うんでしょうか?
それは、その構造の中に「アミノ基」と「酸」があるからですね。
酸というのは、具体的にはカルボン酸になります。
(http://www.toho-u.ac.jp/sci/chem/column/amino_acids/amino_acids_2.html)
構造式としては上図のようになっていて、緑の部分を側鎖といいます。
アミノ酸は20種類存在するわけですが、それは側鎖がみんな違うんですね。
各アミノ酸の側鎖が具体的にどんなのかっていうのは、お手持ちの資料集または他サイトをご参照ください。
ここでは、話を簡単にするために割愛させていただきます。
等電点
アミノ酸の大事な性質として、等電点というものがあります。
これは、アミノ酸が陽イオン、双性イオン、陰イオンという3つの形態をとれることで起こる現象です。
まず、なぜ上記3つの形態をとれるかというと、それはアミノ基とカルボキシル基の両方を持っているからです。
(http://www.geocities.jp/don_guri131/02aminosanntotannpakusitu.html)
こんな具合ですね。
アミノ基にH+が付けば陽イオンだし、カルボキシル基のH+が取れれば陰イオン、両方あれば双性イオン、つまり電気的には中性になります。
想像していただくと分かると思いますが、酸性溶液中ではH+が多いので陽イオンが増えます。反対に塩基性溶液中では陰イオンが増えます。
こんな感じで陽イオン、双性イオン、陰イオンの割合が溶液のpHによって変化するわけですが・・・
どこかで 陽イオン濃度=陰イオン濃度 となるpHが存在します。
このpHのことを「等電点」と呼びます。
酸性・中性・塩基性アミノ酸
アミノ酸はぱっと見、名前に"酸"とあるので酸性っぽい雰囲気を醸しだしていますが、例えば側鎖にHだけがついたもの(グリシン)はほぼ中性を示します。
それは、アミノ基の方が塩基性の性質を持つからですね。
それで均衡が保たれてるわけです。
まあでもいろんなやつがいて、酸性を示すやつ、塩基性を示すやつも勿論存在します。
それを以下にまとめました。一応自作です。
こうやって見ると、覚えるのは簡単そうですね。
酸性アミノ酸は、名前の最後に"酸"がつくやつ。
塩基性アミノ酸は、アルギニン・リシン・ヒスチジンの3つで、特にアルギニンとリシンが重要人物です。
そこで、語呂を作ってみました。
塩基性はすなわちアルカリなので…
アルカリ(シン)性
これで完璧ですね。ヒスチジンは余力があれば覚えてください。
あと15種のアミノ酸がありますが、残りのそいつらは中性アミノ酸になります。
あと、等電点なんですが、これは単純で
酸性アミノ酸・・・等電点も酸性
になります。
OH基を持つアミノ酸
一部、特にキャラが立ってるアミノ酸が存在するわけですが、OH基を持っているというのがまさにその一つです。
OH基を持つアミノ酸はたった3つで
まあー、高校化学でこの知識を直接求められることはそこまでないと思うので、特に語呂は用意してないです。
こんなのがあるんだなぁ、程度の理解で良いかと思います。
ただ、生命現象としては非常に重要な要素を担っていて、これらOH基がリン酸化のターゲットになって、タンパク質の活性化に関わってたりします。
発展) チロシンキナーゼ阻害薬(キナーゼ=リン酸化酵素)というのが臨床で使われていて、一部の白血病等に適応がある。これは、染色体転座によりチロシンキナーゼが異常にはたらくことによって発症する疾患に対し、その活性を抑制する目的で用いられる。
硫黄元素を持つアミノ酸
高校化学としてはこっちの方が重要ですね。
硫黄を含むアミノ酸のことをカッコよく
含硫アミノ酸
なんて言ったりもします。
登場人物は2人で
が含硫アミノ酸になります。
これは、硫黄反応というものを起こすことで、よく出題されます。
特に、システインはSH基を持っていて、システイン同士が脱水素反応してSS結合というのを形成するので、わりとキャラが濃いですね。
ベンゼン環を持つアミノ酸
ベンゼン環があると、それだけで強そう(難しそう)に見えますよね。彼らを
芳香族アミノ酸
と言ったりもします。まあ芳香族の方が意味がちょっと広いので、完全に同義ではありませんが。
ここではあくまでベンゼン環ということにして、ベンゼン環を持つアミノ酸は3つあります。
チロシンはさっきOH基の方でも出ましたね。
フェニルアラニンはチロシンにそっくりで、チロシンからOH基を取り除くとフェニルアラニンになります。
名前的にフェニルアラニンにOH基がありそうな気がしてしまいますが、間違わずに覚えましょう(^_^;
トリプトファンは、なんか複雑です。
入試問題で問われることは芳香族アミノ酸だということ以外はないかと。
なにより、ベンゼン環を持つアミノ酸は、「キサントプロテイン反応」というのを起こすことが重要ですね。
見づらいですが字が黄色なのには意味があります。この反応については、次回また触れます。
この3人については、こんなところですかね。
…はい!アミノ酸の勉強は以上です。
そうそう、グリシンくらいは顔と名前を一致させておきましょう。側鎖がHのみで、最も単純なアミノ酸なので。
あとグリシンは、アミノ酸で唯一、光学異性体を持たないことで有名です。
次回は、タンパク質について解説していきます。
お楽しみに^_^