再受験・学士編入で医学部を目指そう

20代後半、男。医師・獣医師。 医学部受験情報の発信や編入向けの生命科学の解説をしていきます。2018年3月31日より医学部編入受験生のためのウェブサイトMediTransを立ち上げましたhttps://www.meditrans.solutions

【易しい解説】天然高分子化合物をマスターしよう② 〜アミノ酸編〜


どうもこんにちは、タマころです。

ご無沙汰しておりました。
前回アップしたのはだいぶ前になりますが、天然高分子化合物シリーズ第2弾アミノ酸ということで、勉強していきましょう。

↓前回の記事「糖類編」↓
tamakoro.hatenablog.jp


突然ですが皆さん、学校のクラスメート3,40人の顔と名前覚えていますか?

いつの時でも結構ですけど、やはり直近の高3か高2の頃が一番鮮明ですかね。

再受験生の方とか場合によっては今はもう記憶が薄いかもしれませんが、通学していた当時は余裕で覚えていたかと思います。


むしろ、クラスに顔と名前が一致しない人がいる方がまずいですよね。


というわけで、クラスメートの顔と名前は普通に知ってる、ということで皆さんよろしいでしょうか。





...さて、話は変わって、アミノ酸何種類あるでしょうか?



はい、20種類ですね。



まず提案なんですが、彼らをクラスメートだと思ってみたらどうでしょう。


たった20人のお友達です。さらに、高校化学ではもっと登場人物は普通少なくて、10人程度でしょうか。

しかもみんな、それなりにキャラも立ってます


それぞれの身長・体重、誕生日とか知らなくても、顔と名前くらいは一致させられるのではないでしょうか。


アミノ酸に話を置き換えると、「顔」はまさにぱっと見の構造の雰囲気。

「身長・体重」は正確な構造式で、「誕生日」は等電点といったところでしょうか。


例えば、クラスみんなの誕生日なんて、仲のいいやつでない限り正確には覚えていないでしょうが、
だいたい何月だったか?というくらいは把握していることが多いかと思います。


アミノ酸も同じで、大まかな等電点、すなわち酸性か?中性か?塩基性か?を把握していれば良いと思います。


あと、他人の身長・体重の細かい数値を知らないのと一緒で、アミノ酸の構造式も完璧に書ける必要はないかと考えます。

いずれにせよ、それぞれの特徴を捉えることが何より重要です!


では、各々のアミノ酸の性質を、キャラクター分けして理解していきましょう。



アミノ酸の基本構造

そもそも論なんですが、なんで「アミノ酸」って言うんでしょうか?

それは、その構造の中に「アミノ基」と「」があるからですね。
酸というのは、具体的にはカルボン酸になります。


(http://www.toho-u.ac.jp/sci/chem/column/amino_acids/amino_acids_2.html)

構造式としては上図のようになっていて、緑の部分を側鎖といいます。


アミノ酸は20種類存在するわけですが、それは側鎖がみんな違うんですね。


アミノ酸の側鎖が具体的にどんなのかっていうのは、お手持ちの資料集または他サイトをご参照ください。

ここでは、話を簡単にするために割愛させていただきます。



等電点

アミノ酸の大事な性質として、等電点というものがあります。

これは、アミノ酸陽イオン、双性イオン、陰イオンという3つの形態をとれることで起こる現象です。


まず、なぜ上記3つの形態をとれるかというと、それはアミノ基とカルボキシル基の両方を持っているからです。


(http://www.geocities.jp/don_guri131/02aminosanntotannpakusitu.html)

こんな具合ですね。
アミノ基にH+が付けば陽イオンだし、カルボキシル基のH+が取れれば陰イオン、両方あれば双性イオン、つまり電気的には中性になります。

想像していただくと分かると思いますが、酸性溶液中ではH+が多いので陽イオンが増えます。反対に塩基性溶液中では陰イオンが増えます。


こんな感じで陽イオン、双性イオン、陰イオンの割合が溶液のpHによって変化するわけですが・・・

どこかで 陽イオン濃度=陰イオン濃度 となるpHが存在します。

このpHのことを「等電点」と呼びます。



酸性・中性・塩基性アミノ酸

アミノ酸はぱっと見、名前に"酸"とあるので酸性っぽい雰囲気を醸しだしていますが、例えば側鎖にHだけがついたもの(グリシン)はほぼ中性を示します。

それは、アミノ基の方が塩基性の性質を持つからですね。

それで均衡が保たれてるわけです。


まあでもいろんなやつがいて、酸性を示すやつ、塩基性を示すやつも勿論存在します。

それを以下にまとめました。一応自作です。

f:id:tamakoro1k:20161214133408p:plain



こうやって見ると、覚えるのは簡単そうですね。


酸性アミノ酸は、名前の最後に""がつくやつ。


塩基性アミノ酸は、アルギニン・リシン・ヒスチジンの3つで、特にアルギニンリシンが重要人物です。

そこで、語呂を作ってみました。

塩基性はすなわちアルカリなので…


アルリ(シン)


これで完璧ですね。ヒスチジンは余力があれば覚えてください。


あと15種アミノ酸がありますが、残りのそいつらは中性アミノ酸になります。



あと、等電点なんですが、これは単純で


酸性アミノ酸・・・等電点も酸性

塩基性アミノ酸・・・等電点も塩基性


になります。


OH基を持つアミノ酸

一部、特にキャラが立ってるアミノ酸が存在するわけですが、OH基を持っているというのがまさにその一つです。

OH基を持つアミノ酸はたった3つで


セリン スレオニン チロシン


まあー、高校化学でこの知識を直接求められることはそこまでないと思うので、特に語呂は用意してないです。

こんなのがあるんだなぁ、程度の理解で良いかと思います。


ただ、生命現象としては非常に重要な要素を担っていて、これらOH基がリン酸化のターゲットになって、タンパク質の活性化に関わってたりします。

発展) チロシンキナーゼ阻害薬(キナーゼ=リン酸化酵素)というのが臨床で使われていて、一部の白血病等に適応がある。これは、染色体転座によりチロシンキナーゼが異常にはたらくことによって発症する疾患に対し、その活性を抑制する目的で用いられる。


硫黄元素を持つアミノ酸

高校化学としてはこっちの方が重要ですね。

硫黄を含むアミノ酸のことをカッコよく


含硫アミノ酸


なんて言ったりもします。

登場人物は2人で


メチオニン  システイン


が含硫アミノ酸になります。

これは、硫黄反応というものを起こすことで、よく出題されます。

特に、システインはSH基を持っていて、システイン同士が脱水素反応してSS結合というのを形成するので、わりとキャラが濃いですね。


ベンゼン環を持つアミノ酸

ベンゼン環があると、それだけで強そう(難しそう)に見えますよね。彼らを


芳香族アミノ酸


と言ったりもします。まあ芳香族の方が意味がちょっと広いので、完全に同義ではありませんが。


ここではあくまでベンゼン環ということにして、ベンゼン環を持つアミノ酸は3つあります。


チロシン フェニルアラニン トリプトファン


チロシンはさっきOH基の方でも出ましたね。

フェニルアラニンチロシンにそっくりで、チロシンからOH基を取り除くフェニルアラニンになります。

名前的にフェニルアラニンにOH基がありそうな気がしてしまいますが、間違わずに覚えましょう(^_^;


トリプトファンは、なんか複雑です。
入試問題で問われることは芳香族アミノ酸だということ以外はないかと。


なにより、ベンゼン環を持つアミノ酸は、「キサントプロテイン反応」というのを起こすことが重要ですね。

見づらいですが字が黄色なのには意味があります。この反応については、次回また触れます。


この3人については、こんなところですかね。






…はい!アミノ酸の勉強は以上です。

そうそう、グリシンくらいは顔と名前を一致させておきましょう。側鎖がHのみで、最も単純なアミノ酸なので。
あとグリシンは、アミノ酸で唯一、光学異性体を持たないことで有名です。


次回は、タンパク質について解説していきます。

お楽しみに^_^

【開設1ヶ月】今後のブログ運営の方針

どうもこんにちは、タマころです。

当ブログは11/4に開設し、おとといで1ヶ月が経ちました!

いやー、我ながら三日坊主に終わらず意外にやれています。


また、このひと月で2000PVを達成する事ができ、想定していた以上の方に読んでいただけて大変うれしく思います。

まあでも、そのうち800PVほどは長崎大のBSL4関連で稼いだものなので、本題の医学部受験でもっと頑張らないといけないですね!




さて今回は、今後のブログ運営の方針についてお知らせします。


まずは、今連載中の天然高分子化合物シリーズを終わらせます。
あと3回ほど続く予定です。

次回のアミノ酸、結構わかりやすい自信があるので、是非楽しみにしてくださいね。


それが終わったら、次は数学の勉強法について、これも連載でお届けしたいと思います。

コンセプトは「数弱からの脱却」です。

数学が"得意"になるのは難しいかもしれませんが、"苦手意識"をなくすことを目標にします。



…しかし最近、病院実習で思いの外時間が取れないので、おそらくここまでで年末を迎えることになるかと思います。




それで、年明けくらいからは、学士編入関係にシフトしていきます。


具体的にどう進めていくのかというと、生命科学の解説講義を日々アップしていきます。


当初の予定では、いきなりパワポで教材を作るつもりでしたが、そうではなく、その内容をブログ上で小出しにしていこうと考えています。

そして、それらの記事を加筆・再編集する形で教材にまとめていく方向になります。


いっぺんに出すより、そうした方が読まれる方々にとっても良いのかなと感じます。


ですが、そうこうしていると、生命科学の内容がまとまるのは年度末になるのではないかと想定しています。

なかなか時間がかかって申し訳ないですが、なんとか来年の編入シーズンには間に合うよう、使ってくださる方には提供したいと考えております。


まあ、あまり需要はないかもしれませんがね…
頑張っていきます。


あと、何か聞きたい事とかある方は、いつでもコメントやツイートいただければと思います。

特にTwitterにDMいただければ、ご質問に対し出来る限り速やかにお返事しますので、些細なことでも何でも聞いてくださいね。



ちょっと最近、更新スピードが落ちてきてしまっていますが、ブロガーとしてはここが踏ん張りどころかな。




今日の話はこんなところです。
今後とも、当ブログをどうぞよろしくお願い致します。

それでは、また!

【易しい解説】天然高分子化合物をマスターしよう① 〜糖類編〜

どうもこんにちは、タマころです。

今回から、医学部受験において肝となる天然高分子化合物について、解説講義を連載形式でお送りしていきます。


予め注意事項ですが、この解説ではわかりやすさを重視するので、正確性は若干損なわれてしまうかもしれません。その点ご了承ください。


さて本日は、この単元で一番はじめに出てくる"糖類"について勉強していきましょう^_^




目次


単糖類

糖類って、別名なんていいますか?


炭水化物


ですよね。

これは、炭(素)と水の化(合)物って意味なので、その一般式は
Cn(H2O)n

となります。

それで、n=5の時を「五炭糖(ペントース)」、n=6の時を「六単糖(ヘキソース)」と呼びますね。

まずペントースは、高校化学では核酸に含まれる「リボース」というのがあります。

発展) ヒトが摂取する糖類は六単糖であるから、そこからCを一つ抜かないと核酸の原料にならない。そのため、糖の代謝(解糖系)の途中脇道に逸れてペントースを合成する「ペントースリン酸回路」なるものが存在する。


入試で出るのは基本、六単糖のほうです。

六単糖には種類がいくつかあって、とりあえず覚えておけばいいのは以下の3つ。

特にグルコースはよく出題され、これくらいは構造式を空で書けるようになった方がいいかもしれませんね。後で一緒に練習しましょう。


それで、こいつらの最も重要な性質は還元性をもつということでしょう。まずこれだけでも覚えておいてください。


あと次に大事なことは、3つの形態をとれる、ということです。

まず環状直鎖状という違いがあります。さらに環状がα型とβ型に分かれます。


例えば直鎖状は

(http://www5e.biglobe.ne.jp/~kountei/kagaku38.htm)

こんな感じで、ただ真っ直ぐ並んでます。ポイントは一番上にアルデヒドがあることでしょう。

たがら還元性をもつわけですね。


でもまあ、構造式書けって出題されるのは、だいたい環状の方なんですわ。


というわけで、グルコースの構造式を書いてみよう!


はい、まず六角形を書いて各頂点に縦棒を入れます。このときの注意は右上をOにするのを忘れないことです。

次に左上から書き始めます。上側にCH2OHと書いて、下側にHと書いてください。

そしたら反時計回りに、HとOHの位置が交互に来るように書き加えていきます。最高右端はまだ書かないでください。

ここからがちょっと面倒です。先ほど話したα型とβ型で、HとOHの付き方か変わってきます。

この図の通り、OHが下側に来るのがα型、上側に来るのがβ型になります。


これ、ごっちゃになりやすいんですが、例えばこうやって覚えてください。

この手は、糖の結合を考える上で大事なOH基を表しています。
それぞれに1, 4と数字が振っておりますね。これは炭素の番号で、単純に右端から時計回りに1,2,3,4,5,6となってます。

この絵では、彼の左手が1番、右手が4番の炭素ということになります。



それで、また後で出てくるんですが、αグルコースが連なると「デンプン」で、βグルコースが連なると「セルロース」になるんですよ。

それを知った上で…

α型同士がくっつけば、こう

β型同士がくっつけば、

となるのは容易に想像できるので、どっちがαがβかは間違えなくなります。



あと細かいことをいえば、フルクトースだけケトン基を持っていてちょい仲間外れなんですが、ひとまずスルーしてOKです。

いずれにしても、皆さん還元性があります。



二糖類

二糖類はその名の通り単糖が二個くっついたもので、

の4つがあります。

基本、グルコース+何か、という組み合わせです。


これはエーテル結合でくっついているのですが、この糖同士のエーテル結合を特別に「グリコシド結合」と呼びます。

1番の炭素と4番の炭素につくOHが結合したとすると、「1,4-グリコシド結合」なんて言ったりもします。


さて、上記の覚え方としては、「グルグル丸(マル)くなる」という語呂でマルトースを覚えて、βグルコースが連なってセルロースになることを知っておけばセロビオースはOKで("ビ"は2という意味)、ラクトースガラクトースの"ガ"が取れただけ、残った組み合わせのフルクトースがスクロールになる で完璧ですね。


それで、絶対に知っておかなきゃいけないのは、一人仲間外れがいることです。

それは、スクロースだけ還元性をもたないということです。


還元性をもつためには、片方の糖の1番(フルクトースは2番)の炭素がヒマになってなきゃあかんのですが、スクロースではどちらもその部分が結合してしまっているのです!


(http://keirinkan.com/kori/kori_chemistry/kori_chemistry_2/contents/ch-2/3-bu/3-1-1.htm)

構造式で見ると、こんな感じです。
この通り、還元性を示せる部分が両方とも埋まっちゃってるんですよね…

他のやつらは、ペアの片方の一番の炭素が空いてるんで、そこで還元性を示せます。


はい、これで二糖類はだいたいOKです!



多糖類

多糖類は、先ほどお見せした

こいつらのことですね。


上のαグルコースが連なったものを、ザックリと「デンプン」、細かく言うと「アミロース」または「アミロペクチン」と言います。

下のβグルコースが交互にひっくり返って連なったものを「セルロース」と言います。


アミロース」と「アミロペクチン」の違いは大丈夫ですかね?
「アミロペクチン」の方が1,6-グリコシド結合(下図)が多くて、粘性が強いです。もち米の主成分になります。


そして「セルロース」は、植物の細胞壁を構成してますね。


なお両方とも、還元性は示しません


発展) デンプンはαグリコシド結合、セルロースはβグリコシド結合しており、ヒトはαグリコシド結合を切断する酵素を持っているが、βグリコシド結合は切断できないため、野菜を食べてもセルロースは分解・吸収されず腸管内に留まる。これが腸管側の浸透圧上昇に寄与し、結果便通が良くなる。


ということで、多糖類は知識的にそこまでしんどくないのですが、計算問題でややこしいのが時折出題されます。

これについては、問題集で対応してもらうしかありません。が、最悪よく分からないままでも構わない気もします。

苦手意識を強く持つくらいなら、そこはサッパリ諦めて、他の箇所で頑張れば良いのですよ。


そうそう、あとデンプンには「ヨウ素デンプン反応」という、紫色に呈色する反応がありますね。

これは、デンプンのらせん構造の中にヨウ素がトラップされることで色が着くそうです。

デンプンの種類によって若干色が変わるのですが、ひとまずこの反応の存在をしっかりと意識しましょう。





…はい、今日のお勉強は以上になります。

いかがでしたか?
天然高分子って、思った以上に簡単でしょう!?


次回はアミノ酸について解説します!
乞うご期待を^_^

【物理 レベル別】医学部受験のための参考書レビュー

どうもこんにちは、タマころです。

今日は物理の参考書レビューです。数学のときと同様レベル別に分けてご紹介していきます。


参考)数学と化学の参考書レビュー記事↓
tamakoro.hatenablog.jp tamakoro.hatenablog.jp




目次


偏差値40〜50の人向け

物理という教科の性質上、ただ公式を覚えてそれを当てはめるという勉強をしても、成績はなかなか伸びません。

何よりも大事なのは、対象となる物理現象の大筋を理解した上で、それを数式で表した場合どうなるか、ということを分かっているかですね。


もし演習もある程度しているのに、このクラスから抜け出せないんだったら、是非とも読み物系の参考書を読まれることをおススメします。

例えばこれ…

「宇宙一わかりやすい」とか若干バカっぽい(失礼…)タイトルなんですが、案外悪くないですよ。

本の趣旨はハッキリしてますし、分厚くはありますが絵も多くて、確かにわかりやすいです。


これを何度も読んで、それなりに理解できるようになってきたら、問題に取り組んだら良いかと思います。


問題演習は、学校で配られたやつの基本例題あたりを解きましょう。


偏差値50〜60の人向け

このあたりでウロウロしている人は、殻を破るためにも一度物理をどれだけ理解しているのかを見直す必要があるかと思います。

高校物理の範囲を、いま一度体系立てて学ぶ機会を作ってください。

そういう方には、最高にありきたりで申し訳ないですが、やはり「物理エッセンス」シリーズがぴったりです。
全くひねりがないですが、結局王道を行くのが一番の近道だったりします。


そして問題集はというと、まあ学校の問題集で十分なのですが、もっと絞ったものがやりやすいという方もいるでしょう。

そういう方には「物理基礎問題精講」がおススメです。

問題収録数が105問とそんなに多くないので、例えば1日3問ずつこなせば35日で一周できる計算になります。

このレベルの問題を一通りこなせるようになれば、次のステップに進めることでしょう。


偏差値60〜70の人向け

このクラスであれば、基本的には物理は得意なはずなので、あとはしっかりと経験を積むことが大事になります。

また、経験の積み方も大事で、高いレベルの良問に触れると当然効率が良いです。

王道をいけば「物理重要問題集」、これをやるのがいいでしょう。

網羅型で無味乾燥な参考書なので少々退屈なのですが、まあ修行だと思ってちょっと頑張ってみると、成績が伸びていくのが実感できるはずです。


あとは、「物理エッセンス」の流れを汲むなら「名問の森」を使うのもありです。

こちらの方が一問一問が重たく、より選りすぐりの良問が集まっています。

しかし、収録されている問題数が少ないので網羅性は薄くなりますね。


偏差値70〜の人向け

ここまで来た人は、数学と同様基本的には過去問を解けばいいと思います。

ただ、物理が難しい大学を受ける場合、模試で点が取れても過去問が全然解けないってこともありますよね。

そういう時は、やはりワンランク上の問題集に手をつける必要があると思います。

とはいえ、"難系"と略される「難問題の系統とその解き方」駿台「物理入門問題演習」河合塾「理論物理への道標」は、大学受験にはオーバーワークな気もするので、自分のレベルや志望校に応じて慎重に選びましょう。

上記3タイトルを除いて考えると、例えば「漆原晃の物理 解法研究」なんかも良いと思います。

ちょっとゆとり臭の感じる、大きすぎる文字には若干の抵抗がありますが、収録されている問題のレベルは申し分ないです。

最後にもう少しレベルアップしたいけど、あまり問題を多く解く時間がないなんて人にはうってつけだと思います。




…さて、いかがだったでしょうか?

ほとんどがよくある意外性のないものだったかもしれませんが、それだけ物理の勉強には邪道がないといえるかもしれませんね。

それでは、今日はこの辺で!

【数学 レベル別】医学部受験のための参考書レビュー

参考)物理と化学の参考書レビュー記事↓
tamakoro.hatenablog.jp tamakoro.hatenablog.jp



僕は以前の記事で…

tamakoro.hatenablog.jp

参考書というものについて、

"実際に本屋に出向いて立ち読みして吟味して、それで使う参考書を決めてほしいんですよね"

と述べました。amazonレビューは参考程度に、と。

でもやっぱり、みんなが良いと言っているものは大抵自分にとっても良いのも事実で、他人の受け売りに素直に従うというのもありですね。


というわけで、数学のおススメ参考書をご紹介していきます!偏差値ランクで区切って話を進めます。


目次


偏差値40〜50の人向け

このレベルの人は、要は数学が苦手なわけなんですよね。

だいたいよく言われる話として、「白or黄チャートでも2周くらいしてー」というのが定番ですが、チャート式って続けられます?
数学が嫌いじゃなかった僕ですら続かなかったんだから、苦手な人には相当苦痛でしょう!

てか、僕はいずれのレベルであっても基本チャート式反対派です。あんなの日本だから流行るんだと思うよ。

いやまぁ家庭教師等の教材としては使いますが、独学でやっている人にはあまりおススメできません。

じゃあ、どんな参考書を使えば良いかなんですが、例えばマセマ社の「初めから始める数学」シリーズとかですかね。



とはいえ…参考書うんぬんよりは、苦手意識をどう改善するかという方がよっぽど重要かもしれません。

偏差値50〜60の人向け

この偏差値帯にはいろんなパターンの人がいると思います。
ただ勉強不足の人、苦手なんだけど頑張ってここまで上げた人、一部の分野が不得意で模試を受けるとこのくらいの偏差値になっちゃう人。

それぞれでやるべきことは変わってくると思います。


あとは、例えば根本の計算があんまりできてない方とかもいますよね。そういう方には、「合格る計算」シリーズなんてどうでしょう。
合格るで"うかる"と読ませるあたり、タイトルからして工夫しとるなって感じますね。

一言でいえばこの本は、「数学ができる人は普通に(自然に)こんな計算法で解いてるんだよ。」ということを手取り足取り教えてくれます。


次に網羅系の問題集ですと、だいたい数学って使用者のレベルに対して難しすぎる問題集使っている場合がほとんどなんで、あくまで易しめのものが良いと思います。

例えば、「基礎問題精講」とか。一つ上に標準問題精講ってのがありますけど、この偏差値帯の人なら「基礎~」の方で十分なんじゃないかと思います。

ただこの「ホニャララ問題精講」シリーズって一つ難点があって、他の物理とか化学とかのやつとパッと見おんなじ表紙で、遠目で見て違いが分からないところがちょっとね。

偏差値60〜70の人向け

まだ少し物足りないけど、数学分かってきたかな?っていうランクですかね。

そう、数学が分かってきているこの偏差値帯のキミは、是非良問をガンガン解いてください。

良問…と聞いて思いつくのは、タイトルにそう書いてある良問プラチカなんてありますね。

まあ、この本は悪くはないんですが、ちょっとチャート式臭がしますよね。ちなみに、僕は当時挫折しました。

最近の流行でいくと、もう「一対一の対応」シリーズの一人勝ちでしょう。



僕の大好きな東京出版が出している、選りすぐりの良問を集めた難しめの参考書。
国公立医学部を目指す生徒には、必ずやらせてます。正直、これ以外の選択肢がほぼない。

偏差値70〜の人向け

ここまで来た人は、もう好きにやっちゃってください。

このレベルの参考書も河合塾の「やさしい理系数学」とかいろいろありますが、まあ基本的には志望校の過去問を解き始めるで良いかと思います。


もっと高みを目指したければ、そんな時は月刊「大学への数学に手を出したらよろしいかと思います。

僕の現役時代のバイブルです。毎月毎月、一番後ろのページにある学力コンテストの問題を解いて、出版社に送ってました。
いい思い出です。これは本当に数学力が付くので、他教科との兼ね合いでまあまあ余裕のある人は、チャレンジしてみては?



さて、数学ランク別参考書レビュー、以上になります!
いかがだったでしょうか。少しは参考になりましたか?

もしよかったら、過去記事とかも見てくれたら嬉しいです!

Twitterもしてますので、もしよかったらフォローしてください。
タマころ@医学部再受験・編入応援 (@tamakoro1k) | Twitter

【化学 分野別】医学部受験のための参考書レビュー


どうもこんにちは、タマころです。

ここ数日、BSL4関連のことばかりで本筋の方が滞っておりましたが、本日よりまた受験関係の話に戻ります。


てなわけで今回は、化学の参考書レビュー!


数学・物理と"レベル別"でご紹介していきましたが、今回は"分野別"にわけて話を進めていきます。

その理由は、化学は参考書が分野ごとに分かれていることが多いからです。

もちろん、網羅型問題集は全分野載ってますから、そこは「問題集」として別の項目に括ってご紹介します。


参考) 数学・物理の参考書レビュー記事↓
tamakoro.hatenablog.jp
tamakoro.hatenablog.jp





目次


1. 理論化学

化学という教科における、僕の持論は

「理論化学を制するものが化学を制す」

です。

なので、化学ができるようになりたい方は、まず理論化学をしっかりと仕上げましょう。

それで参考書選びとしては、とりあえず苦手だなーって人はコレ。

僕は岡野さんの本好きですね。

分野によってそこまでムラがなく、全体的に丁寧でわかりやすい印象があります。

もちろん、これだけでは難関大には対応しきれないかもしれませんが、ひとまずこの本が一通り分かれば、次に手にすべき参考書を自分で決められる力が付いてるかと思います。


ただ、理論化学で大事なのは「理解」だけではありません。
「計算力」というのもかなり大きなウエイトを占めますよね。

そこで、これ。個人的にはかなりおススメ、しかもブログとかで紹介してる人少ないんじゃないかな。

難関大受験者のバイブル「化学の新研究」の著者 卜部さんの書かれた本です。

この先生って、結構好みが分かれるので合わない人は合わないのかもしれませんが、内容としては申し分ないと思います。

シグマベストだし微妙かなぁと思ってパラパラ見てみると、おお!こういうのを求めてたんだよ!となりました。

計算の過程を丁寧に示してくれています。


理論化学の計算力を効率よく身に付けたい方にはぴったりな一冊です。


2. 無機化学

鬼門、無機化学
大学で化学科にでも進んだ人でない限り、講師として面白おかしく教えるのは難しい分野。

僕が家庭教師で教える時は、早々に以下の参考書を紹介しちゃいます。

これ買って読んで勉強してね〜って。


というわけで、僕も含めて苦手な人って多いかと思います。

基本的には語呂合わせとか駆使して暗記してしまうのがよろしいかと思います。

僕のおススメはこの2冊。


岡野さんの方がより初歩的でセンターレベルくらいまで。
福間さんの方は、基本的には難関国立大学でも対応できるかと思います。

どっちもわかりやすい、覚えやすい良書ですね。


あとはこれに加えて、資料集を読んで色を視覚的に覚えましょう(これ意外と大事)。


3. 有機化学

まず初歩向けでは、先ほど無機でも挙げた岡野さんの本ですね。

あとは、福間さんのと同じシリーズの…

今度は鎌田さんという方の書いた本。

これは普通にわかりやすいと思います。レベル的にも無難だし、割と詳しいことも載せてくれてて、いろいろ勉強になります。


あと、これは発展的ですが、有機を理論的に理解したいという方には…

でました、我らのバイブル「化学の新研究」

暗記に頼らず有機化学を修得したいならば、この本はかなり理解の助けになります。


4. 問題集・その他

こちらはレベル別に紹介していきます。


まず初学者の方は、本当はセミナー化学のような学校用問題集を誰かに教わりながら解き進めるのが理想です。

でもそれができない場合、強いていえばこれですかね。

化学基礎問題精講

これは問題数が少なめで、続きやすい気がしますね。


次のステップとしては…

これは網羅性が高く、難易度も簡単なものから難しいものまであります。

ただ全体としては、決して簡単な部類に入るわけではないので、しっかりと基礎力を付けてからこれに入るのをおススメしますね。

ここに載っている問題をだいたい解けるようになれば、化学の偏差値は65ほどいくのではないかと思います。


そして、偏差値60〜65付近の人たちは、もうこれ。
はい、定番の重要問題集

無味乾燥なレイアウトなのが玉に瑕ですが、やはりやれば実力は付きます。

東大・京大でなければ、これ以上難しい問題集をやる必要はないでしょう。


基本的にはここまでくれば、あとは過去問演習をして完成です。



さて、最後に「その他」ですが、一つだけご紹介します。

その名も、化学一問一答

ひたすら問いと答えが小さい字で書き連ねてあって、中にはかなりマニアックな事項も載ってます。

まあこれは、私大医学部専願者向けかなと思ってます。
私大医学部を受けるにあたり化学で勝負しようと考えている方は、是非これで細かい知識を詰めていきましょう。

反対に、国公立志望にとっては必要性の薄い本ですね。




…さて、化学の参考書レビューは以上になります!

少しでも皆様の参考になったら嬉しいです。


化学は分かってくれば、一気に伸びてくる教科だと思うので、序盤の勉強法は重要です
なかなか伸びない人は、一度基礎に立ち返って勉強してみることをおススメします。


最後まで読んでいただきありがとうございました^_^
それでは、また!

【お詫びと訂正】長崎大 BSL4設置関連の記事に不適切な表現がありました

どうもこんにちは、タマころです。

以前、長崎大学にBSL4が設置されるというニュースに関して、2つ記事を書かせていただきましたが…


tamakoro.hatenablog.jp
tamakoro.hatenablog.jp


ありがたいことに反響が大きく、僕のブログとしては比較的多くの方に読んでいただいて、大変うれしく思います。

ただ、読まれた方の一人から、これらの記事内にあまり適切でない表現があるとのご指摘いただいたので、ここにお知らせいたします。

少々軽率な箇所があったのは事実ですので、その点この場を借りてお詫び申し上げます。


該当記事の方はすでに修正済みです。




それでは、具体的にどの箇所が不適切だったかといいますと…



まず、前者の記事において

BSLは1〜4までの4段階のレベルがあって、4が最強、つまり最も危険です。

と述べましたが、正しくは

「BSLは1〜4までの4段階のレベルがあって、4が最強、つまり最も安全対策を施した施設になります。

BSL4は、病原性の高い言わば"危険"な病原体を扱うのは事実ですが、施設としては最も安全性に考慮した建物になりますので。

これは誤解を招く表現でした。同じように考えていた方は、是非これを機会に認識を改めていただくとありがたいです。



あともう一つは、後者の記事において

次に、東大医科研、京大ウイルス研、阪大微研、この3施設ですが、お察しの通り都心にありすぎますよね。

それこそ、感染研の二の舞になってしまいます。作ったところで永遠に稼動できない。


あと残ったのは北大人獣センターと長大熱研ですが、ちょっと言い方悪いですが、どちらも都市レベルとしては悪くないかと思います。

でも、今回のBSL4の設置が検討され始めたのが2006年で、人獣センターができたのが2005年。

当時実績のなかった人獣センターは候補になり得ないでしょうから、そうすると長大熱研で決まり、となります。

こちらは事実無根で、本当にただの僕の妄想でした。

都心か否か、ということはあまり関係なく、長崎大に設置が決まった主な理由としては
 
1.古くから実績のある熱帯医学研究所がある。
2.医学部に感染症を専門とする医療関係者が多く、附属病院に第一種感染症病棟がある。

の2点が大きいとのことです。


もちろん、これら以外にも様々な要素や思惑があるので、端的に言い表せるものではありませんが、ともかく「長崎は都心じゃないからいい」というようなネガティブな理由ではないということは強調しておきます。



以上2点、皆様が長崎大でのBSL4設置に関してより正しい見識を持てますよう、訂正記事を書かせていただきました。

ちょっとお堅い感じになってしまいましたが、裏付けのある正しい情報をお伝えするという点では、非常に有意義なものになったかと思います。


それでは、次回こそは受験関係の話に戻ります。
当分は化学ネタでいく予定です。

今後とも、タマころのブログをよろしくお願いします。