【雑記】試験中における危機察知能力を鍛えるには
の続きで、今日はどうやったら危機察知能力を鍛えられるか?という話をします。
この数日間。いろいろ考えてみました。
…でも、まず結論から言って、すぐ身につく魔法のようなトレーニング法は無いように思います。
やはり、今までの塾講師・家庭教師の経験から、一朝一夕で身につくものではないように感じるからです。
じゃあ、とにかくたくさん勉強したら身につくか?というと、そういうわけでもなさそうです。
逆に、不勉強だけど本人的にはその辺のセンスあると思っている場合も、結局井の中の蛙でダメだったりします
そう考えると、やはり大前提として「合格ボーダーラインは超えている」という条件はクリアしている必要はありそうですね。
だって、ボーダーラインを超える実力があるからこそ、「合否を分ける一問」を見たときにビビッと来ることができるわけですよね。
そしてこれが、危機察知能力の正体だと思います。
じゃあ、ゆっくりでもいいからどうやったらその力鍛えられるの?って聞きたくなりますよね。
そこで、僕自身の経験を踏まえて一番有効そうな方法をひとつだけお伝えします。
もしかしたらほかにやり方はあるかもしれませんが、とにかくここではひとつだけ。
それは、、、
問題演習をするたびに、その問題の評論をする
というものです。
よくあるアレですよ。講師のコメントとか講師の見解ってあるじゃないですか。
アレを自分でやってみるんです。
大問を一題解いたら、その大問に対する自身の見解を述べるんです。
そうすることで、いま自分で解いた問題を非常に客観視することができるようになると思います。
これを繰り返すことによって、試験本番に問題と対峙したとき、その問題の難易度や重要度を客観的に捉えられるようになると思います。
それが、危機察知能力としてあなたを救ってくれるでしょう。
というわけで、この話は以上です。
皆さんも危機察知能力を磨いて、いっぱい合格を勝ち取りましょう!
では、また。
【重大なお知らせ】医学部編入受験生のためのウェブサイトMediTransを立ち上げました!
どうもこんにちは、タマころです。
このブログを始めて、早1年4か月が経ちます。
僕がブログを始めて少し経った頃、だいたい今から一年ほど前から、ある野望が生まれました。
それは、「医学部編入に特化したオンライン予備校を作りたい!」というものでした。
なぜこんなことを考え始めたかというと、やはりブログというツールの限界を感じたからです。
ひとつに、情報発信力という観点から。
やはり、人気ブロガーになるというのは非常に難しいです。ニーズの少ない編入界隈ではなおさらだと思います。
もうひとつは、作ったコンテンツを分かりやすいところに置いておけないということです。
もちろんやり方によっては、ブログでありながら上手にコンテンツを見やすくまとめているサイトもあります。
ただ、それでもブログはブログ。記事を書いてアップするという主目的から大きく外れることは難しいです。
他にも信用の問題などいろんな想いがあって、とにかく「受験生にとって本当に役に立つサイトを作りたい」と考えるようになりました。
その構想から約一年。。。ようやくひとつの形になりました!!
その名も
MediTrans
どうですか?カッコよくないですか?
由来としては"医学部編入"を英語にして省略した感じで、特にさほど工夫はなく(笑)、音の響きで決めました。
以下にサイトへのリンクを貼ります。
https://www.meditrans.solutions/
コンセプトは「合格者の追体験」で、僕ともう一人協力者のふたりで今後このサイトを運営していきます。
主なコンテンツは、WEB教材・過去問解答・添削指導・勉強計画サポート です。
まだまだコンテンツのほうは充実しきれていないのですが、今シーズンの編入試験も迫っている中とにかくまずは形にしたいと思い、この度公表に踏み切りました。
是非これを読んでいる受験生の皆様、利用してください。
なお、会員登録をすると、勉強計画のメール相談を受けれるようになります。さらに、過去問に関するお問い合わせも可能となります。
その他詳細は、是非サイトにアクセスしてご確認いただければと思います。
では、今後とも当ブログ主のタマころ、そして MediTrans を何卒よろしくお願いします。
一緒に成長していきましょう!
【雑記】試験中における危機察知能力の重要性
どうもこんにちは、タマころです。
久しぶりにゆるーい感じの記事を上げようと思います。
お題は、タイトルにある通り「試験中における危機察知能力」についてです。
僕はサッカー観るのが大好きなんですが、サッカーでも大事ですね、この力は。
昔でいえば、戸田選手が優れていたように思います。最近では山口蛍選手ですかね。
さて、余談はこのあたりにして、まずは僕の実体験からお話したいと思います。
ブログでは極力自分語りはしないようにしてましたが、今回はご容赦ください(汗
じつは僕、この2月に第112回医師国家試験というのものを受験したのですが、その時のことです。
と、その前に、事前知識として以下の記事を紹介します。
先日、メディックメディアという医学部教育の参考書に特化した会社からこのような記事が出ていました。
[国試]号外!大波乱の「112回国試禁忌肢問題」がついに判明! 8000人に上る受験生・100人以上の禁忌肢選択者のデータから分かったその問題とは?(その1) | INFORMA byメディックメディア
この記事は、厚労省から公表されない禁忌選択肢について分析した、非常に貴重なものになります。
その中で、今年の「禁忌踏んだやつランキング」を紹介しているわけですが、一位がこの問題になります。
112C026(総論)
日齢21の新生児.母子手帳の便色カードを見て,便の色が薄いことに気付いた母親に連れられて来院した.在胎39週,出生体重2,800gで出生し,出生時に異常は指摘されなかった.完全母乳栄養である.体重3,200g.体温37.0℃.心拍数110/分,整.血圧80/40mmHg.呼吸数32/分.SpO2 98%(room air).四肢を活発に動かしている.皮膚および眼球結膜に黄染を認める.心音と呼吸音とに異常を認めない.腹部は軽度膨満しており,肝を肋骨弓下に3cm触知する.腸雑音の亢進はない.患児の便の写真を別に示す.
母親への説明で適切なのはどれか.
a 「母乳をやめましょう」
b 「すぐに血液検査をしましょう」
c 「1週間後に便を持参してください」
d 「便の細菌を調べる必要があります」
e 「この便の色であれば再受診の必要はありません」
画像はオムツの写真ですので、実物を見たい方はリンク先からご覧になってください(閲覧注意?)。
で、この問題は胆道閉鎖症疑いでbが正解、禁忌選択肢はeの「再受診必要なし」になります。
そうですね、まず僕の話をする前にこの問題の簡単な解説をしますか。
実はこれ、文章中にほぼ異常値がないんですよ。肝臓3cm触れるというのも、赤ちゃんなら実は正常範囲内です。
つまり、これは画像一発勝負。画像で灰白便を鑑別できなければ、ただの元気な赤ちゃん。
画像から、これは正常便だ!と判断してしまうと、おのずとマークシートはeを塗りつぶすことになってしまうのです。
で、ドボン。。
ちなみにeの選択率は25.8%ということで、多くの受験生は回避できてるわけですから、これを選ばなかったこと自体は確かに自慢にはなりません。
ただ、一応それにまつわるエピソードがあるので、ちょっと紹介させていただきますね(前置きが長くて申し訳ない、、)。
じつは僕この問題、Cブロックの一番最後に回したのです。だから、すっごくよく覚えています。
問26ということで75問中わりと序盤のほうで、当時ペラっとこの問題を見たとき
うーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん
となりました。
やはり、このうんこ白いか????となったんですよ。まあ白いんですけど。
文章中にはこれといって目立った所見はないし、うんち母親が言うほどでもない気がするし。。。
e・・・かな?
と、マークシートに当時塗りました。
でも、やっぱり怪しい。これ間違ってたら禁忌っぽいぞ。。
という気持ちがつのり、結局解答番号に目印して、また最後に見直すことにしました。
75問を解き終えたあと、少し気持ちを休めてまたこの問題に取り組むことにしました。
ペラっと画像を見て、、うん、やっぱり緑だ。これが胆道閉鎖の所見といわれてもしょうがない、わからん。
と思って、また本文を見たら、、あれ??これは、、
体重増加不良?
となりました。
計算してみると、<20g/day
一応正常は≧25g/dayで、しかもあえて日齢21として絶妙に20下回らせてるし、何か意味があるとしか思えない。
胆道閉鎖かわからないけど、とにかくこの体重の増えは病的、帰らせるのは危険!
と最終的に判断して、bを選びました。
はい。という僕の国試受験体験談になります。
その後、あの問題は絶対帰らせてはいけない問題として、「おれ、あれで禁忌一個ふんだわー」というトークが全国で繰り広げられることとなります。
この話から僕が言いたいのは、タイトルにもある「危機察知能力」を鍛えてほしいということです。
といわれても、この言葉自体かなり漠然とした表現だし、それを鍛えるというのもどうすればいいかわからない、というところがホンネかと思います。
そうなんです、じつは僕もよくわかっていません。でも、僕はこの力のおかげで今までの試験を乗り越えてきたんだと自負している節があります。
というわけで、一緒に言葉の定義からしていきましょうか。僕なりの定義を以下に述べます。
試験中における危機察知能力とは、合否を分ける一問を見分けることができ、さらにそれを正答できる能力。
いかがでしょうか?僕のイメージはこんな感じです。
やはり、合否を分けない問題が解けなくてもまったく痛手ではないので、いかにキワドイところで勝負できるか、ですね。
次に、その鍛え方ですが、これはすごく難しい。。
今この記事を書いている現段階でも、いい案が思いつき切っていないという状況だったりします。
もうちょっと考えて、整理したいところですね。
というわけで、その鍛え方については、また次の機会にしたいと思います。
この土日には更新します。
ではいったん。中途半端ですみません。
【医学部編入】統計学の映像講義を作りました【告知】
ほんっっっとに、お久しぶりです!たまころです。
合否はさておき、医師国家試験は無事に先月終了いたしました。
国試終わったらすぐブログ更新できたらよかったのですが、一か月以上も沈黙してしまいましたね(笑)
この一か月間何をしていたかというと、当然せっかくの休みなので遊んだりもしていましたが、
実は統計学の映像講義というものを作っていました(Twitterフォローしてくださっている方はよくご存知かと)。
その名も・・・
医療統計学入門
です。
どういう講義スタイルかというと、iPadの「画面収録」という機能を使いまして、僕がPDF上に書き込みをしながらお話しするという、今までなかったような形式になっております。
それで、大事な内容としては、以下の章に分けてお届けしています。
第0章 オリエンテーション
第1章 統計学の用語とデータの処理
第2章 疫学(感度・特異度等)
第3章 基本的統計量の算出
第4章 検定法
これを、前編(第0~3章)と後編(第4章)に分けて、配信しております。
さらに、上記に加え演習編というものもあります。
演習編では、実物の過去問を解き進めていって、前編と後編で勉強した内容を実際に応用していきます。
講義時間はそれぞれ、前編73分、後編60分、演習編65分になりまして、価格はひとつ税込3000円になります。
つまり、全部視聴した場合は合計で9000円となります。
もしかしたら少々高く感じる方もおられるかと思いますが、いかんせん似たようなコンテンツは他にないものでして、
医学部編入業界のパイオニア(笑)としてこのような値段設定にさせていただきました。
いずれにしましても、クオリティとしては絶対に損はさせない自信があります!
もし編入試験を受験される方で、統計分野が出題される大学を志望しているけどイマイチ統計わからないと感じているなら、ぜひこの医療統計学入門を視聴されるときっと良いことがあると思います。
というわけで、販売ページは以下のリンクになります。よろしくお願いします!
医学部学士編入学試験対策 医療統計学入門<前編>(73分)【商品説明欄にテキストのリンクあり】 / DLmarket
医学部学士編入学試験対策 医療統計学入門<後編>(60分)【商品説明欄にテキストのリンク・訂正あり】 / DLmarket
医学部学士編入学試験対策 医療統計学入門<演習編>(65分)【商品説明欄にテキストのリンクあり】 / DLmarket
また、動画サンプルは以下から視聴することができます。
前編サンプル
医療統計学入門 前編サンプル
後編サンプル
医療統計学入門 後編サンプル
また近々いい報告ができると思います。
それでは〜
【医学部編入】生命科学講義・DNAの修復機構② ~CRISPR/Cas9システム~
お久しぶりです。本業(国試勉強)の方がさすがに余裕なくなってきました。
とはいえ今後も、不定期ながらもほそぼそ更新していけたらなと思います。
さて、本日の話題はCRISPR/Cas9(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats/CRISPR-ASsociated proteins 9)です!
読み方は「クリスパー・キャスナイン」。イマドキ知らなかったらちょっとヤバイやつですね。ノーベル賞候補ともいわれている科学技術です。
それでどういう技術なのかというと、一言でいえばゲノム編集です。
非常にざっくりとしたワードではありますが、一般的にそう表現されます。
もうすこし具体的に言うと…
ゲノム編集=特定の遺伝子のノックアウト・ノックインができる
ということになります。
今までそこそこ難しかったノックアウトが非常に簡単にできるようになり、応用法は無限大です。
逆に言えば、ヒトを含む遺伝子改変生物が容易に作れるため、倫理的な問題もはらんでいます。
例えるならば、僕あんまり詳しくないのですが、ガンダムで出てくる「コーディネーター」というやつですね。
それで、じゃあどうやってゲノム編集するのかっていう話ですが、まず以下の図をご覧ください。
よくこのような模式図で説明されます。
もともと細菌が持っていた免疫システムを応用したもので、本来は細菌の体内に入ってきた外来DNAを破壊するための装置だったんですよね。
その本体が、図の白い雲みたいに描かれている"Cas9"という名のタンパク質で、これが「特定のDNA配列を認識」して配列中のDNAを切断します。
それで、この切断するまでの過程でいくつかポイントがあります。
一つ目が、どうやって「特定のDNA配列を認識」するか?です。
それを可能にする重要な要素として"guide RNA"(sgRNAと略したりします)なるものが存在します。Cas9はそれと相補的な配列を認識します。
そしてもう一つが、guide RNAのすぐ隣に存在する"PAM配列"(図中オレンジの3塩基)です。Cas9はPAM配列を目印にして、その近傍のDNAを切断することができます。
そしてここからが重要です。
このCas9による切断は二本鎖いっぺんに切断するため、鋳型がありません。
ですので、前回の記事でもご紹介した通り、多くの場合「非相同末端結合」により修復されます(図中左のルート)。
この修復機構は非常にアバウトなので、高確率で塩基の挿入や欠損が起きてしまうわけですね。
その結果、切断された部位がコードしていた遺伝子はつぶれてしまいます。すなわちノックアウトされるわけですね。
また、ドナーDNAとして、切断部位周囲に相補的なDNA配列を予め導入させることによって、「組換え修復」を起こすこともできます。
それによって任意の配列を挿入することができ、遺伝子を一部改変したり、導入したりできます。すなわちノックインですね。
上記のようなメカニズムで、CRISPR/Cas9はこれまでの技術と比べ容易にゲノム編集することができます。
ほんとすごいですね。
さて、ではこれを実際に、例えば培養細胞のある遺伝子のノックアウトを行おうとすると、具体的にどのような手順を踏むことになるでしょうか?
それを以下、箇条書きで示していきます。
CRISPRのプラスミドを購入する(ふつう薬剤耐性遺伝子もコードしてある)。
↓
ノックアウトしたい遺伝子中のある配列に相補的な配列をプラスミドの所定の箇所にインサートする(guide RNAになる)。
↓
培養細胞にプラスミドをトランスフェクションする。
↓
薬剤セレクションをする。
↓
セレクションされた細胞でシークエンスorウエスタンブロッティングをする
↓
ノックアウト細胞が存在することを確認する(バンドが薄くなってる等)。
↓
クローニングする(細胞一個一個にして、そこから増やす)。
↓
細胞が増えてきたら再びウエスタン等でチェックする。
↓
ノックアウト(バンド消失)を確認する。
↓
ノックアウトにより生じると予想される変化を何かしらの実験でとらえる。
↓
以後の実験に用いる。
実験目的によって若干の違いはあるにせよ、だいたいこのような流れになるかと思います。
はい、今日の内容は以上になります。
まあCRISPRはホットとはいえ、出題するとなるとどこが問われるか正直予想しづらい感はあります。
なので、ひとまずこの記事で扱った事項は把握しておいて、それで対応できなければ仕方がないというスタンスでいくしかないでしょう。
では、次回はセントラルドグマあたりを勉強していきたいと思います。
【医学部編入】生命科学講義・DNAの修復機構② ~二本鎖の損傷~
どうも、タマころです。
前回に引き続きDNAの修復機構ということで、本日は二本鎖の損傷について勉強しましょう。
まず前回も登場したこの図を確認。
この右側の「NHEJまたはHR修復」と書いてある方です。
略語だとわけわからんですよね。それぞれ
NHEJ:非相同末端結合
HR:相同組換え
といいます。
説明の順序としてはまず、より一般的であるだろうHRの方からします。
相同組換え(HR)
しくみ自体は減数分裂で起きるアレです。それが、DNA損傷の際に応用されるわけですね。
DNAのある部分が二本鎖とも損傷を受けると、それ単独では鋳型がなくなってしまうので、もう一つの染色体の同じ部分からDNAを拝借してくるのです。
そして、それを鋳型にDNAを合成しなおして正しく修復することができます。
(黒沢 綾 and 足立 典隆、2014、Isotope news)(一部改変)
事象としては上図の通りこの程度なのですが…
もしそれにかかわるタンパク質名などを答えさせるとなると、話はややこしくなってくるかと思われます。
しかし、ここではそこまで追っかけないことにします。まあ編入受験生で知ってる人ほとんどいないでしょうから。
ただ、その中でやたらピックアップされるワードが一つあります。これは覚えておいて損はないと思います。
それは…
ホリデー構造
というものです。
図の赤丸のDNAがクロスした部分の構造を指します。
僕は専門家ではないので残念ながらこの構造がなぜ重要なのかわかりませんが、とにかくHRについて調べるとよく見かける単語です。
…という感じで、次は非相同末端結合にいきます。
非相同末端結合(NHEJ)
かっこいい名前してますよね。僕ははじめてこの名前と略称を聞いたとき、そう思いましたもの。
ちなみにそのはじめて聞いたときというのは、僕がCRISPR/Cas9システムを使った実験をし始めたときです(この実験手法については次回紹介します)。
てかこの4文字、臨床で有名なジャーナルのNEJMと空見します(笑
さて、余談はこのくらいにして、この修復法のメカニズムの特徴は鋳型を用いずテキトーに直すというところにあります。
(黒沢 綾 and 足立 典隆、2014、Isotope news)
おそらく本当にランダムです。さらに、一塩基損傷を受けて一塩基ランダムに修復するならまだいいですが、数塩基の挿入や欠損が生じてしまうこともあります。
二本鎖の両方失われている状況は、実はそもそも何塩基の損傷を受けたかすらもわからなくなってしまうわけですね。
そうすると、たとえば数塩基の挿入が入ってしまうとフレームシフト変異が起きて正常なタンパク質が合成されなくなってしまったりします。
というリスクはあるものの、実際のヒト細胞では(高度は動物ほど)二本鎖損傷の際はNHEJの依存度の方が高いらしいです。
これにはさまざまな理由が考えられますが、一つに高等動物では反復配列が多いことが要因としてあるようで、反復配列で欠損が起きると正しく鋳型が取れなくて染色体の欠失や転座を引き起こしてしまう可能性があるとのことです。
たしかに、正確に修復できる可能性が高いけど、時に大事故を起こしうるなら、まあタンパク質いっこくらいしょうがないかっていう気持ちもわかりますね。
これら修復機構にかかわる因子の異常
HRにかかわる遺伝子に異常があると、家族性乳がんなど細胞の発がん率が高くなるということが分かっているようです。
ほかにも、ファンコーニ貧血といった先天性遺伝性疾患の原因となったりします。
NHEJではちょっと違って、こちらの遺伝子に異常があると主に免疫系に影響があり、重症複合型免疫不全(SCID)というのも招きます。
ちなみに、SCIDは「スキッド」と読みます。
というわけで、今日の話は以上になります。
一本鎖の損傷とあわせて、それら修復機構の種類と特徴を押さえていってもらえればいいかと思います。
次回は、本文中でも言及しましたがCRISPR/Cas9システムというゲノム編集技術について解説していきたいと思います。
【医学部編入】自作テキスト 組織学・各論①【鹿児島対策】
どうも、タマころです。
【鹿児島対策】組織学自作テキスト第二弾です!
↓第一弾・総論↓
tamakoro.hatenablog.jp
今回は各論の一つ目になります。
人体の組織はそれなりにたくさんあって一回では全てまとめきれないため、二部に分けてお届けさせていただきます。
各論①の内容は、血液・リンパ組織・消化器(口腔・食道・胃・小腸・大腸・肝臓・膵臓)というセットになっております。
以下のリンクから購入することができるので、もしよかったら買ってみてください!
価格は1500円+税になります。
よろしくお願いします^^