【医学部編入】生命科学講義・細胞の死と癌化④ ~ドミネガとハプロ不全・ラウス肉腫ウイルス~
どうもこんにちは、タマころです。
前回、癌抑制遺伝子の中には「優性の性格を持つもの」も存在する、というところで終わりました。
(前提として、癌抑制遺伝子は普通、対立遺伝子の両方に変異が生じてはじめて癌促進的に作用するんでしたね)
それには異なる2つのメカニズムがあります。
それがタイトルにも書いてある
ドミナントネガティブ
ハプロ不全
です。それぞれ簡単に説明すると、
ドミナントネガティブ・・・対立遺伝子の片方に変異が生じた際に、その変異産物が正常産物に対して優性に働いて、正常な機能を阻害する現象のこと。二量体以上の多量体を形成するタンパク質でみられる。
ハプロ不全・・・正常遺伝子一つから翻訳されるタンパク量では正常に機能するには不十分で、変異型とのヘテロ接合体となることでその遺伝子の機能が正常に働かなくなる現象のこと。
人によって説明の仕方に若干の違いはあるかもしれませんが、概ねこういうことでしょう。
ドミナントネガティブは有名だと思いますが、例えば四量体を形成するタンパク質の場合、片方の遺伝子に変異が生じるとすべて正常の遺伝子産物で構成される確率が1/2×1/2×1/2×1/2=1/16 にまで低下してしまうのですね。
その結果、片方の変異で機能不全となり、優性の形質を示します。
ハプロ不全は、英語ではhaploinsufficiencyといって、"haplo-"は「単一の」という意味の接頭語で、"insufficiency"は「不十分」です。
なので、ハプロ不全とは要するに「単一では不十分」という意味です。その結果、こちらも優性になります。
普通はですね、遺伝子産物というのは十分すぎる量発現するのが世の常でして、ハプロ不全を示す遺伝子というのはそこそこレアなんですよ。
その例としては、英語版wikiにいくつか挙げられていたので、スクショを貼り付けておきます。
(https://en.m.wikipedia.org/wiki/Haploinsufficiency)
ということで、以上ドミナントネガティブとハプロ不全についてでした。
はい、ここからはオマケみたいなものなのですが、癌遺伝子つながりで「ラウス肉腫ウイルス」というものを少しだけご紹介いたします。
まあなかなかマイナーなウイルスなので、その存在だけでも知っていただければ十分です。とはいえ、このウイルスの発見者はノーベル賞を取っています。
まずイントロですが、ラウス肉腫ウイルスは、1911年にペイトン・ラウス氏によってニワトリに肉腫を生じさせる濾過性病原体として発見され、世界で最初に見つかった「がんウイルス」です。
ちなみに、最初に発見されたヒトがんウイルスは Epstein-Barr virus 通称EBウイルスです。
さて、ラウス肉腫ウイルスはHIVも属する「レトロウイルス」の一種なわけですが、このウイルスはなぜニワトリに肉腫を引き起こすのでしょうか?
研究の結果、ラウス肉腫ウイルスは癌化を強く誘導する遺伝子を持っていることが分かりました。
そして、それをsrcと名付けたのです(肉腫sarcomaに由来)。そうです、前回も名前だけ登場した癌遺伝子のsrcです!(ちなみに読み方は「サーク」)
実は、今では癌遺伝子の一つとして有名はsrcは、最初はウイルス遺伝子として発見されてのちに宿主のゲノムにも存在していることが判明したわけです。
今日では、ウイルス由来のsrcをv-src、宿主細胞側のsrcをc-srcと区別して呼んでいます。
という感じで、がんの話は以上で終わります。今回の単元は④までいっちゃいましたね、長くなってしまいました。
それでは、次回からは「シグナル伝達」について勉強していく予定です。
【医学部編入】生命科学講義・細胞の死と癌化③ ~癌遺伝子と癌抑制遺伝子~
どうもこんにちは、タマころです。
今日はがんの話をします。
内容に入る前に、まず「腫瘍」や「がん」の定義をしっかり押さえましょう。
グーグル検索すると京大の病理の講義資料と思わしPDFが引っかかったので、そちらを引用させていただきます。
https://ocw.kyoto-u.ac.jp/ja/07-faculty-of-medicine-jp/general-pathology/pdf/general_pathology09.pdf
腫瘍・・・細胞の異常によって起こる組織の異常増殖であり、組織が自律性に無目的性(無秩序性)に過剰増殖したもの
がん・・・悪性腫瘍の総称。予後不良な腫瘍で、組織を浸潤、破壊し、転移する。
さらに、がん(悪性腫瘍)は癌腫と肉腫に分けられます。漢字の「癌」は「癌腫」と同義になります。
癌腫・・・上皮性悪性腫瘍
肉腫・・・非上皮性悪性腫瘍
このあたりは言葉の定義なので、軽く知っておきましょう。
さて、今日の本題は癌遺伝子と癌抑制遺伝子です。
なお、この時の「癌」は、本来ひらがなで表す方が一般的のようですが、変換が面倒くさいのでこのまま漢字表記でいかせていただきます。
癌遺伝子 oncogene
名前の通り、発がん作用のある遺伝子のことです。
ちょっと気をつけなければいけないのが、その名称です。
癌遺伝子は、もう機能のおかしくなったものを指します。
つまり、癌遺伝子といっても元々は正常の機能をもった細胞に必須の遺伝子だったわけで、その野生型を「癌原遺伝子 proto-oncogene」と呼びます。
それで、癌原遺伝子に機能獲得型変異 gain of function変異が起きると、それが「癌遺伝子」になるわけですね。
さて、癌遺伝子にどんなものがあるかというと、代表的なものとして
sis(細胞増殖因子)
src(チロシンキナーゼ)
myc(転写因子)
ras(Gタンパク質)
なんてものがあります。
それぞれ、様々なメカニズムで癌化に導くわけですが、その細かいカスケードは特別知っておく必要はないかと思います。
出題されたとしても、誘導があってその場で考えられるようになっているはずです。
そして大事なことは、「どうやって癌原遺伝子が癌遺伝子になるか」です。
そのメカニズムは主に以下の3つがあります。
点突然変異 染色体転座 遺伝子増幅
おそらく点突然変異は身近で分かりやすいでしょう。染色体転座もまあ分かるかなと思います。
問題は「増幅」ですね。聞きなれない変異の仕方かもしれません。
増幅は、以下の図のように遺伝子のコピー数が増加してしてしまい、結果として過剰にタンパク質が発現してしまう現象です。
(http://www015.upp.so-net.ne.jp/j-hata/byouri/hatugan.html)
というわけで以上、癌遺伝子についてでした。
癌抑制遺伝子 tumor suppressor gene
こちらは反対に、普段は癌化を抑制する方向に機能していて、その機能が欠失するようなloss of function変異が生じると、発癌促進的に作用します。
代表的な遺伝子としては
p53
Rb
があります。どちらもすごい有名ですね。
まずp53ですが、その機能は非常に多岐に渡り、かなり強力な癌抑制効果を持っています。
が、残念ながらその全貌を僕も全然把握できていません。
おそらく受験生としても、それを把握しておく必要はないと僕は思います。こちらも問題文中のヒントで十分正答できるように出題されるべきでしょう。
Rbは、網膜芽細胞腫 Retinoblastoma の発生に深く関わる遺伝子として発見されました。歴史的に何より重要なのは、最初に発見された癌抑制遺伝子というところです。
そんなRbは基本的には細胞周期の抑制に働いていて、それがおかしくなると細胞がどんどん分裂しちゃう方向に傾くわけですね。
あと、癌抑制遺伝子で大切なのは、"two hit theory"なるものでございます。
これは、クヌードソン Knudson という方が提唱した理論で、Rb遺伝子でそれが証明されたのです。
この説は、ようは「癌抑制遺伝子は劣性なんですよ」ということで、対立遺伝子の両方にloss of function変異が生じる必要があるわけです。
遺伝的にRbの片方に変異を持っている児は、そうでない人に比べて網膜芽細胞腫の発症年齢が早い、という結果から導かれました。
(家族性腫瘍とは|家族性腫瘍(がん)相談室|外来案内|独立行政法人国立病院機構 四国がんセンター)
反対に、癌遺伝子はふつう「優性」の形質を持っています。なので、対立遺伝子の片方に変異が入るだけで癌化のスイッチが入ってしまいます。
そこの違いは押さえておきましょう。
とはいえ、p53など癌抑制遺伝子にも優性の性格を示すものがたくさんあり、そんなに単純な話でもないのです。
それについて、次回ちょっとだけお話します。この話は短めになると思うので、連チャンですぐにアップするようにしますね。
【医学部編入】生命科学講義・細胞の死と癌化② ~アポトーシスのメカニズム~
どうもこんにちは、タマころです。
前回講義ブログをアップしたのが4月1日... 二週間以上も空いてしまった!
このままでは編入シーズンまでに一周が終わらないよ...
いや、気を取り直して今日からまたやっていきます!(三日坊主説有力)
さて、前回はネクローシスとアポトーシスについて総論的にお話しましたが、今回はアポトーシスの2つの機序についてちょっと細かくやっていきます。
前回少し触れた通り、アポトーシスには
内因性経路 と 外因性経路
があります。
それぞれ一言でいうと、
内因性経路はミトコンドリアが関わる
といった感じでしょうかね。
このイメージを持ちながら以下読み進めていっていただければと思います。
わかりにくいとあれなので、先に図を出しときますね。
(http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=09-02-02-21)
内因性経路
内因性経路は前述の通りミトコンドリアからスタートします。
種々の外的ストレスや細胞内部環境の異常によりアポトーシス開始シグナルが入ると、まずミトコンドリアからシトクロムcが放出されます。
放出されたシトクロムcはアダプタータンパク質と呼ばれるApaf-1という分子に結合して、その複合体がさらにカスパーゼ9に結合します。
それによってカスパーゼ9は活性化状態となり、さらにカスパーゼ3やカスパーゼ7を活性化します。
そして、最終的に彼ら(カスパーゼ3・7)がアポトーシスを実行します。
流れとしては以上なのですが、実はこの経路にはもう一つ重要な働きをもつ分子があります。
それは、ミトコンドリア膜に存在するBcl-2と呼ばれるタンパク質です。
Bcl-2は、ミトコンドリア外膜の透過性を低下させることでシトクロムcの放出を抑制し、それによってアポトーシスの誘導を抑制します。
だから、このタンパク質が機能不全になるとアポトーシスが起きやすくなるだろうし、
反対に異常に働くようになるとアポトーシスが起きづらくなります。
実際、ある種のリンパ腫でみられる染色体異常にIgH/Bcl-2のキメラ遺伝子の形成というのがあるのですが、これは免疫グロブリンの遺伝子とBcl-2の遺伝子がくっついちゃうことでBcl-2が過剰発現してしまいます(もともとリンパ球においてIgHはたくさん発現している)。
そうなることで、アポトーシスが抑えられ細胞が癌化しちゃうというわけですね。
これは余談ですが、僕がポリクリで血液内科をまわっているとき、上記のキメラ遺伝子の話が出て先生に
「Bcl-2ってわかりますか?」
と質問されたのですが、班員7人中僕以外の6人全員知りませんでした。
まあつまり言いたいことは、そんなに当たり前な知識じゃないよってことです。
正直編入の勉強してるとその辺マヒしてきます。受験生みんな詳しすぎ!
というわけで、このミトコンドリアから始まる内因性経路の流れ、押さえておきましょう。
外因性経路
こちらは、読んで字のごとく外からの刺激でアポトーシスが誘導されるわけですね。
それに関係するのが、Fasという膜貫通型タンパク質です。
これは細胞膜表面にあるレセプターです。
それで、Fasに外からリガンドがくっつくとスイッチが入ります。
そのリガンドの名前は、Fasリガンド(FasL)といいます。
このパターンって珍しくないですか?ふつうレセプターの方に「ホニャララレセプター(IL2レセプターとか)」っていう名前がつくのに、これは反対ですね。
さて、話は戻って、FasLが結合するとFasは3量体を形成して、その細胞質内に存在するdeath domain(名前ヤバい)というところにFADDというタンパク質が結合します。
FADDは、Fas-associated death domain proteinの略です。
それで、FADDはさらにカスパーゼ8と結合できるのですが、このFas、FADD、カスパーゼ8からなる巨大な複合体をDISCとかっこよく呼びます。
DISCは、death-inducing signal complexというらしいデス。
さっきから常に"death"が入ってますね。物騒デスね。
そして最終的に、DISC上で活性化したカスパーゼ8はカスパーゼ3・7を活性化して、以下内因性と同様にアポトーシスが実行されます。
...というわけで、以上2つの経路をしっかり理解・カスパーゼの数字の暗記をしておきましょう(数字は直前でもいい)。
このあたりは、どうしても穴埋め問題等で出題しやすいので狙われやすいです。
なので、流れと同時にそれぞれのタンパク質の名前も押さえながら勉強していくと良いかと思います。
それでは、また次回!
【学士編入】非生命系出身者が独学で生命科学を習得することはできるのか③
非生命系出身者が独学で生命科学を習得することができるのか 最終回です。
今まで挙げた独学ポイントは2つ。
①高校生物から復習するな!
②得意分野をつくれ!
それに加えて今回はさらに2つ。
もったいぶらずに先に言っちゃいますね。
独学ポイント③: 細かい知識を一度に詰め込もうとするな!
独学ポイント④: 問題演習は必須!
どちらも当たり前のようですが、しっかり意識することが大事ではないかと僕は思います。
まず③のほうですが、この一文の大事なところは"一度に"という部分です。
つまり、 完璧主義になるな、一回読んだだけで全部を知ろうとするな ということです。
失礼な言い方ですが、これはいわゆる学力の低い人が編入の勉強を試みるときに陥りがちな気がしています。
時々、大変マニアックな事項に関して「これ分かってないとマズイですよね?」と質問してくる方がいるのですが…
いや、僕だって知らんよ。それよりもっと知ってないといけないことあるのでは(⌒-⌒; )
と心の中で思ってしまいます。
何事においても押さえるべきポイントというのがあるので、それを独学の中で感じ取れる嗅覚みたいのは養っていく必要はあるかと思います。
その嗅覚の身に付け方は…ちょっと僕にはうまく説明できませんが、強いて言えばそれを意識して勉強し続けることでしょうか。
いずれにせよ、勉強の理解の進め方というのは一直線に掘り下げるのではなく、らせん状に深くなっていくイメージですね。ふにゃふにゃしてますがちょっと図にしてみました。
ある事項を学んで、また別の事項をまなんで、またまた別の事項を学んで…と繰り返していくと、気づいたら最初に学んだ事項の理解が深まってたなんてことはよくあります。
「あれ!?前回勉強した時は全然分からなかったのに、今なら分かるぞ!」みたいなやつです。
是非完璧主義にならず、いろんな景色を見るようにしましょう。
さて最後のポイント④ですが、これ自体は揺るぎようのない真実ですね。
具体的なやり方として今のところ思いつくのは次の3通り…
⑴ 一般入試向けの参考書で演習
⑵ カルスから出版されている『生命科学演習』をやる
⑶ 編入試験の過去問を解く
⑴は、僕は『お医者さんになろう医学部への生物 (駿台受験シリーズ)』という本を使っていました。
難関大中心の問題を収録していて、結構医学よりのトピックが多いのでとても勉強になります。
⑵は、解説が詳しくないのと出版されてすでに8年以上経過してる点がよろしくないですが、とりあえず問題演習で知識定着をはかる分には十分良書だと思います。
そして⑶が、本来最も効果の高い演習法になります。
しかし、過去問そのものが手に入らなかったり、手に入ったとしても模範解答がなかったりと一筋縄にはいきません。
これは、個人的には由々しき事態だと思っています。一般入試では各社予備校が過去問解説を無料公開しているのと対照的ですね。
カルスは十分儲かっているんだろうから、なんとか過去問とその解答の公開はできないんでしょうか…
まあということですので、独学の場合⑶はあまり有効ではなく、残りの⑴と⑵の方法で頑張るしかなさそうです。
…はい。以上、非生命系出身者が独学で生命科学を習得するためのポイントを挙げていきました。
まあ実際のところは、各々で実力も記憶力も違いますし一概には言えないんですけど、これが一つの道しるべになればいいなと思っております。
最後にポイントを再度まとめますと、
① 高校生物から復習するな!
② 得意分野をつくれ!
③ 細かい知識を一度に詰め込もうとするな!
④ 問題演習は必須!
となります。
いま独学で頑張っている方は、是非上記4つを少しでも意識してもらってこれからも頑張っていただければと思います!
それでは、また。
【学士編入】非生命系出身者が独学で生命科学を習得することはできるのか②
前回、「生命科学を学ぶのに高校生物の習得は必須か?」という問いを投げかけて終わりましたが、では早速僕なりの答えを述べさせていただきます。
端的に言えば、僕はノーだと考えます。
しかし、これにはいくつか補足があります。
まず、ノーと言える最大の理由は、もはやこの2つは別の教科だからです。
一般的には、高校生物は生命科学の下位互換のニュアンスで語られることが多いですが、実はそんなことないんじゃないか?というのが僕の主張です。
むしろほぼ並列関係にあってかついくつかの単元がオーバーラップしていると言った方が正確でしょう。
それだけ近年の高校生物で学ぶレベルが高いとも言えますし、また別の側面から見れば、これが生物学の持つ特色だということです。
前回の記事で言及した、"積み重ねの要素が薄い"ということですね。
この現象は、高校物理がいつまでも古典的なニュートン力学から抜け出さないのと対照的だと思います。
というわけで、まず基礎基本ということで高校生物を丁寧に復習するところから始めがちですが、思いの外非効率なんでないか?と思うのです。
ここまでで、一つの方向性が見えてきましたね。
独学ポイント①: 高校生物から復習するな!
でまあ、そう言い切るのは非生命系学部出身からすると非常にリスキーなの確かですが、実は他に高校生物からやる弊害というのがあります。
それは… 途中で心が折れてしまう可能性があるということです。
高校生物って受験の一教科ですし、やっぱり相当のボリュームがあるんですよね。
きっと本気で復習したら、大学院に通いながらとかならそれだけで半年はかかってしまうと思います。
その割には、結局編入試験の問題では知識不足だったりして、不完全なままです。
ということで、いきなり大学レベルの内容に入ってしまいましょう。
さあ次は、でもいきなり分厚い大学の教科書に手を出すの?という議論になりそうです。
それこそ心が折れますよね…
どうしましょう?
ここでまた僕は思い出したのです、自分がどうやって生命科学を身に付けてきたか。
それで思ったのは、やっぱり一個一個地道に理解していったんだな、ということです。
別に重厚な教科書を1ページ1ページめくって勉強してきたわけじゃなかったな、と。
だから僕からの提案は、もっと内容を絞った薄めの本を各単元ごと購入しよう、です。
というわけで、これをちょっと言い換えて2つ目のポイント
独学ポイント②: 得意分野をつくろう!
単元ごと個別で参考書を買うのには、主に上記の意図があります。だって、複数の本を並列に読んだらそれこそ分厚い教科書読んでるのと変わらないですからね。
それで、この独学ポイントには大きく2つのメリットがあります。それは…
・勉強が続きやすい
・本番で大当たりする可能性がある
一つの分野ばかりやることでそれに対する理解が深まっていって、無理せず勉強が続けられると思うんですよね。
さらに、深く理解したものは忘れにくいです。これも大きなメリットかと思います。
そしてなんと言っても2個目のメリット、得意分野が本番の試験で出題されたときに大きなアドバンテージとなります!
これは僕も経験がありますし、実際すごく精神的に優位に立てますよ。
まあこの勉強法の問題点は、その他の得意ではない分野をどうするか?でしょうかね。
それは僕の講義を読んでいただければおそらく最低限の知識・理解はできるはずなので是非これからも当ブログに目を通していただければと思います。
さて、とはいえ上記ポイント2つだけではまだまだ独学のハードルは高いだろうと思います。
ということで、次の記事でさらに2つのポイントを挙げていきますね!
それでは次回に続きます。
【学士編入】非生命系出身者が独学で生命科学を習得することはできるのか①
どうもこんにちは、タマころです。
ありがたいことに数名の方から編入に関するご相談を受けたりするのですが、その中で最も多い質問は
生命科学はどうやって勉強したらいいですか?(どうやって勉強しましたか?)
というものです。
何を隠そう僕も受験生当時、某予備校の某YOKO集を独自入手したもので、大抵「あれをやるのが良いよ」とアドバイスしているのですが…
まあでもその程度のアドバイスならみんなするだろうし、あの本はまとまりはいいけどゆうてそんなに分かりやすいわけではないんですよね。
そこで僕のブログ講義…と言いたいところですが、まだ全然未完成ですし、完成したところで人に薦められるほどの代物ではございません。
というわけで、この度ちょっと考えてみました!
コンセプトとしては、生命系学部出身ではなく編入専門予備校にも通わず、完全独学で生命科学を習得する勉強法です!
これだけ聞くと、夢のような話、絵空事ですよね。
まあ実際、ほとんど有りえない話かもしれません。
でも、どうしても独学でやらなきゃいけない人たちにとって少しでも道しるべになれるように、できる限り現実的な方法をご紹介します。
では、いきなり方法論を述べるのもなんなので、まず"生命科学を学ぶ"とはどういうことか考えていきましょう。(今日の話はココまで)
これは僕の経験になってしまうのですが、僕は高校生のとき生物が大っ嫌いでした。当然受験は物理選択でしたし、授業でやった生物はとりあえず期末テストでそこそこの点を取れればいいやと思っていました。
そして大学に入り獣医学部で専門の勉強をしたら、ひとまず代謝やホルモンをはじめ生化学・生理学全般は分かるようになりました。
しかし分子生物学は以前苦手なままでした(高校レベルもわからない)。
5年になり研究室に配属になったら、研究を進める過程である程度細胞内の細かいことや実験に関する知識がついていきました。
さらに編入試験の勉強で、抜け抜けだった分子生物学の理解を深めていきました。意外かもしれませんが、獣医学部の最終学年でもこの勉強はかなり新鮮でした。
そして、医学部に入ってまた基礎医学からやり直して現在に至ります。
まとめると、高校までは素人だった僕も、足掛け9年くらいかけて今の状態になったわけです。
でもそれでも、高校生物でわからないことがまだいっぱいあります。
…生物・生命科学を学ぶということは、そういうことなんです。
つまり、数学や物理と比較して積み重ねの要素は薄く、各々が面白いと思うことを追求している側面の強い科学分野なのですね。
ちなみ主観ですが、医学は積み重ねの要素が強い印象があります。それは国中の医師の診療レベルを一定以上に保つために必要なことだと思います。
さて話を戻すと、生命科学の理解というのはやはりどうしても時間がかかるし、ある程度"経験"みたいなところもあるということですね。
ではここで質問ですが、「編入の生命科学を学ぶためには高校生物の習得は必須か?」
みなさんどう思いますか?
これに対する僕の答えは… 疲れてきたので次の記事で示したいと思います。
【医学部編入】生命科学講義・細胞の死と癌化① ~ネクローシスとアポトーシス~
どうもこんにちは、タマころです。
今日は2017年4月1日、世間はエイプリルフールですね。
ネタ記事を期待したいところですが、残念ながら今日もいつもの調子で講義していきます。
むしろ間違った情報を提供してしまわないよう、気を付けて記事を書いていきたいと思います。
というわけで、今回のトピックは細胞死です。
わりかし問われる分野ですので、ここで説明した内容は最低限理解するようにしてくださいね。
まず、細胞死には大きく2種類あります。
さすがにご存じですかね。
ネクローシスは日本語で言えば「壊死」になります。
対してアポトーシスは「プログラム細胞死」と言ったりします(同義ではない)。
2つの違いは当然いくつかありまして、よく表とかでまとめられたりするんですが、なかなか覚えられなくないですか?
やはり記述形式でその違いを出題されたりするので、正確に覚えているのが望ましいのですが...
ここではざっくりと一言で言い表すと
ネクローシス・・・細胞大きくなる→破裂する→内容物でる→炎症起きる
アポトーシス・・・細胞小さくなる→ちぎれる→粉々になる→アポトーシス小体
といった感じです。スタートから真逆ですね。
ネクローシスではいろいろ膨らむのですが、とくにミトコンドリアが著明に腫大することが重要のようで、教科書やネット等のネクローシスの説明では必ずといっていいほど登場します。
なので、当然記述するときも必須項目になるかと思います。
そして本題のアポトーシスですが、もうほんと、アポトーシスだけで大問一つ作れるんじゃないか?というくらい問われる部分が多い気がします。
それほどメカニズムがよく分かっているってことですよね(それだけ研究者たちの興味がそそられる現象)。
まず、アポトーシスにおいて最も重要な因子(群)は、カスパーゼと呼ばれる酵素です。
カスパーゼにいくつか種類があって、それぞれ番号がついてます(またこれが厄介)。
それで、とても大事なこととして、アポトーシスが誘導される経路には内因性経路と外因性経路と2つが存在します。
ここがなによりポイントです。このメカニズムはある程度知ってないとマズいです。どうも編入試験的にはこのあたり好物なようで。
このまま続けると記事が長くなってしまいそうなので、次回それぞれの経路について詳しくみていきましょう。
今日は短めですがこの辺で。