「編入受験生たるものエッセンシャル細胞生物学の一冊くらいうんぬん…」という風潮
どうもこんにちは、タマころです。
今日の話題は、まあタイトルにある通り、医学部学士編入学試験におけるエッセンシャル細胞生物学の立ち位置についてです。
なぜこんな話をするかというと、「これ一冊くらいできないと医学部入ってからの勉強についていけないよ?」的なニュアンスで煽ってくる先輩(合格者)を結構見かけるからです。
まあ一理はありますし、正論ではあるのでなかなか否定しづらいんですよね。
ですが、ここではあえてきつめに言わせてもらうと…
んなわけないから。
いやいや、大げさでしょうよと。
というか、あなた自身、本当にあの本の内容をすべて身に付けたんですか?と聞きたいくらいです。
もちろん、あのような成書を通読するというのは非常に大事なことですし、力もそれなりにつきます。
ただ、それを神格化して他人にそれを強要したり、または不安を煽るのはよろしくないと思うのです。
さて、このままではただの悪口で終わってしまうので、なぜ僕がこう主張するのかという理由をいくつか挙げますね。
先に断っておきますが、ある程度主観入ってるので異論は認めます。
①知識が少ない者が成書を読むのは非効率
まあこれは皆さんも経験したことあるのではないかと思います。
大学受験とかでも、高校の教科書よりも本屋で売ってる面白おかしく書かれた参考書の方がわかりやすいですよね。
ちゃんとした本というのは、たしかにその学問を修めたいと考える者がすべからく読むべきものだとは思うのですが、試験に合格する上ではその考え方は障害になり得ます。
初学者にとっては、やはり良い先生に教えてもらうというのが一番効率的だし、そうでなくても平易に書かれた薄めの本というのは理解を助けてくれるものです。
②エッセンシャル細胞生物学の内容≠学士編隊の試験範囲
近年の編入試験の傾向を見ると、以前よりも医学をバックグラウンドにした設問が多数見受けられます。
試験範囲としてはたしかに分子生物学であっても、ある疾患との関連で出題されていたりして、ただ漠然と生命科学を勉強していただけでは対応できない場合が多々あります。
つまり、エッセンシャル細胞生物学を読むだけでは、全部頭に入っていたとしても満点はなかなか取れないのが実情ということです。
③選抜試験の勉強においては、アウトプット(演習)の比重が大きい
大学の勉強で分厚い本を読むことは非常に重要です。
わかりにくくても耐えて読みきって、理解して、それを人に説明できるくらい咀嚼する、この作業が科学者としての基盤を構築するでしょう。
しかし、編入受験生がエッセンシャル細胞生物学を読むのはあくまで試験に通るため。
であれば、インプットと同時にアウトプットも非常に大切になってきます。
アウトプットをする上では、あの本だけでは不十分と言わざるを得ません。
ちなみに、編入試験におけるアウトプットの教材というのは乏しく、カルスに通わない限りマトモに手に入らないのが実情です。
高校生物の範囲に限っては、以下の本が個人的にオススメです。
④カルス生と勝負するため
現実的には、これが一番大きな理由です。
この差がどれほどのものかということを分かってもらうために、近年の医師国家試験に対する勉強に例えてお話させていただきます。
最近の医学生は、分厚い医学書読まないんですよ。もちろん自ら進んで読んでる人もいますが、避けて通れちゃいます。
それを可能にしてるのが、まず一つに「病気が見える」に代表される参考書の存在です。
現代の医学教育では綺麗な図つきのカラー刷りの参考書が多数出版されていて、それを使って医学生は勉強します。
また、医師国家試験予備校が東進のようなビデオ講義なるものを展開していて、6年生になるとそのビデオを何周したかみたいな話題に終始します。
決して、分厚い本の代名詞である「ハリソン内科学」を読破したか、のような話にはならないのです。
そしてこれを編入試験に例えるならば、エッセンシャル細胞生物学のみで対策するということは、みんなが「病気が見える」とビデオ講義を使っている隣でハリソン内科学を読んでいるようなものです。
カルスのテキストとそれに対応する井○先生の講義は、まさに現代流の国家試験対策に近いものを感じます。
…という感じで、お話したかったことは以上になります。
最後に、繰り返しになりますが、分厚い成書を読むというのは辛い事もありますが、自力をつける上では非常に重要な過程です。
なので、編入試験に合格した曉には、入学までの暇な時間を使って是非通読してみてください。
ちなみに、僕は「病気が見える」を一冊も所持していませんし、国家試験予備校のビデオ講義も購入していません。
そういうやり方もあるのです。ただ、その価値観を他人に押し付けてはならないわけです(逆もまたしかり、「え!ビデオ講義見ないなんて落ちるよ!おかしいよ!」というのもナシ)。