第2回タマころ模試
今回は、前半を択一式問題にして幅広い生命科学に関する知識を問い、後半は記述問題を含んだよくある出題形式にしました。
編入受験生の方は、もし良かったらチャレンジしてみてください!
問題用紙
https://drive.google.com/open?id=13eaF27KxUDtuc0danZTDUKiPI9HjvbA8
解答用紙
https://drive.google.com/open?id=1dE9RXLq04wCBbdg2YGrXSwr0NUXWnjIE
解答・解説は以下のリンクから購入できます(1,000円+税)。
https://education.dlmarket.jp/products/detail/505919
「編入受験生たるものエッセンシャル細胞生物学の一冊くらいうんぬん…」という風潮
どうもこんにちは、タマころです。
今日の話題は、まあタイトルにある通り、医学部学士編入学試験におけるエッセンシャル細胞生物学の立ち位置についてです。
なぜこんな話をするかというと、「これ一冊くらいできないと医学部入ってからの勉強についていけないよ?」的なニュアンスで煽ってくる先輩(合格者)を結構見かけるからです。
まあ一理はありますし、正論ではあるのでなかなか否定しづらいんですよね。
ですが、ここではあえてきつめに言わせてもらうと…
んなわけないから。
いやいや、大げさでしょうよと。
というか、あなた自身、本当にあの本の内容をすべて身に付けたんですか?と聞きたいくらいです。
もちろん、あのような成書を通読するというのは非常に大事なことですし、力もそれなりにつきます。
ただ、それを神格化して他人にそれを強要したり、または不安を煽るのはよろしくないと思うのです。
さて、このままではただの悪口で終わってしまうので、なぜ僕がこう主張するのかという理由をいくつか挙げますね。
先に断っておきますが、ある程度主観入ってるので異論は認めます。
①知識が少ない者が成書を読むのは非効率
まあこれは皆さんも経験したことあるのではないかと思います。
大学受験とかでも、高校の教科書よりも本屋で売ってる面白おかしく書かれた参考書の方がわかりやすいですよね。
ちゃんとした本というのは、たしかにその学問を修めたいと考える者がすべからく読むべきものだとは思うのですが、試験に合格する上ではその考え方は障害になり得ます。
初学者にとっては、やはり良い先生に教えてもらうというのが一番効率的だし、そうでなくても平易に書かれた薄めの本というのは理解を助けてくれるものです。
②エッセンシャル細胞生物学の内容≠学士編隊の試験範囲
近年の編入試験の傾向を見ると、以前よりも医学をバックグラウンドにした設問が多数見受けられます。
試験範囲としてはたしかに分子生物学であっても、ある疾患との関連で出題されていたりして、ただ漠然と生命科学を勉強していただけでは対応できない場合が多々あります。
つまり、エッセンシャル細胞生物学を読むだけでは、全部頭に入っていたとしても満点はなかなか取れないのが実情ということです。
③選抜試験の勉強においては、アウトプット(演習)の比重が大きい
大学の勉強で分厚い本を読むことは非常に重要です。
わかりにくくても耐えて読みきって、理解して、それを人に説明できるくらい咀嚼する、この作業が科学者としての基盤を構築するでしょう。
しかし、編入受験生がエッセンシャル細胞生物学を読むのはあくまで試験に通るため。
であれば、インプットと同時にアウトプットも非常に大切になってきます。
アウトプットをする上では、あの本だけでは不十分と言わざるを得ません。
ちなみに、編入試験におけるアウトプットの教材というのは乏しく、カルスに通わない限りマトモに手に入らないのが実情です。
高校生物の範囲に限っては、以下の本が個人的にオススメです。
④カルス生と勝負するため
現実的には、これが一番大きな理由です。
この差がどれほどのものかということを分かってもらうために、近年の医師国家試験に対する勉強に例えてお話させていただきます。
最近の医学生は、分厚い医学書読まないんですよ。もちろん自ら進んで読んでる人もいますが、避けて通れちゃいます。
それを可能にしてるのが、まず一つに「病気が見える」に代表される参考書の存在です。
現代の医学教育では綺麗な図つきのカラー刷りの参考書が多数出版されていて、それを使って医学生は勉強します。
また、医師国家試験予備校が東進のようなビデオ講義なるものを展開していて、6年生になるとそのビデオを何周したかみたいな話題に終始します。
決して、分厚い本の代名詞である「ハリソン内科学」を読破したか、のような話にはならないのです。
そしてこれを編入試験に例えるならば、エッセンシャル細胞生物学のみで対策するということは、みんなが「病気が見える」とビデオ講義を使っている隣でハリソン内科学を読んでいるようなものです。
カルスのテキストとそれに対応する井○先生の講義は、まさに現代流の国家試験対策に近いものを感じます。
…という感じで、お話したかったことは以上になります。
最後に、繰り返しになりますが、分厚い成書を読むというのは辛い事もありますが、自力をつける上では非常に重要な過程です。
なので、編入試験に合格した曉には、入学までの暇な時間を使って是非通読してみてください。
ちなみに、僕は「病気が見える」を一冊も所持していませんし、国家試験予備校のビデオ講義も購入していません。
そういうやり方もあるのです。ただ、その価値観を他人に押し付けてはならないわけです(逆もまたしかり、「え!ビデオ講義見ないなんて落ちるよ!おかしいよ!」というのもナシ)。
【医学部編入】生命科学講義・核酸 ~ヌクレオチド~
どうもこんにちは、タマころです。
今回からは一応、新しい単元として"分子生物学"というくくりになります(前回までは細胞生物学)。
まあ一言でいえば、遺伝子に関する分野ですね。
まず初回の今日は、基本事項ということで、遺伝情報を担うDNA(デオキシリボ核酸)のさらにその構成単位であるヌクレオチドについて勉強していきます。
さあ、百聞は一見にしかずということで、まずは以下の図をご覧になってください。
(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/核酸)
wikipediaより引用しましたが、この図はいい具合に端折られてかつ炭素の番号がハイライトされてて、理解するには非常にいいんですよね。
具体的に見ていくと、真ん中が糖で、左にリン酸基、右に塩基(bace)が付いている構造になっています。
つまり、糖・リン酸・塩基の3つの構造が合わさっているわけですね。
そしてこれらをひっくるめて、核酸の構成単位として「ヌクレオチド」と呼びます。
もっと噛み砕いた図でみると…
(http://www.mogella.com/dendo/col/index.php?eid=101)
こういうイメージになります。
ここでポイントは2点あって、一つは糖が五炭糖(ペントース)であること、もう一つは塩基には5種類あるということです。
ヌクレオチド内にあるこの五炭糖のことを、「リボース」もしくは「デオキシリボース」といいます。
ちなみに上のwikipedia引用の図は、リボースですね。
この2位の炭素についているOHがHになると、デオキシリボースになります。
そして、塩基の種類についてですが、これは常識でしょう
アデニン(A)
グアニン(G)
シトシン(C)
チミン(T)
ウラシル(U)
の5つがあります。
そして、AとT(またはU)、GとCがペアになります。
ウラシルはDNAでは登場せず、RNAでチミンの代わりをします。
(http://www.mogella.com/dendo/col/index.php?eid=101)
あと大事なことは、水素結合の数です。
AとTの結合は2個の、GとCの結合は3個の水素結合が存在します。
それで覚え方は…あの、野球知ってる人は、G.G.佐藤って選手いたじゃないですか?落球で有名の。
それに掛けて G-C 3個 とかどうでしょうか?
つまらんシャレ言ってスミマセンf^_^;
あと残すは、ヌクレオチド同士の結合についてです。
ヌクレオチド同士は、リン酸基のOHと糖の3位の炭素に付いてるOHとが、縮合重合することで連なります。
大事なところは、赤字にもしてる通り炭素の番号ですね。
もう一度、ウィキから引用の図を貼ります。
この図の通り、リン酸基が付いてる炭素は5位なので、いわば5位と3位が結合することになります。
そしてこの結合は非対称になるため、5位の方向を5'側、3位の方向を3'側というように名付けます。
そうそう、あとヌクレオシドという単語があることを簡単にご紹介しておきます。
ヌクレオシドは、非常にややこしい存在なのですが、ヌクレオチドの3つの構成要素のうちリン酸を除いた糖と塩基のみからなるものです。
一文字違いなので本当に紛らわしいですね…
はい、というわけで以上がヌクレオチドに関する基本事項になります。
基本事項とは言いましたが、知らない人は知らない話で、まあまあ差がつきやすいところなのかなと思います。
では、次回からは本格的な分子生物学の内容に入って、DNAの複製と修復機構についてお話していこうと思います。
【医学部編入】生命科学講義・シグナル伝達④ ~チロシンキナーゼ受容体~
どうもご無沙汰してました、タマころです。
今回はシグナル伝達のラスト、チロシンキナーゼ受容体について触れていきたいと思います。
まあこの受容体、編入で登場するなら十中八九インスリン受容体です。
はい。つまり、
インスリン受容体=チロシンキナーゼ型
ということを知ってるだけで、穴埋めとかで点が取れちゃう場合もあります。
ちなみに、他にはRas系やサイトカイン受容体が挙げられますが、出題頻度は低めでしょう。
それで、チロシンキナーゼ受容体ではどのようにシグナル伝達していくのでしょうか?
まず、形が重要です。あと、受容体にリガンドがくっついてからの動きも大事です。
このあたり、いい図が見つからなかったのと、その動的な部分を伝えたいことがあって、以下外国の方のユーチューブ動画を貼り付けました。
定期的にぼやけるんでちょっと見づらいのですが、つまるところ、リガンドがくっつくとチロシンキナーゼ受容体は近づいて二量体を形成して、お互いのチロシン残基のOH基をリン酸化しあって、それによって下流にシグナルが伝達していく、ということです。
分かりましたかね?
……
あ、終わっちゃいましたね今日のお話^^;
しかし動画ってすごいですね。今回初めて参考資料として利用させていただきましたが、文字に起こすと結構説明が大変なことも、一発。
百聞は一見にしかずって感じですねぇ。
さて、とはいえこれで終わりでは寂しすぎるので、いくつか補足いたします。
まず、インスリン受容体の場合が特殊なのかちょっとわかりませんが、先ほど「お互いのチロシン残基をリン酸化する」と書きましたが、自己リン酸化も起こるようです。
さまざまなウェブページを参照すると、どうも自己リン酸化がメインのような書かれ方をされていますが、https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics1964/36/11/36_11_776/_pdfによると、"トランス"のリン酸化が主であると述べられています。
どちらが本当なのでしょう?詳しい方がいたら教えていただきたいです。
あとは、動画内でなにか青い色のした物質がリン酸化部位にひっついてましたよね。あのひっついている青い物質側のくぼみの部分をSH2(src homology 2)ドメインと呼びます。
つまり、SH2ドメインを持つタンパク質は、活性化した(リン酸化された)チロシンキナーゼ受容体にくっつくことで自分がリン酸化されて、活性化状態になるわけですね。
そうやって、今度はそのタンパク質が下流にシグナルを伝えていきます。
この2点くらいでしょうか。
まあ、細かいことを言えばまだ知るべき事項はあるのですが、チロシンキナーゼ受容体そのものに馴染みがない方も多いでしょうし、今日はこれくらいの説明にとどめます。
次回からは分子生物学というくくりになりまして、ざっくり言うと遺伝子に関して勉強していく予定です。
引き続き、よろしくお願いします。
【医学部編入】生命科学講義・シグナル伝達③ ~Gs・Gi・Gq セカンドメッセンジャー~
どうもこんにちは、タマころです。
前回はGタンパク質連結型受容体には種類がいくつかあるよ(Gs・Gi・Gq) というところで終わりましたので、本記事ではそれぞれの違いについて説明していきます。
Gs
まずGsは、stimulate(刺激する)という意味でしたね。
これは、Gタンパク質のαサブユニットが活性化してから...
アデニル酸シクラーゼ(AC)の活性化
→ 細胞内のサイクリックAMP(cAMP)量増加
→ プロテインキナーゼA(PKA)の活性化
→ PKAがいろいろな生理機能の変化を起こす
というカスケードを経て、機能を果たします。
Gi
反対に、Giは、inhibit(抑制する)の意味でしたね。
こちらは、同様にαサブユニットが活性化するわけですがその後は真逆に動きまして…
アデニル酸シクラーゼ(AC)の活性化を抑制
→ 細胞内のcAMP量減少
→PKAの活性を抑制
という流れで抑制的な効果を発揮します。
2つの毒素
それで、GsとGiという若干マニアックにも思われる知識がなぜ試験で問われやすいかということなんですが、それにはある毒素の存在があります。
それは...
コレラ毒素 と 百日咳毒素
です。
この2つ、すごい似ている毒素なんです。どちらもGタンパク質に作用するのですが、その違いは微妙なところなんですよ。
結論を先にいうと、どちらも細胞内cAMP濃度を増加させます。まずこの結論ありきで考えたほうが、覚え間違わないように済むかと思います。
毒素が活性化した(GTPの結合した)Gsタンパク質をADPリボシル化して、不活性化型(GDP結合型)に変換できなくします。
そうすることでGsは活性化しっぱなしになり、アデニル酸シクラーゼの活性が促進され続けて、結局cAMP濃度が異常に上昇してしまいます。
次に百日咳毒素の場合、今度はGiに作用します。
この毒素もやること自体は、ADPリボシル化という上記と同じものなのですが、こちらでは不活性型の(GDPの結合した)Giタンパク質を活性化型に変換できなくしてしまいます。
その結果アデニル酸シクラーゼの活性は抑制されず、やはりcAMPは異常に上昇します。
(https://cdminny.blogspot.jp/2013/11/wiltims-70-new-look-same-great-taste.html)
なかなか機序が難しいですが、学問的には面白い対比なのでしょうね、割とトピックに取り上げられやすいみたいです。
はじめはぼんやりとした理解でも構わないので、毒素の名前と最終的に起こる変化くらいはおさえておきましょう。
Gq
さて、残るGタンパク質のGq。これは由来不明で、上記2つとは異なる伝達をしているという話でしたね。
具体的には、
Gqの活性化
→ ホスホリパーゼC(PLC)を活性化
→ ホスファチジルイノシトール二リン酸(PIP2)を加水分解
→ 細胞内のイノシトール 1, 4, 5 -三リン酸(IP3) と
ジアシルグリセロール(DG)量増加
→ IP3が小胞体に作用してCaイオンを放出
DGがプロテインキナーゼC(PKC)を活性化
→ CaイオンやPKCがさまざまな生理活性を促す
といった具合に反応が進みます。
Gqについては、これより深い話はたぶんそう問われないと思われます。
なので、この矢印で示したカスケードの流れを、物質名を含めておさえていけば十分でしょう。
セカンドメッセンジャー
この単語をなくしてはシグナル伝達を語れませんよね。
名前は本当によく聞きます。しかし、定義としてはどういうものを指していて、その生理的な意義はなんでしょうか?
まず定義は、ウィキペディアを参照すると
細胞内において、情報伝達物質が受容体に結合すると、新たに別の情報伝達物質が作られ、これが細胞の代謝や変化に影響を及ぼす。この二次的に産生される情報伝達物質のことをセカンドメッセンジャー(英文表記:Second messenger system)という。
ということのようです。
この定義そのものを聞いてくることもあるので、受験生の方はこのニュアンスは頭に入れておくといいでしょう。
Gs・GiでいうとcAMP
GqでいうとIP3やDG
になります。
そして、その存在意義は大きくは2つ考えられます。
一つは、ファーストメッセンジャー(リガンド)は無数にあるわけで、もしそれぞれ別個で固有のシグナル伝達を用意していたら、それに対応するタンパク質もまた無数に必要になって、そんなことは有限の遺伝子では不可能だから。
もう一つは、少ない量のファーストメッセンジャー(リガンド)からの刺激が、受容体の活性化という形に変わり、それによって多くのセカンドメッセンジャーが合成され、そこから多数の酵素が活性化されるという、情報の増幅としての役割。
このあたりになるかと思われます。
一見当たり前のような話ですがいざ深く考えてみると難しい、といった雰囲気がありますよね。ワード自体は初学者でも知っているようなものではあるのですが。
というわけで、Gタンパク質によるシグナル伝達の細かい話は以上になります。
次回はチロシンキナーゼ受容体について勉強しましょう(短めになるかと思います)。
【医学部編入】生命科学講義・シグナル伝達② ~Gタンパク質共役型受容体~
どうもこんにちは、タマころです。
では前回の続きでGタンパク質共役型受容体について勉強しましょう。
まずこの受容体は細胞膜にあって、7回膜貫通していることがすっごい特徴です。
それゆえに、別名で7回膜貫通型受容体と呼ばれたりもします。
まあ百聞は一見に如かずということで、ネットで拾った図を以下に示します。
(http://kusuri-yakugaku.com/pharmaceutical-field/pharmacolory/receptor/membrane-receptor/gpcr/)
たしかに7回細胞膜を貫いてますね。
そして何より重要な構成要素になるのが、細胞の内側にある青いやつです。
これがGタンパク質なのです。
しかし、Gタンパク質の"G"っていったい何でしょうか?
これはあえて長くいうと、GTP結合タンパク質といいます。普段はそれを略しているわけですね。
なのでこの"G"はGTPのことなのです。
というわけで、このGTPというのが今回のシグナル伝達のキーファクターとなるんですよ。
上の図のようにGタンパク質は3量体を形成して、αβγという名のサブユニットに分けられるんですが、そのうちのαサブユニットにはGTPまたはGDPが結合しています。
GDPとはGTPのリン酸基が一個とれたものですね。念のため。
それで、普段はαサブユニットにはGDPが結合していて不活性化状態なのですが、その受容体にリガンドがくっつくとGDPが遊離して代わりにGTPが結合して活性型になります。
その結果、αサブユニットは立体構造が変化してβγサブユニットから遊離し、独り立ちします。そして、ほかの酵素の活性を修飾します。
これが、Gタンパク質共役型受容体にリガンドが結合した際に起こる一連の反応です。
では、この受容体には例えばどんな種類があるのでしょうか?
まずはじめに断っておきますが、死ぬほどたくさんあります笑
前回の記事でも言いましたが、いちばんメジャーなシグナル伝達系ですので…
その上で超代表格を挙げれば、やはりアドレナリン受容体でしょうか。
かの有名な、緊迫した場面とかで「アドレナリンが出てるから大丈夫」とかいうあれですね。
なんと困ったことに、実はアドレナリン受容体と一口でいっても、その中でいくつか種類があるのです。
たとえばα1受容体とかβ2受容体とかいったりします。なお、このαβは先ほど出てきたGタンパク質のサブユニットとは関係ありません。
それで、α1受容体がどこに発現してるとかは、それは医学部に入ってからやる内容なので編入としてはそこまで勉強しなくていいのですが、いかんせんそれぞれでGタンパク質の種類も違かったりしてそこは問われる可能性があるのです!
そうなんです!Gタンパク質にも種類があるのです!(がーん
具体的には、
Gs Gi Gq
と主に3種類あります。
それぞれを簡単に説明していきますと…
Gsのsはstimulate(刺激する)の頭文字で、興奮性のシグナル伝達を行います。
Giのiはinhibit(抑制する)の頭文字で、こちらは抑制性のシグナル伝達を行います。
Gqのqは由来不明(がーん)で、上記二つとは異なる伝達をしていきます。
じゃあそれぞれどのような機序で興奮させたり抑制させたりするのでしょうか?これについては次回説明していきます。
【医学部編入】生命科学講義・シグナル伝達① ~総論・細胞内受容体~
どうもお久しぶりです、タマころです。
いやぁ、前回の講義から1ヶ月も経ってしまった。。。猛省
さて、言い訳をしても仕方がないので早速内容に入りますが、今回からはシグナル伝達についてざっと勉強していきたいと思います。
一言でシグナル伝達と言いましても、まあ実際はいろいろありますよね。
なかなか網羅的にみていくことは難しいのですが(僕もそんなに詳しくないですし)、ここでは超有名どころといいますか、比較的試験に出そうなものだけを取り上げていきます。
まず、シグナル伝達というのは何かというと、ある細胞が外部の状況(情報)を受け取ってそれに応じて適切に反応するためのものです。
外部の情報というのは結局、細胞の周りに存在する物質を指すことになります。細胞が自身の周りにある物質に対する受容体を持っていればそれらは結合して、その結果細胞は情報をキャッチできるわけですね。
それで、受容体というのは大きく3つの種類にわけられます。それぞれ簡単な説明も付け加えました。
細胞内(核内)受容体・・・リガンドは脂溶性。多くはステロイド受容体。
Gタンパク質共役型受容体・・・いちばんメジャー。シグナル伝達とえばこれ。
チロシンキナーゼ連結型受容体・・・ほぼほぼインスリン受容体が問われる。
はい、まずこの3種類の簡単な違いをしっかり意識して、その上でステロイド=細胞内(核内)受容体!インスリン=チロシンキナーゼ受容体!と一対一対応させましょう。
ステロイドが細胞内受容体は常識だとして、インスリンがチロシンキナーゼ受容体というのは知らない人は知らないですよね。それゆえ差が出ます。
あとのリガンド・受容体の関係はたいていGタンパク質型でしょうか。
まあでも、Gタンパク質と一口で言っても種類がいくつかあるのがやっかいですね。でもその問われ方は結構ワンパターンな気がします(場合によってはマイナーな出題があるかもしれませんが、そしたらみんな分からないので結局差つきません)。
本記事ではステロイドホルモン受容体について扱って、あとの2つは次回以降に回したいと思います。
"ステロイド" 名前はよく聞くと思います。皆さんはこの単語に対してどのようなイメージを持っていますか?
おそらく、どちらかというと悪いイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。
これは、ステロイドという薬剤に副作用が多いことに起因しますが、特に日本での嫌われようは異常です。
その昔、夜の某報道番組においてステロイドの害悪についての特集が組まれたことがあるらしく、それによって日本人のステロイドのイメージは地に落ちたということのようです。
さて、そんな話はどうでもよいのですが、そもそもステロイドという言葉がなんだか漠然とした表現ですよね。まあ一般的にはほぼ副腎皮質ホルモンのことを指します。
化学的性質としては、前述のとおりステロイドホルモンは脂溶性ということがなにより重要です。
それで、ステロイド自体には多くの作用があるのですが、薬として利用される際は主に以下の2つの作用を期待します。
抗炎症作用 と 免疫抑制作用
です。
なので、炎症を抑えるためにステロイドは使われたりするのですが、同時にそれによって免疫力は低下します。
そうすると、例えば感染症による皮膚炎にその炎症を抑えようとステロイドを使ってしまうと、その局所での免疫が低下して感染がよりひどくなる、すなわち皮膚炎がより悪化したりしてしまうんですよね。
次に、じゃあなんでこれらの作用を有するのか?ということが疑問に浮かぶでしょう。
これについては、実は僕ポリクリで皮膚科を回った際、外用ステロイドのレクチャーをしてくださった先生に直接その疑問をぶつけたことがあります。
が、その先生曰く、実はまだ詳細はわかっていない、とのことでした。
とにかく、ステロイドホルモンというのは様々な遺伝子の発現を制御することでアウトカムとしては抗炎症の効果を発揮する方向に傾くわけですが、その機序をすべて把握するのはやはり難しいようです。
では、ざっくりとした話で、どうやって細胞の遺伝子発現に働きかけるのでしょうか。
毎度ながらネット上で非常にきれいでわかりやすい図を発見したので、まずそれを貼り付けますね。
(https://blogs.yahoo.co.jp/yuyamichidori/10855535.html)
はい、まあこの図の通りです。
つまり、細胞質内にある受容体にステロイドホルモンが結合すると、その複合体は核内に移行して、その受容体そのものが転写因子となって特定の遺伝子の発現を制御します。
ここの重要なところは、「受容体そのものが転写因子となる」という点です。
受容体そのものが転写因子となる、です。大事なことなのでこれで三度言いました。
この図の流れ分かっていれば、細胞内受容体に関してはまあOKではないでしょうか。
はい、というわけで、では次回は細胞膜受容体についてお話しします。