【医学部編入】生命科学講義・神経生理学④ ~活動電位~
どうも、タマころです。
今日は活動電位について勉強しましょう。
活動電位も静止膜電位の形成と同様けっこう奥が深いのですが、あまり深追いしすぎないように解説していきます!(本当は自分が理解しきれてないだけ^^;)
Point① ナトリウムイオンが大事
静止膜電位の形成にはカリウムイオンが大事でしたね。
活動電位では、今度はナトリウムイオンが主役になります。
細胞が刺激を受けると膜電位が静止膜電位の-70mVから上昇していくわけですが、それが-40mV付近まで達すると活動電位が発生します。
それは、電位依存性ナトリウムチャネルというのが開口し始めるからです。そして、そのあたりの膜電位の値を閾値(いきち)といいますね。
電位依存性ナトリウムチャネルが開くと、ナトリウムイオンは細胞外のほうが濃度が高いので、一気に細胞内に流入します。
そうして、急減に膜電位は上昇していきます。
これが活動電位の発生になります。
Point② カリウムイオンも働いてるよ
活動電位の波形を見る前に、一応このことを強調しておきたいです。
実は活動電位が発生すると、ほぼ同時にまたはちょっと遅れて複数のカリウムチャネルも開口して、カリウムイオンは細胞外に出ていきます。
一応これ自体は膜電位を負の方向にもっていく動きなのですが、上記のナトリウムチャネルによるナトリウムイオンの流入による正方向の移動のほうが激しいので、結果的に打ち消されて見えなくなってしまいます。
Point③ 活動電位の一連の流れ
(http://sakurasakukango.web.fc2.com/saibou_kouhun.html)
まあよく見るやつですね。穴埋めで出題される可能性もあるので名前もちゃんと確認しながら、順番に流れをみていましょう。
「閾値」に達する
→電位依存性ナトリウムチャネルが開く
→急激に「脱分極」する
→膜電位は0mVを超え「正」になる(この状態を「オーバーシュート」と呼ぶ)
→+30mVあたりで電位依存性ナトリウムチャネルが閉じる
→それにわずか遅れて今度は電位依存性カリウムチャネルが開く
→その後はピークを迎え「再分極」していく
→電位依存性カリウムチャネルが閉じる
→いったん静止膜電位を超えて「過分極」する
→元の静止膜電位に戻る
基本的な事項ですので、しっかり押さえましょう。
ちなみに、刺激が閾値に達しなければ当然活動電位は発生しないわけで、この性質を「全か無かの法則」呼びますね。念のため。
Point④ 最後過分極してるけど?
過分極が起きてしまうのは、電位依存性カリウムチャネルの閉じるタイミングがちょっと遅いからです。
そのため、膜が十分再分極した後もカリウムイオンの流出が続き、一時的に膜電位が通常の静止電位よりもさらに低くなってしまうのです。
この過分極状態をアンダーシュートと言ったりもします。
それで、この状態から元の静止膜電位に戻る際に、カリウムイオンは普段の向きとは反対に、つまり細胞外から細胞内の向きに流れていくわけですが、その時だけに効率的にはたらくチャネルがあったりします。
その名も
内向き整流性カリウムチャネル
というやつです。
これは、外向きにいくよりも内向きのほうが効率的にカリウムイオンを通すチャネルで、そう呼ばれています。これが過分極時にははたらいて、膜電位を速やかに静止膜電位の値に近づけます。
Point⑤ 不応期
これは有名ワードですね。
一回活動電位が発生すると、ちょっとの間(数ミリ秒という単位)また刺激を加えても再び活動電位が発生しないというやつです。
大事なことは、その存在意義ですよね。
不応期の存在のおかげで、興奮の伝導は一方方向にのみ伝わっていけるわけですね。
簡単な話ですが記述で問われたりすることもあるので、ビシッと書けるようにしておきましょう。
さて、不応期にはさらに絶対不応期と相対不応期がありますね。
絶対不応期:再分極の途中まで(2ミリ秒程度)で、どんな刺激にも反応しない
相対不応期:絶対不応期後の数ミリ秒間で、閾値が上昇している(強い刺激にのみ反応する)
まあ編入試験ではさらに不応期の起こるメカニズムとかまで問われるかもしれませんね。よかったら、そのあたりはご自身で調べてみてください。
というわけで、今回は基本事項に終止してしまいましたが活動電位については以上となります。
次回はシナプス関係の話になります。