再受験・学士編入で医学部を目指そう

20代後半、男。医師・獣医師。 医学部受験情報の発信や編入向けの生命科学の解説をしていきます。2018年3月31日より医学部編入受験生のためのウェブサイトMediTransを立ち上げましたhttps://www.meditrans.solutions

【医学部編入】生命科学講義・細胞の営み② ~細胞接着~

どうもこんにちは、タマころです。

いやぁ、一週間も更新が滞ってしまいました^^;
すみません。



それでは早速、内容に入りましょう。
前回やり残した細胞接着について、今回お話します。


細胞接着の種類

細胞接着には、大きく4つのタイプが存在します。

密着度の高い順に…

・タイトジャンクション
・接着帯(アドヘレンスジャンクション)
・接着斑(デスモソーム)
・ギャップジャンクション

となります。


図解としては、以下のようなイメージになります。

f:id:tamakoro1k:20170206112245g:plain
(http://kusuri-jouhou.com/creature2/tokuchou.html)


右のやつは、接着帯と接着斑の拡大図ですね。


特にこのなかで重要なのは、最初と最後の2つ。


タイトジャンクション と ギャップジャンクション


正直なところ、医学的にはこの二元論になりがちです。

細胞間がピチッとくっついているか、ちょっと離れているか。

つまりそういうお話です。


しかし、編入試験的には真ん中の二つも出題されるので、4つの違いは理解しておく必要があります。


タイトジャンクション

先ほども言及したとおり、細胞同士がタイトに結合しています。

そのため、物質がその間を通過できません


これはいわば、バリアですね。

バリア・・・では、身体でバリア的な役割をする必要があるところはどこでしょう?

そう、身体の表面(消化管の内腔も含む)ですね。

外敵が入らないように、身を守らなければなりません。
もちろんそれ以外にも、細胞の間に物質を通過させないというのは、いろんな利点があります。

ということで、タイトジャンクションは特に上皮細胞で発達しています


また、この結合にはクローディン claudinオクルーディン occludin と呼ばれる接着分子が関与しています。


接着帯(アドヘレンスジャンクション)

この結合に間して最も重要なのは、おそらく接着分子がなにか?ということでしょう。


その名も

カドヘリン cadherin

というやつです。

カドヘリンの"カ"はカルシウムCaの"カ"です。それに接着を意味する adhere を足して、cadherin になります。

この名が何を意味するかというと、カドヘリンはCaイオン依存性であることを指しています。

つまり、EDTAのようなCaイオンのキレート剤を用いると、カドヘリンによる細胞接着はバラバラになってしまうのです。


あと大事な分子がもう一つあって、カテニン catenin という物質も関与します。

カテニンは、カドヘリンと細胞質のアクチンフィラメントとを連結させる橋渡しの役割をします。上図では省略されてますが、あの間に存在するというわけですね。


接着斑(デスモソーム)

こちらも接着分子が重要になってくるかと思います。


接着斑、またの名をデスモソームでは

デスモグレインdesmoglein

と呼ばれる分子がその接着に関わります。

デスモグレインもカドヘリンファミリーに属し、やはりカルシウム依存性です。

そして接着帯と同じように、デスモグレインは細胞内の中間径フィラメントと、デスモプラキンという分子を介して連結します。


それで、なんでデスモグレインが大事なのか、なのですが…

それは、ある病気に関わってくるからなんです。


天疱瘡


という病気、ご存知ですか?

細かく言えば色々種類があるのですが、一言で言えば皮膚の自己免疫疾患で、デスモグレインに対する自己抗体ができることによって発症します

というわけで、医学的にも重要ですので、是非押さえておきましょう。


ギャップジャンクション

ギャップジャンクションはその名の通り、細胞間にギャップがあるわけなんですが、隙間云々よりももっと大事なことがあります。

それは、トンネルがある、ということです。

トンネルがあることで、細胞間で何かしら物質が出入りできるのです。

さながらデパートの本館と別館をつなぐ連絡通路みたいなものですね。

そのトンネルによって、ギャップジャンクションを共有する細胞集団は、機能的に密に連携して働くことができるのです。


そのトンネルを作る分子をコネキシン connexin といい(コネクトしてるからね)、コネキシンが形成するトンネルそのものをネクソン connexon と呼びます。


そして、いろんな細胞に存在するギャップジャンクションですが、その中で特に有名なのは、心筋です。

というのも、心臓はたくさんの心筋細胞が集まって出来ているわけなのですが、それが同調して収縮できるのは、まさにこのギャップジャンクションがあるおかげなのです!





…というわけで、細胞接着の話は以上になります。

まあこれくらいの事を知っていれば、合格圏レベルの解答は書けるのではないかと思います。


次回は、細胞骨格について勉強します。今回出てきたアクチンフィラメントとか中間径フィラメントとかいう類のやつのことですね。


それでは、また。(^^)/