再受験・学士編入で医学部を目指そう

20代後半、男。医師・獣医師。 医学部受験情報の発信や編入向けの生命科学の解説をしていきます。2018年3月31日より医学部編入受験生のためのウェブサイトMediTransを立ち上げましたhttps://www.meditrans.solutions

【医学部編入】生命科学講義・DNAの複製③ ~テロメア~

どうもこんにちは、タマころです。

DNAの複製と修復機構のラスト、『テロメア』についてです。

まあその存在は有名ですし、そんなにここで確認すべき事項はありません。


さて、この手の話はとにかく図を見るのがはやいです!
よくお世話になっているLS-EDI-生命科学教育用画像集-からテロメアの図を取ってきました。

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ようは、染色体の端っこにはテロメアtelomereと呼ばれる特徴的な反復配列が存在する。そして、それはDNA複製の際に削られてしまうから細胞増殖を繰り返すについれ短くなっていく、ということですね。

やばい、常識過ぎることをドヤって言ってるみたいで恥ずかしくなってきた^^;



さて、ここからはもう一歩踏み込んだ話をしていきます。

では、その反復配列っていうのはどんな配列なのでしょう?

これは生物によって微妙に変わってくるのですが、哺乳類だと

5'-TTAGGG-3'

となります。

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(https://ja.wikipedia.org/wiki/テロメア)

この図はwikipediaから取ってきたものですが、こんな感じで配列にバリエーションがあります。

あと、図内にT-ループとかD-ループとか書いてありますね。ここまで知っている必要があるかはわかりませんが、一応以下紹介します。

これらのループが形成されるメカニズムなんですが、さらに図を細かく見るとテロメアの先端に一本鎖になっている領域(赤線の部分)がありますね、これをG-tailというのですがこのG-tailの存在によってT-ループが作られます。

ご覧の通り、G-tailがテロメア途中の二本鎖の間にもぐりこんじゃうわけですね。そして、もぐりこんで三重鎖みたいなっている部分D-ループと呼びます。

それで、細かいことはよく分からないのですが、T-ループはテロメア末端保護機能を担保する重要な分子基盤と考えられているようです。



あと話は変わって、テロメアクロマチン構造についてなんですが、これはヘテロクロマチンを形成していると良く覚えておいてください。
さらに言うと、ヘテロクロマチンの中でも特に強く遺伝子発現が不活性化されている構成的ヘテロクロマチンという状態をとっています。

ちなみにヘテロクロマチンの反対の状態(遺伝子発現が活性化している)はユークロマチンと呼びますね。この辺りの話、このブログで取り上げたことありましたっけ?



そして最後の勉強事項として、テロメラーゼの存在です。

テロメラーゼは反復単位2連分に相補的なRNAを持ち、テロメア末端の第1の反復単位を塩基対合して第2の反復単位を鋳型としてDNAを合成することができます。
言葉で言うと、何のこっちゃわかりにくいですね^^; やはりこれも模式化したもので見てみましょう。

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(http://www.newton-doctor.com/saisentan/saisentan05b.html)

こうやってみると、「なるほどなるほど」と理解できますね。

そして、このテロメラーゼが異常にはたらいてしまうと、その細胞はがん化してしまったりするわけです。試験でよく問われる箇所なので、しっかり押さえておきましょう。




という感じで、テロメアに関しては以上になります。

基本テロメラーゼ・がん化関係でしか出題されないとは思いますが、T-ループとかも今後問われる可能性はあるでしょう。


では次回は、いったん生理学についての記事を挙げて、それが終わったら分子生物学の続きでDNAの組換えについて勉強していきます。