【医学部編入】生命科学講義・細胞の営み④ ~細胞小器官~
どうもこんにちは、タマころです。
なかなかまとまった時間が取れず、ご無沙汰してしまいました。。。
さて、講義再開となる今回のテーマは細胞小器官です。
高校生物でもまず習う話で、比較的馴染みがある単元だと思います。
まず、この小器官なるものを列挙してみましょう。
小胞体、リボソーム、ゴルジ体、リソソーム(ライソソーム)、ミトコンドリア
これらに加えて核そのものや中心体も含めたりします。細かく言うとペルオキシソームというのもあったりします。
本記事では話を簡潔にするため上記5つのみを扱います。
...少し話が逸れますが、僕は高校生の頃、生物の授業でいきなりこういう話が出て完全にアレルギーを起こした経験があります。
でも今振り返ると、これって最初に覚える必要ってあったのかな?と感じますね。
だって、細胞について何も知らない人に「はい、細胞にはこういうものがありますよ」と言われてもねぇ。
でも、細胞が生きる上で必須の装置なのですよね。だから最初に勉強させるわけで。
この辺り、教える側と教わる側にズレがあるように思います。
つまり僕が言いたいことは、確かに覚えること・知っていることは重要だけれども、それ以上に「何のために存在しているのか?」という側面から見なければならないということです。
では、各々について詳しく見ていきましょう。今日は常識的な話ばかりかもしれません。
小胞体(+リボソーム)
小胞体は核膜から連続していて、表面にリボソームの付着した粗面小胞体と付着していない滑面小胞体に分かれます。
粗面小胞体は、核内で転写されたmRNAがリボソームでタンパク質に翻訳されるので、タンパク質の合成の場であります。
対して滑面小胞体は、脂質の合成をしたり、筋肉ではカルシウムイオンの貯蔵、肝臓では薬物代謝にはたらいたりします。
ゴルジ体
小胞体の外側で控えている、袋状の扁平な層板構造をしている装置です。
粗面小胞体で作られたタンパク質は輸送小胞というものに包まれてゴルジ体に運ばれるのですが、そこでタンパク質は色んなことをされます。
具体的には…
・選別(どこに送られるか)
・修飾(糖鎖付加、硫酸化、リン酸化、切断など)
・濃縮
といったことがゴルジ体で起こります。
まあこの辺りはちゃんと理解していなくても、せめてタンパク質の修飾をすることは知っておくといいかと思います。
リソソーム
リソソームはその内部にたくさんの消化酵素を持っていて、タンパク質・脂質・糖なんでも消化します。
まあ役割としてはそれだけです。あとは内部が酸性(pH5くらい)であることを知っていればいいでしょう。
また、これに関連するものとしてエンドソームと呼ばれるものがあります。
エンドソームはエンドサイトーシスしてできた小胞のことですが、こちらもエンドサイトーシスののち徐々に酸性になります。
これは余談ですが、インフルエンザウイルスはエンドサイトーシスにより細胞内に侵入するのですが、エンドソーム内のpHがだんだん低下していってpHが6付近になると「膜融合」というのを起こしてウイルスゲノムが細胞質内に放出されます。
このあたり、ひょっとしたら微生物学との融合問題で聞かれるかもしれないので、発展的ですが紹介しました。
ミトコンドリア
ミトコンドリアは独特の形をしてますね。
まず、内膜と外膜の二重膜になっています。
内膜の内腔はマトリックスを形成し、板状に陥入しています。この構造をクリステと呼びます。クリステを形成することで内膜の表面積は非常に拡大しています。
何はともあれミトコンドリアにおいて大事な事項は
・好気呼吸を行う場であること
・ミトコンドリアDNAという独自のゲノムをもつこと
の2点が主に挙げられます。好気呼吸の詳細に関しては生化学でまた詳しくやります。
ミトコンドリアDNAは、「細胞質遺伝」であること「母系遺伝」であることがよく問われます。
言葉から想像できるかと思いますが、ミトコンドリアDNAは必ず母親由来になる、ということですね。
...はい、という感じで細胞小器官のお話は以上です。
季節的にも一般入試が終わってこれからは編入シーズンに向かうので、それに間に合うよう更新のペースを上げて頑張ります!