【BSL3経験者による解説】日本・長崎におけるBSL4施設の設置について(訂正あり)
*2016/11/28 一部不適切な表現を訂正
どうもこんにちは、タマころです。
今日は受験とは関係ないお話です。
今朝Yahoo!ニュースを見ていると、以下のようなニュースを見つけました。
長崎大でBSL4施設の設置合意
BSL3で実験したことのある身としては、個人的にビッグニュースです。
まずそもそも、BSL4施設って何でしょうか?
BSLは Biosafty Level の略で、危険な病原体を扱う際の安全指針のようなものです。
BSLは1〜4までの4段階のレベルがあって、4が最強、つまり最も危険です。
*訂正:BSL4は「最も危険な施設」ではなく、正しくは「最も安全対策を施した施設」です。病原性の高い言わば"危険"な病原体を扱うのは事実ですが、施設としては最も安全性に考慮した建物になります。
そんなレベル4では、エボラウイルスやBウイルスなど、感染したらほぼ確実に死に至るような病原体9種を扱うことができます。
いろいろ言葉で説明してもわかりづらいので、今回の主役である長崎大のホームページにいい感じの図解があったので、それを拝借いたします。
(http://www.nagasaki-u.ac.jp/ja/bsl4/about/)
まあ、この図の通りでございます。
さて今回の一件は、国内でのエボラ研究を見越してのことだろう想像します。
このご時世ですからね。
次に、具体的にどんな安全対策をしているのかという点ですが、以下Wikipediaの記載を引用します。
最高度安全実験施設である。レベル3に加えて、レベル4の実験室は他の施設から完全に隔離され、詳細な実験室の運用マニュアルが装備される。
(レベル3に加えて)
- クラスIII安全キャビネットを使用しなければならない。
- 通り抜け式オートクレーブを設置する。
- シャワー室を設置する。
- 実験室からの排気は高性能フィルターで2段浄化する。
- 防護服未着用での入室を禁ずる。
と言われても、なかなか実感が湧かないと思うので、写真も貼り付けます。
こちらも同じく長崎大からお借りしました。
すごいですよね。
ほんと、宇宙服みたい。
実際、かなり細かい規制があって、施設を作るのも大変だし、それを運営していくのも本当に骨が折れることだと思います。
BSL4の解説としては以上になります。
さて、今度はBSL3で実験した経験のある僕の、このニュースに対する意見を簡単に述べます。
まず賛成か反対かですが、ウイルス研究者としては賛成と言わざるをえません。
海外でしか研究できなかったことが、国内でもできるようになるのは、非常にいい事です。
反対派からは、じゃあお前施設の近くで住めんのか!という文句が来そうですが、そうですね、別に僕は住めます。
てか、BSL4で日々実験するなら、通える距離に住んでないとできませんからね。
ただ、実情の分からない住民の方々の心中もお察しします。
正直言って、不気味ですよね。
どんなに安全だと言い張っても、襲撃されるかもしれないし、災害が起きて倒壊するかもしれないし、ウイルスを持ち出す内通者がいるかも分からない。
確かにそのリスクはゼロにはできない。
その施設の近くに住む以上、その危険性からは逃れられないですね。
ましてや、原爆を落とされた長崎でそれやるかって感じですよね。
僕もそれは思います。
実際、原爆記念館と長崎大学医学部が歩ける距離でびっくりしました。
…でもですね、一つ言いたいことがあります。
長崎大の熱研というのは、本当に世界に誇れる素晴らしい研究所です。
そこでBSL4を稼働させるのは、リスクよりもベネフィットが優に上回るのではないかと僕は考えます。
反対派の方々には、怖い思いをさせて本当に申し訳なく思いますが、有事の際に被害を最小限に抑えられるよう、やれるうちに研究をするというのが大切なのです!
ご理解いただけますよう、よろしくお願い致します。
…さて、今日の話は以上です。
BSL3経験者による日本におけるBSL4施設の設置についての解説、でした!!
それでは、また。