再受験・学士編入で医学部を目指そう

20代後半、男。獣医学部卒→某国立医学部に編入。 医学部受験情報の発信や編入向けの生命科学の解説をしていきます。編入試験対策の教材作成も考え中。編入に関するご相談は tamakoro1k at yahoo.co.jp (at→@)までお気軽に。

【医学部編入】生命科学講義・神経生理学③ ~静止膜電位~

どうも、タマころです。

今回は神経生理学③ということで、静止膜電位について説明していきます。


先にポイントを4つほど挙げ、それぞれについて順番に話していきます。


Point① カリウムイオンが大事

まずは、なぜカリウムイオンが静止膜電位の形成に寄与するか?

これはカリウムイオンチャネルのなかに、漏洩(リーク)チャネルと呼ばれる、常に開通しているイオンチャネルがあるからですね。

そしてカリウムイオンは細胞内外で濃度差があって、それによっての膜電位が形成されるわけです。

そのあたり詳しいところは、Point②でご説明します。

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(LS-EDI-生命科学教育用画像集-)

書かれているイオン濃度がどれも微妙に変ですが、いずれにせよこの図のようなイメージになります。


Point② ネルンストの式

まずは式を見てみましょう。

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(LS-EDI-生命科学教育用画像集-)

対数があって少々難しく感じるかもしれませんが、係数のところはすべて定数ですので、実は決まった値が出ます。

RT/zF = 26.7

となります。なので、この式で注目すべきところは自然対数の中身、つまり対象となるイオンの細胞内外の濃度が重要になります。

大事なことですのでもう一度言います、イオンの細胞内外の濃度が重要になります。


それで、カリウムイオン濃度も実際のところほとんど決まった値なわけなので、それを代入すると図にあるように(繰り返しになりますがこの数値はちょっと変です)-80mVくらいになります。

本当の組成に近い濃度だと、細胞外が5.5mM、細胞内が150mMで計算すると、-88mVとなります。


Point③ 実測値はだいたい-70mV

-70mV?上記ネルンストの式から導いた結果とズレがありますね。

これはなぜでしょう…


まあその答えはさほど難しくなくて、単にほかのイオンの影響がちょっとはあるからです。

具体的にはナトリウムイオンNa+塩化物イオンCl-です。

これらも、カリウムと比べると透過性が小さいものの、普段から少しは細胞膜を通過します。


それを式で示したものを、その名も「ゴールドマン・ホジキン・カッツの式」といいます。

通称GHK式です。

3人の連名で長ったらく覚えづらいのですが、覚えるコツは口に出しまくることです(結構マジ)。

中二っぽくてかっこいい名前なので、誰かと会話しててこの手の話題が出たときにすかさず言うのです。


あ~わかるよ、ゴールドマンホジキンカッツでしょ。うんうん、ゴールドマンホジキンカッツ。


と。これであなたも立派なミサワです。


さて、編入試験でGHK式に数値代入させることはまずないかと思いますが、念のためどんな式かだけご紹介しますと

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という感じです。これに実際の数値を代入して計算すると、実測値とほぼ同等になります。


Point④ 静止膜電位形成のメカニズム

これも跳躍伝導と似たように、さまざまな俗説が流布しているように思われます。
僕も完全に正しく理解している自信はないのですが、できる限り正確に説明できるよう心がけます。


まず、よくある間違い・勘違いは

ナトリウムポンプでカリウムイオンを汲み入れてるから濃度勾配ができて静止膜電位が形成される

というもの。

これは違います。ナトリウムポンプ云々ではなく、単に半透膜である細胞膜を隔てた内外でカリウムイオンの濃度差が存在するからです。

ナトリウムポンプはその濃度差を維持する装置にすぎません。

現に、無機的な半透膜を用いてそれを境に生体と同じようにイオン濃度差をつくってやると、半透膜の周囲に膜電位が形成されそれは持続します。

ナトリウムポンプの役割は、あくまでカリウムイオンの濃度差の維持と活動電位発生時に流入するナトリウムイオンを汲み出す働きです。


それで、ここからが本題です。膜電位がゼロの状態から平衡に達するまでの流れを以下示します。


濃度勾配の関係でK+がリークチャネルを通って細胞外に出る
→細胞外が+、細胞内が-の電位が少し発生する
→外にでたK+はその電位の影響で内側への力をうけ細胞膜周囲に留まる
→リークチャネルを通って流入するK+もいる
→濃度勾配でK+はもっと外に出る
→もっと電位が発生して、リークチャネルから流入するK+が増える
→濃度勾配による流出スピードと電気的勾配による流入スピードが平衡に達する
→静止膜電位が形成される


という感じになります。


あとこの流れの中でよく生じる誤解が2つあります。


一つは、細胞周囲にK+が蓄積するのは細胞内にある負のイオンのおかげ(Cl-とか)、というもの。

これは、もちろん多少は関係あるでしょうが、実験的にカリウムイオン単一のみでも同様に膜電位は作られるので、違います。


もう一つは、この形成に至る過程でカリウムイオンがたくさん動いているんだ、というもの。

つまり、細胞内のカリウム濃度は低下するんじゃないか?とかそういう心配ですね。

実はこれは全然違って、カリウムイオンは溶液中に存在するほんの微量な量(0.0…%というレベル)細胞膜を移動するだけで膜電位は作られます。

それはなぜかというと、上記矢印で示した流れが膜のすぐ近傍、局所のみで起こっている出来事だからです。


この二点、気を付けて理解していただきたいと思います。




では、小難しい静止膜電位についてはこのあたりにして、次回は活動電位の話になります。