再受験・学士編入で医学部を目指そう

20代後半、男。獣医学部卒→某国立医学部に編入。 医学部受験情報の発信や編入向けの生命科学の解説をしていきます。編入試験対策の教材作成も考え中。編入に関するご相談は tamakoro1k at yahoo.co.jp (at→@)までお気軽に。

【医学部編入】生命科学講義・神経生理学② ~跳躍伝導~

それでは前回の続きで、今日は跳躍伝導についてお話します。議題はズバリ


なぜ跳躍伝導は速いのか?


でしたね。


飛び飛びに伝わるから」なんて答えは、答えているようで答えになってませんからね。

これこそあれです。高校生物の弊害というやつでしょうか。


個人的には、まだ素直に

わからない

と言ってくれたほうがいいですかね。
生物学というのはそういうのが多いですし、またそう言い逃れることが比較的許される学問だと思います。


それでこの話、僕昔に結構調べたことあって、一応その時に自分なりに完全に納得して理解できました
あくまで"自分なりに完璧"であって、本当に完璧じゃないかもしれませんが、きっとこれを聞いて納得できるはずです。


それでは、順を追って説明していきます。




まず、神経の興奮は

電流

みたいな概念を捨てましょう。


実際神経細胞に電気なんて流れていないですからね。モデルとしての等価回路として電流で表すことはあっても。


イオンの動きも、横ではなくです。

これ、結構重要です。神経の興奮を担うイオンはナトリウムイオンですが、それはあくまで細胞膜の内と外という縦の関係でしか動きません。


では、有髄神経の前に無髄神経の伝導についてみていきましょう。

これは皆さんご存知の通り、あるところで活動電位が発生するとその周囲の膜電位が上昇して、そこも閾値に達してまた活動電位が発生して、それが連続的に続いていくわけですね(下図)。

※「活動電位」「閾値」などに関しては、次の次の記事でまた詳しく触れます。

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(動物の反応と行動|跳躍伝導がわかりません|生物|定期テスト対策サイト)

ここでは「活動電流」(局所電流と言ったりもします)という単語が登場してまた少々ややこしいですが、刺激周囲の小さな局所においては細胞内へ流入したナトリウムイオン拡散することでまわりの膜電位に影響するのです。

まあ上の図もモデルなので、やはり本物の生体で考えれば別に電子の移動が起こっているわけではないですからね。


なにはともあれ、これが有髄の跳躍伝導になると、この"活動電位の発生"が飛び飛びとなるのです。これ自体は間違った表現ではないです。

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(動物の反応と行動|跳躍伝導がわかりません|生物|定期テスト対策サイト)

とまあ、ここまでは高校生物でしょう。

しかしいずれの図もベネッセのサイトから拝借しましたが、本当にわかりやすくて感心しますね。このような平易かつきれいな図のもと勉強できる高校生は、生物を初学する上では本当にいい環境におかれていると思います(皮肉)。



ではいったん目線を変えて...


髄鞘の役割ってなんですか?


ああ聞こえてきます、、、それでは皆さんでせーの(ドクターG風)


絶縁体


お見事です(皮肉)。
不正解とまでは言えないと思いますが、その答えはやはりあくまでモデル上の話ですね。


では生体としての本当の役割はというと...


ナトリウムチャネルを発現させないこと


なのです。
もはや、ここさえ正しく理解できていれば、跳躍伝導が速い本当の理由も理解できるはず。


そうなんです。髄鞘に囲まれている部分の細胞膜にはナトリウムチャネルがないんですよ。

ランビエの絞輪に寄せられちゃっているんですよね。


それで、興奮の伝導で何が一番タイムロスになるか?っていう話です。


興奮の伝わり方は、先ほどもお示しした通り、

刺激→ナトリウムイオン流入→細胞内ナトリウムイオン濃度高まりそれが周りに流れ"活動電流"発生→周囲も閾値に達しナトリウムイオン流入

という流れを繰り返すわけなんですが...

この中で一番時間かかるのは、ナトリウムイオンが細胞内に流入しているときなんです。


だから、結論を言ってしまうと、跳躍伝導というのはそのナトリウムイオンの流入回数を減らすことによって、興奮の伝導を速くしているのです。


どうでしょう。すっきりしましたか?


あと髄鞘の存在価値として他に言われているのは、有限であるナトリウムチャネルをランビエの絞輪に集中させることによってそのナトリウムイオンの流入スピード自体も上げたり、ナトリウムイオンのリーク(細胞外への流出)を避けることでより遠くまで活動電流を到達させる役割があるとか言われています。


ちなみに、あるランビエの絞輪で活動電位の発生したとして、隣のランビエの絞輪の膜電位が閾値に達しないことはないんか?という疑問がわく人もきっとおられるかと思いますが、一応隣の隣のランビエの絞輪を興奮させられる程度の距離にうまくできているようです。



というわけで、以上「跳躍伝導はなぜ速いのか?」でした。

次回は静止膜電位の形成機構について勉強していきます。こちらも結構誤解されがちな話ですので、ちょっと理解に自信のない方は是非ご覧になって参考にしていただければと思います。