【易しい解説】天然高分子化合物をマスターしよう③ 〜タンパク質〜
どうもこんにちは、タマころです。
天然高分子化合物シリーズ第3弾タンパク質です。
↓第1弾・第2弾の記事はコチラ↓
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いきなりですが、「タンパク質ってなんですか?」と聞かれたらどう答えますか。
「お肉にたくさん含まれているもの」とか?
確かに、人間の三大栄養素の一つに挙げられていて、一つの正解だと思います。
ではなぜ、タンパク質はお肉にたくさん含まれているのでしょう?
それは、お肉は細胞の塊で、その細胞の中にはたくさんタンパク質がいるからですね。
つまり、逆に言えば、細胞が生きていくためにはタンパク質が必要なわけです。
ちょっと話は変わって、古い学説ですが「一遺伝子一酵素説」なるものがあります。
これは、一つの遺伝子は一つの酵素(タンパク質)をコードしているという説です。
この説には例外があったり全部が正しいわけではありませんが、概ねそういうことになっていて、じゃあ遺伝子って人間はいくつ持っているのでしょうか?
Wikipediaによると、2004年の段階で約2万2000個との事です。
となると、ざっくり言って、タンパク質もそれと同じくらい存在することになるわけですね。
もちろん、一つの細胞で全ての遺伝子が発現しているわけではないので、実際に細胞内にあるタンパク質の種類はずっと少ないですが、お肉にタンパク質が豊富なのはよく分かっていただけたかと思います。
…では、高校化学で必要なタンパク質の知識について整理していきましょう!
ペプチド結合
大事なことをまだ言ってませんでしたが、タンパク質の正体は、アミノ酸が連なったものです。
アミノ酸とアミノ酸は、それぞれのアミノ基とカルボキシル基が脱水反応して結合します。
この結合を、一般的には「アミド結合」と言ったりするんですが、今回のようなアミノ酸同士の場合を特別に「ペプチド結合」と呼びます。
(https://ja.m.wikibooks.org/wiki/高等学校化学Ⅱ/糖類とタンパク質)
それで、ペプチド結合で繋がったこの化合物のことを「ペプチド」と言います。そのまんまですね。
アミノ酸2つだったらジペプチド、3つだったらトリペプチドという具合です。
アミノ酸がいっぱい連なったら、それは「ポリペプチド」と呼びます。
そして、何を隠そうこのポリペプチドがすなわち「タンパク質」なわけですね!(全くの同義ではない)
タンパク質の高次構造
タンパク質は20種類のアミノ酸が何千何万と連なったもので、その組み合わせは天文学的な数字になります。
そして、各タンパク質はそれぞれ特有の立体構造をとります。
しかし、その立体構造というのは、非常に複雑なものになります。
そういうわけで、タンパク質では立体構造をいくつか段階に分けて考えることにしています。
具体的には、一次構造・二次構造・三次構造・四次構造の4段階です。
まず、下の図を見てイメージをつけましょう。
(http://blog.livedoor.jp/crazybio/archives/42016577.html)
- 一次構造
一次構造は、そのタンパク質を構成するアミノ酸の配列順序のことです。
うーん、なんか分かりにくいですよねぇ…
一次"構造"と言ってるのにアミノ酸配列の順番なんて、全然構造じゃないぞーという声が聞こえてきそうです。
こういうのは、この言葉がどのように使われるかを知るとスッときたりします。
では、その一例をご紹介します。
まず前提知識ですが、「プリオン」ってご存知ですか?
プリオンは脳にあるタンパク質で、ウシのBSEの原因になるものです。
ヒトにも病気を起こしますが、きっとBSEの方がはるかに身近な存在かと思います。
それで、立体構造のおかしくなった異常プリオン蛋白というのが牛の脳に蓄積することで病気になるわけなんですが、実は異常プリオン蛋白のアミノ酸配列は正常のそれと全く同じなんですよね。
その事実が分かる以前は、「タンパク質の立体構造は、その一次構造により規定される」というのが通説でした。
プリオン蛋白は、上記の説が必ずしも正しくないことを示したわけですね。
…というわけで、こんな感じで一次構造という言葉が使われます。
- 二次構造
二次構造で覚えてほしいのは、αヘリックスとβシートというワードです。
上図の通り、αヘリックスはらせん状で、βシートはまんまシート状の形をしています。
はい、これだけです。次にいきます。
- 三次・四次構造
(http://kusuri-jouhou.com/creature1/protein.html)
三次構造は、ようはタンパク質の立体構造そのものです。一番イメージしやすいですよね。
四次構造は何かと言うと、複数のポリペプチドが集まっているものを指します。
例えばヘモグロビンというタンパク質は、4つのポリペプチドが合わさってはじめて機能を持ちます。
いずれにせよ、あまり細かいことは気にせず、この図の通り理解していただくで良いかと思います。
タンパク質の検出
タンパク質の検出法は、ざっと3つあります。
- ニンヒドリン反応
正確にはアミノ酸の検出法であるが、高校化学ではタンパク質の検出法として載っている。発色は紫系。
- ビウレット反応
ペプチド結合が2個以上(アミノ酸は3個以上)ある時に反応する。色はこちらも紫系。
- キサントプロテイン反応
タンパク質中のベンゼン環を持つアミノ酸と反応して、黄色系に発色する。キサントの"キ"は黄色の"き"と覚えよう。
これだけです。何度か目を通して、それぞれの名前と呈する色を覚えちゃいましょう。
ちょっと面倒なのは、問題文に反応名ではなく試薬の名前とかで出題される時があることですね。
例えば、「水酸化ナトリウム溶液NaOHと少量の硫酸銅(II)水溶液CuSO4を加えたところ、赤紫色に呈色した」とか。
これはビウレット反応を指しています。
この辺り、ピンとくるのは案外難しかったりします。
それぞれの具体的な試薬や反応については、申し訳ありませんがお手持ちの資料をご参照ください。
酵素
酵素とは、触媒として機能するタンパク質のことです。
はじめに登場した一遺伝子一酵素説から想像できるように、酵素にはいっっっっぱい種類があります。
高校化学的には、以下の図の内容と図内に出てくる単語を知っていればだいたい良さそうです。
(https://commons.m.wikimedia.org/wiki/File:酵素基質複合体_模式図.svg#mw-jump-to-license)
あとこの図にないものでは、"基質特異性"というのもキーワードになります。この言葉の意味はだいたい分かりますかね?
短いですが、酵素についてもこれでバッチリかと思います。
…はい!タンパク質について、だいたい分かっていただけたでしょうか。
アミノ酸とタンパク質は、慣れるまではしんどいですが、出題される問題自体は比較的簡単なことが多いです。
なので、一度腑に落ちればこっちのものですね!
それでは、天然高分子シリーズラストとなる次回のテーマは「核酸」です。
お楽しみに^_^