再受験・学士編入で医学部を目指そう

20代後半、男。医師・獣医師。 医学部受験情報の発信や編入向けの生命科学の解説をしていきます。2018年3月31日より医学部編入受験生のためのウェブサイトMediTransを立ち上げましたhttps://www.meditrans.solutions

【医学部編入】生命科学講義・細胞の周期と増殖② ~細胞周期の制御メカニズム~


どうもこんにちは、タマころです。

前回の続きになります。実際に編入試験で問われる、少々細かい話になっていきますが頑張りましょう。


ポイントは2点です。

・細胞周期を促進するメカニズム

・細胞周期を抑制するメカニズム

です。まあ、当たり前ですね。


まず促進する方ですが、こちらは兎にも角にも

サイクリン と CDK

という2つの分子がキモになります。

CDKは、cyclin dependent kinaseの略です。

これらは複合体を形成してはじめて機能します。


これからサイクリン○とCDK○と、○には数字が入りますが、そういう名前のものがいくつか登場します。

覚える事が多くて嫌になっちゃいそうですが、頑張りましょう。

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M期開始の制御

M期に関与するサイクリンとCDKは

サイクリンB-CDK1(Cdc2)複合体

です。
紛らわしいですが、上図のCdc2はCDK1の別名になります。

この複合体はG1期やS期にも存在はしているのですが、CDK1の残基がいくつかリン酸化されているので不活性化されています。
それがM期になると、Cdc25フォスファターゼという酵素がCDK1を脱リン酸化して、サイクリンB-CDK1(Cdc2)複合体の酵素活性が著明に上昇します。

このような制御によって、この複合体はM期に特異的に機能するようになっています。


S期開始の制御

これは図にあるように、2つの複合体がオーバーラップして関与します。

早めに作用するのは、

サイクリンD-CDK4/6複合体

というものです。

G1期に増えていったサイクリンD-CDK4/6複合体は、癌抑制遺伝子として有名なRbタンパク質をリン酸化します。
Rbは転写調節因子であるE2FとDPというタンパク質と複合体を形成しているのですが、リン酸化するとこのRbが遊離します。

そうすると、E2Fが活性化されてDNA複製に必要な遺伝子群の発現を誘導します。
その遺伝子群には次の登場人物である

サイクリンE-CDK2複合体

が含まれます。サイクリンE-CDK2複合体もRbタンパク質をリン酸化させることができ、それにより自身の発現はさらに亢進し、結果的にDNA複製に必要な遺伝子群の発現が加速します。

このようなメカニズムによって、DNA合成期であるS期が開始します。


細胞周期を抑制する因子

これにはCKI(cyclin kinase inhibitor)とよばれる分子群が関与します。

サイクリンD-CDK4/6複合体は主に

p15,p16,p18,p19

サイクリンE-CDK2複合体は主に

p21,p27,p57

と呼ばれるCKIによって活性が抑制されます。

正直この数字は覚えなくていいと思うのですが、それぞれ阻害の仕方がちょっと違うのでそこは知っておいてもいいかもしれません。

上の4つは、サイクリンと拮抗してCDKと結合することで作用を抑制します。

対して下の3つは、サイクリン-CDK複合体に結合して作用を抑制します(複合体の形成は邪魔しない)。

ちなみに癌抑制遺伝子界で最も有名であるp53は、その多彩な機能の一つにp21の発現を促進する働きがあります。
p21はサイクリンD-CDK4/6複合体とサイクリンE-CDK2複合体の両方に結合することができ、細胞周期を強く抑制します。

したがって、p53は細胞終期を停止する方向にシフトさせられる重要なタンパク質といえます。


チェックポイント機構

細胞には、いま自分がこのまま次のステップに進んでいいのかどうか自問自答する機構が備わっています。それをチェックポイントと呼びます。

とりあえずどこにチェックポイントがあるかが重要です。上図に線が入っているので分かる通り、大きく3箇所存在します。

M期チェックポイント・・・正常な紡錘体が形成されたか、秩序あるM期進行か、がチェックされます。

G1/Sチェックポイント・・・増殖条件が良いかどうか、DNAが損傷していないか、がチェックされます。

G2/Mチェックポイント・・・正常なDNA複製が完了したか、DNAが損傷していないか、がチェックされます。

それぞれチェックしたい項目を実際にチェックするわけなのですが、その分子メカニズムはどれも複雑で(僕が全然理解していない)仮に出題されるなら十分な誘導があると予想されるので、もし出たらその場で頑張って考えて乗り切りましょう。

知識としては上記のやんわりした理解でいいかと思います。






...というわけで、細胞周期の制御メカニズムは以上になります!

いろんなタンパク質が出てきてちょっとしんどいですね^^;

まあわかってくると案外クリアになるので、少し時間をかけて勉強されることをお勧めします。その方が忘れにくいかと思います。

それでは、また。

【医学部編入】生命科学講義・細胞の周期と増殖① ~細胞周期概論~

どうもこんにちは、タマころです。

今回から細胞周期について勉強していきましょう。


細胞周期」って聞くと、みなさん何を想像しますか?

僕は未だに

間期・前期・中期・後期・終期

というのが真っ先に思いついてしまいます...

高校生物を真面目にやってたわけじゃないですが、最初に習った話なので完全に刷り込まれているのです(T^T)

まあしかし、これはほぼ分裂期に着目した細胞周期の表し方で、編入試験ではまず問われないでしょう。


では、以下もう一つの細部周期の表し方です。

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間期のところが細かく

G1期・S期・G2期

に分かれて、そのかわり前期~終期をまとめて

M期

と表します。


一応、アルファベットがそれぞれなんの略か、なのですが

G1とG2はGapのG

S期はsynthesisのS

M期はmitosisのM

です。

この中で比較的聞きなれないのはmitosisでしょうか。「体細胞分裂」という意味です、発音は"マイトーシス"。
ちなみに減数分裂」はmeiosisです。こちらの発音は"マイオーシス"(紛らわしい)


あと高校生物的によく問われるのは、細胞内のDNA量の変化でしょうか。

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こんなやつですね。

この手の問題、もちろん学士編入でも問われるのですが、使われるグラフが違ったりします。

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こっちです。見慣れている人はよく分かるし、見慣れてない人ははじめは戸惑うかもしれません。

なぜこっちか一般的になるかというと、これは実験データだからです。
対して、高校生物向けのもう一個上のやつは、あくまで理解させるための図です。

どんな実験で得られるデータかというと、"フローサイトメトリー"という機械を使います。

結構有名な実験手法だと思いますので、知らなかったという人は是非ググってください。

...まあそういうことです。



それで、じゃあこれだけ知ってればいいのかというと、編入ではここから先が本番です!

現象論にとどまらず、細胞周期の制御メカニズムがよく問われるんです(>_<)

というわけで、それについてはまた次回。

【医学部編入】生命科学講義・細胞の営み④ ~細胞小器官~

どうもこんにちは、タマころです。

なかなかまとまった時間が取れず、ご無沙汰してしまいました。。。


さて、講義再開となる今回のテーマは細胞小器官です。

高校生物でもまず習う話で、比較的馴染みがある単元だと思います。

まず、この小器官なるものを列挙してみましょう。

小胞体、リボソーム、ゴルジ体、リソソーム(ライソソーム)、ミトコンドリア

これらに加えてそのものや中心体も含めたりします。細かく言うとペルオキシソームというのもあったりします。

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本記事では話を簡潔にするため上記5つのみを扱います。

...少し話が逸れますが、僕は高校生の頃、生物の授業でいきなりこういう話が出て完全にアレルギーを起こした経験があります。
でも今振り返ると、これって最初に覚える必要ってあったのかな?と感じますね。

だって、細胞について何も知らない人に「はい、細胞にはこういうものがありますよ」と言われてもねぇ。

でも、細胞が生きる上で必須の装置なのですよね。だから最初に勉強させるわけで。

この辺り、教える側と教わる側にズレがあるように思います。


つまり僕が言いたいことは、確かに覚えること・知っていることは重要だけれども、それ以上に「何のために存在しているのか?」という側面から見なければならないということです。


では、各々について詳しく見ていきましょう。今日は常識的な話ばかりかもしれません。


小胞体(+リボソーム

小胞体は核膜から連続していて、表面にリボソームの付着した粗面小胞体と付着していない滑面小胞体に分かれます

粗面小胞体は、核内で転写されたmRNAがリボソームでタンパク質に翻訳されるので、タンパク質の合成の場であります。

対して滑面小胞体は、脂質の合成をしたり、筋肉ではカルシウムイオンの貯蔵、肝臓では薬物代謝にはたらいたりします。

あとよく知られている話ですが、内側から核膜→粗面小胞体滑面小胞体という位置関係になっています。

これも自然な話です。mRNAは核から来るのでリボソームはその近くにたくさんあります。なので粗面小胞体が内側です。


ゴルジ体

小胞体の外側で控えている、袋状の扁平な層板構造をしている装置です。

粗面小胞体で作られたタンパク質は輸送小胞というものに包まれてゴルジ体に運ばれるのですが、そこでタンパク質は色んなことをされます。
具体的には…

・選別(どこに送られるか)
・修飾(糖鎖付加、硫酸化、リン酸化、切断など)
・濃縮

といったことがゴルジ体で起こります。
まあこの辺りはちゃんと理解していなくても、せめてタンパク質の修飾をすることは知っておくといいかと思います。


リソソーム

リソソームはその内部にたくさんの消化酵素を持っていて、タンパク質・脂質・糖なんでも消化します。

まあ役割としてはそれだけです。あとは内部が酸性(pH5くらい)であることを知っていればいいでしょう。

また、これに関連するものとしてエンドソームと呼ばれるものがあります。
エンドソームはエンドサイトーシスしてできた小胞のことですが、こちらもエンドサイトーシスののち徐々に酸性になります。

これは余談ですが、インフルエンザウイルスはエンドサイトーシスにより細胞内に侵入するのですが、エンドソーム内のpHがだんだん低下していってpHが6付近になると「膜融合」というのを起こしてウイルスゲノムが細胞質内に放出されます。

このあたり、ひょっとしたら微生物学との融合問題で聞かれるかもしれないので、発展的ですが紹介しました。


ミトコンドリア

ミトコンドリアは独特の形をしてますね。

まず、内膜と外膜の二重膜になっています。
内膜の内腔はマトリックスを形成し、板状に陥入しています。この構造をクリステと呼びます。クリステを形成することで内膜の表面積は非常に拡大しています。

何はともあれミトコンドリアにおいて大事な事項は

・好気呼吸を行う場であること
ミトコンドリアDNAという独自のゲノムをもつこと

の2点が主に挙げられます。好気呼吸の詳細に関しては生化学でまた詳しくやります。

ミトコンドリアDNAは、「細胞質遺伝」であること「母系遺伝」であることがよく問われます。
言葉から想像できるかと思いますが、ミトコンドリアDNAは必ず母親由来になる、ということですね。




...はい、という感じで細胞小器官のお話は以上です。

季節的にも一般入試が終わってこれからは編入シーズンに向かうので、それに間に合うよう更新のペースを上げて頑張ります!

【医学部編入】生命科学講義・細胞の営み③ ~細胞骨格~

どうもこんにちは、タマころです。

また更新に間が空いてしまいました(>_<)
予告通り、今日は細胞骨格について勉強しましょう。


細胞って普通、丸や四角く描かれるじゃないですか?
実はあれ、はりがねみたいに型を作ってくれる分子が細胞内に存在して、それによって形が保たれているんですね。

例えば腸にある細胞なんかは、微絨毛とよばれるフサフサしたものがありますが、そういうのも同じ仕組みで形成されています。

まあ当然、本当はりがねではなくて、アクチンフィラメントと呼ばれる分子がその役割を担っているわけですが、このような分子を総称して『細胞骨格』と呼びます。


そして、これは太さの違いで3種類の線維に分類されます。細い順で…

・アクチンフィラメント
中間径フィラメント
・微小管

となります。

それでは一つずつみていきましょう。



アクチンフィラメント actin filament

後半を日本語にして"アクチン線維"とも言います。

アクチンフィラメント
は径が8 nm程と細く、細胞の形態形成や運動に関与します。


具体的にどんな役割をするかというと…

・筋収縮(生理学でまたやります)
・免疫細胞が感染源の方に遊走する運動
細胞分裂の収縮環形成
・腸上皮細胞の微絨毛の形成
・エンドサイトーシス等における細胞膜の形態変化

などが挙げられます。


まあ、はりがねをぐにゃぐにゃ動かすことによって形を変えたりいろいろ出来るってイメージですね。


中間径フィラメント intermediate filament

"中間径線維"と言ったりもします。

これは径10 nm程で、アクチンフィラメントより少し太くて、細胞や組織の強度を維持する働きを持ちます。


縁の下の力持ち、って感じですかね。


さて、中間径フィラメントで大事なことは、細胞の種類によって存在する分子が違うということです。

上皮細胞には上皮細胞、神経細胞には神経細胞に特有の中間径フィラメントが存在します(ケラチンとか)。


まあでも、医学的には確かに大事なんですが、編入試験での出題率を考えれば、とりあえずそこまで覚えるのは後回しでいいかと思います。

というわけで、本記事では割愛させていただくので、詳しく知りたい方は成書等をご覧ください。


微小管 microtubule

微小管は前述の2つに比べたら割と太いです。径25 nmほどあります。

あ、ちなみに、さっきから径いくつとか書いてますけど、もちろん僕は今調べながら書いてますからね。

不勉強なもので暗記なんてしていません。でもおそらく、サイズの大小とオーダー(2桁ナノくらい)が分かっていれば十分かと思います。


さて、話は戻って微小管についてですが、これはチュブリンという分子が集まって形成されます(同様に、アクチンフィラメントはまんまアクチンという分子が集まってます)。

そして、微小管にはいろいろなタンパク質が結合し、それぞれいろんな働きをします。

その中で特によく出るのが、ダイニン dyneinキネシン kinesinです。

名前は聞いたことがあるのではないでしょうか?これらはモータータンパク質と呼ばれるもので、物質の輸送に関与します。

ダイニンは逆向性(+→-)、キネシンは順向性(-→+)に輸送するという違いがあります。

でもこれ、いつもどっちがどっちだったかごっちゃになるんですよね。

そういう時は、キネシンのキには+が入ってる、とか覚えると良いみたいですよ。


まあというわけで、微小管やこれらモータータンパクは、例えば神経軸索の物質輸送とかに関与しています。





…さて、簡潔に3つの細胞骨格線維について説明していきました。
いかがでしょうか?やはり絵でイメージしないと分かりづらいですよね。

ネット上にこれまた見やすい図があったので、貼っておきますね。

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アクチンフィラメントが細胞の周囲にあって、微小管は中央からレールのように放射状に伸びてます。それぞれ細胞の形態形成細胞内の物質輸送に関わっているという話でしたね。

中間径フィラメントは・・・まあ見ての通りです(?)。
大事なことは、先ほども言いましたが細胞の種類によって違うものが存在する、ということですね(^^;


というわけで、今日は以上になります。

次回は細胞小器官について勉強します!


それでは、また。

数学を勉強するということ

どうもこんにちは、タマころです。

最近TwitterのTLを眺めていると、数学の勉強に関する悩みを多く見かけます。


きっと一年後の試験を見越してのことでしょう。


そのやりとりを見ていると、たいていは「問題を解きまくるしかない(暗記)」というところ話が集約しているようです。

その上で、ではどの参考書を使ったらいいか?という議論になってますね。


まあ、それ自体は真理だと思います。
きっとそれ以外に数学を伸ばす方法はないでしょう。


しかし問題は、それ対する心の持ちようですね。

なんだか皆さん苦しそうに見えます。見ていてこちらもつらくなってきます。


というわけで、本記事では、その辺りに関して僕の思うところを綴っていきたいと思います。




…まず、なんで問題演習をしなければならないのか?ということについて考えていきます。


数学の成績を上げるためでしょうか?

確かに、最終的にはそこに行き着きます。

でも、論理的にその間がかなり飛んでいるような気がします。


人間、目標が遠くにあるとなかなか頑張れません。

だから何事においても、よく言われる話ですが、目標を細かく区切って小さい目標を一つ一つクリアしていくのがコツなんですよね。


数学においても全く同じだと思います。

問題演習をこなす理由は、あくまであと一歩で解けない問題を解けるようにするためです。

チャート式で言えば、コンパス3つの問題を解けるようにするために、コンパス1つ2つの問題の演習をするのです。

もっと高いレベルで例えれば、ある入試問題が解けなかった時に、それが解けるようになるために問題集を当たるわけですね。



…すでに僕の言いたいことは十分に伝わったかと思いますが、さらに身近に感じでもらえるよう、次にゲームで例えてみましょう。


ドラクエファイナルファンタジーをはじめとするRPGゲーム、ありますよね。

この手のゲームのゴールは、当たり前ですが、ラスボスを倒して全クリすることです。

でも、スタートは1Lv.から始まります。


ここで聞きたいのは、1Lv.のときからラスボスを倒すことを想像しますか?

普通はそんなことは微塵も考えず(そもそもラスボスが誰かわからなかったりする)、ひとまず最初のボスを倒すことに集中すると思います。

それで、最初のボスを倒すのに5Lv.必要だとします。
そうしたら、レベル上げしますよね。


ラスボス倒すのに45Lv.必要だから頑張れと言われても頑張れませんが、5Lv.まで上げろと言われたら頑張れますよね。


…まあ、そういうことです。


そして、本来であれば、最初のボス、小ボス、中ボスは学校の定期テストです。

なので、それを高校三年間クリアし続けていれば、そこそこのレベルにはなっているはずです。

偏差値で言えば60〜65程度でしょうか。


でも、そうではない方もたくさんいらっしゃいます。

そのような場合は、やはり問題集で解きまくる勉強が必要になってくるわけです。



そういった際、もう一点よく議題にあがることがあります。


昔やった単元を忘れちゃう、という悩みです。


ある単元を、ワーっとやっていた時はできたのに、全体を一周したら、あれ?できなくなってる?というやつです。


これの簡単な対処法ですが、以下2つ挙げてみます。


一つは、受験仲間がいれば、彼らと会話をする事です。

お互いが勉強している内容を披露し合うのです。

お互い独立に勉強していれば、普通別の単元勉強しているはずなので、両方が「以前やったな」と思い出すことができます。


もう一つは、宅浪の人向けですが、Twitterで勉強垢をフォローしまくることです。

そうすると、「この問題わからん」みたいな感じで写真付きでツイートする人が必ずいます。

その質問に答える必要はありませんが、せっかくなので一緒に考えてみましょう。


そして、たいてい僕のような教えたがりが回答をしてるので、それを読んで「なるほどぉ」となってください。

もし、質問主が「よく分かりました!ありがとうございます!」とリプを返しているにもかかわらず、あなた自身は理解できなかったら、便乗してさらに質問してみましょう。

きっと教えたがりはあなたにも丁寧に答えてくれるはずです。


そうしていると、自然と自分が今勉強していない単元の復習もできて、忘れにくくなるはずです。





…というわけで、本記事では、数学を勉強する際の心の持ち方について、僕なりの考えを述べてきました。

共感できない方もいるかもしれません。そんな単純な話ではないですしね。

でも、この記事を読んで、少しでも数学に対して気持ちが軽くなってくれたら嬉しいです。


それでは、これからも勉強頑張ってください。
僕も自分の勉強頑張ります!(ちょうど来年の今ごろ国試…😱)

【医学部編入】生命科学講義・細胞の営み② ~細胞接着~

どうもこんにちは、タマころです。

いやぁ、一週間も更新が滞ってしまいました^^;
すみません。



それでは早速、内容に入りましょう。
前回やり残した細胞接着について、今回お話します。


細胞接着の種類

細胞接着には、大きく4つのタイプが存在します。

密着度の高い順に…

・タイトジャンクション
・接着帯(アドヘレンスジャンクション)
・接着斑(デスモソーム)
・ギャップジャンクション

となります。


図解としては、以下のようなイメージになります。

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(http://kusuri-jouhou.com/creature2/tokuchou.html)


右のやつは、接着帯と接着斑の拡大図ですね。


特にこのなかで重要なのは、最初と最後の2つ。


タイトジャンクション と ギャップジャンクション


正直なところ、医学的にはこの二元論になりがちです。

細胞間がピチッとくっついているか、ちょっと離れているか。

つまりそういうお話です。


しかし、編入試験的には真ん中の二つも出題されるので、4つの違いは理解しておく必要があります。


タイトジャンクション

先ほども言及したとおり、細胞同士がタイトに結合しています。

そのため、物質がその間を通過できません


これはいわば、バリアですね。

バリア・・・では、身体でバリア的な役割をする必要があるところはどこでしょう?

そう、身体の表面(消化管の内腔も含む)ですね。

外敵が入らないように、身を守らなければなりません。
もちろんそれ以外にも、細胞の間に物質を通過させないというのは、いろんな利点があります。

ということで、タイトジャンクションは特に上皮細胞で発達しています


また、この結合にはクローディン claudinオクルーディン occludin と呼ばれる接着分子が関与しています。


接着帯(アドヘレンスジャンクション)

この結合に間して最も重要なのは、おそらく接着分子がなにか?ということでしょう。


その名も

カドヘリン cadherin

というやつです。

カドヘリンの"カ"はカルシウムCaの"カ"です。それに接着を意味する adhere を足して、cadherin になります。

この名が何を意味するかというと、カドヘリンはCaイオン依存性であることを指しています。

つまり、EDTAのようなCaイオンのキレート剤を用いると、カドヘリンによる細胞接着はバラバラになってしまうのです。


あと大事な分子がもう一つあって、カテニン catenin という物質も関与します。

カテニンは、カドヘリンと細胞質のアクチンフィラメントとを連結させる橋渡しの役割をします。上図では省略されてますが、あの間に存在するというわけですね。


接着斑(デスモソーム)

こちらも接着分子が重要になってくるかと思います。


接着斑、またの名をデスモソームでは

デスモグレインdesmoglein

と呼ばれる分子がその接着に関わります。

デスモグレインもカドヘリンファミリーに属し、やはりカルシウム依存性です。

そして接着帯と同じように、デスモグレインは細胞内の中間径フィラメントと、デスモプラキンという分子を介して連結します。


それで、なんでデスモグレインが大事なのか、なのですが…

それは、ある病気に関わってくるからなんです。


天疱瘡


という病気、ご存知ですか?

細かく言えば色々種類があるのですが、一言で言えば皮膚の自己免疫疾患で、デスモグレインに対する自己抗体ができることによって発症します

というわけで、医学的にも重要ですので、是非押さえておきましょう。


ギャップジャンクション

ギャップジャンクションはその名の通り、細胞間にギャップがあるわけなんですが、隙間云々よりももっと大事なことがあります。

それは、トンネルがある、ということです。

トンネルがあることで、細胞間で何かしら物質が出入りできるのです。

さながらデパートの本館と別館をつなぐ連絡通路みたいなものですね。

そのトンネルによって、ギャップジャンクションを共有する細胞集団は、機能的に密に連携して働くことができるのです。


そのトンネルを作る分子をコネキシン connexin といい(コネクトしてるからね)、コネキシンが形成するトンネルそのものをネクソン connexon と呼びます。


そして、いろんな細胞に存在するギャップジャンクションですが、その中で特に有名なのは、心筋です。

というのも、心臓はたくさんの心筋細胞が集まって出来ているわけなのですが、それが同調して収縮できるのは、まさにこのギャップジャンクションがあるおかげなのです!





…というわけで、細胞接着の話は以上になります。

まあこれくらいの事を知っていれば、合格圏レベルの解答は書けるのではないかと思います。


次回は、細胞骨格について勉強します。今回出てきたアクチンフィラメントとか中間径フィラメントとかいう類のやつのことですね。


それでは、また。(^^)/

【医学部編入】生命科学講義・細胞の営み① ~細胞膜~

*注:この講義では分かりやすさを重視するため、内容に若干の不正確さがある可能性があります。
しっかりと学びたいという方は、成書による学習を併せて行うことを推奨します。


どうもこんにちは、タマころです。

ついに、生命科学の連載講義始めます!
今日からちょっとずつ、一緒に勉強していきましょう。


医学部学士編入の生命科学に特化して、その試験範囲を解説するブログというのはおそらく他に存在しないため、需要は少ないでしょうが続けていけばそれなりに価値のあるものになるのではと思っております!

ちゃんと更新が途絶えないよう、僕もがんばります。


さて第一回目の今回は、大きいタイトルは『細胞の営み』とありますが、特に細胞膜に注目しててみていきたいと思います!



細胞膜の存在意義

細胞膜はご存知の通り、細胞を取り囲んでいる膜のことですよね。

そして、これは「半透膜」と呼ばれる構造になっています。ここまでは常識ですね。

では、なんでこのような構造になっているのでしょうねぇ?


当然いくつか理由があるかと思います。
細かく挙げるとキリがありませんが、大きく以下の2つを挙げてみます。異論は認めます。


・細胞外からの物質の侵入を防ぐため

・細胞内外でイオン組成を変えるため


もし大抵の物質を通過させるような膜であったら、有害な物質がどんどん細胞内に侵入してしまうでしょう。
それは困りますね。

反対に、ほとんどの物質を(水すら)通さない膜であったら、たしかに外界の環境からは守られるかもしれませんが、細胞液の濃度管理がむずかしそうです。
これは主に「浸透圧」を意識して言っていますが、そのうち詳しく述べます。


あと、細胞膜上にはたくさんのタンパク質が浮いています。本当にいっぱい浮いています。これらのタンパク質は、細胞が生きていく上でとても重要な働きをします。

また、タンパク質によって作られたもあったりします。これのおかげで、ナトリウムイオンなどの電解質やその他の一部の大きな分子が細胞膜を通過できるようになります。


というわけで、細胞が生きていくために細胞膜の「半透膜」という性質が何より重要で、さらにそこにはいっぱいタンパク質が浮いていて、みんなが一生懸命仕事をしてくれているんですね。


細胞膜の組成

高校レベルで言えば、「リン脂質二重膜」ですね。

リン脂質という親水性の頭と疎水性の二本足から成る構造が、お互い足を内側に向けて二層になって膜を形成しているわけですね。


さらに編入試験では、構成成分の細かい名前まで覚える必要があります。あまり出題頻度は高くないような気はしますが。


具体的には…

外側の層には主に、ホスファシジルリン、スフィンゴリン脂質、スフィンゴ糖脂質が存在し、

内側には、ホスファシジルリン、ホスファシジルエタノールアミンなどが存在します。

そしてそれらに加えて、若干のコレステロールも混じっています。


ここらの話、さすがに絵がないと分かりづらいと思ったので、北大薬の生化学研究室のWebページにありました図を拝借させていただきました。


(http://www.pharm.hokudai.ac.jp/seika/images/2_research/fig7_link.jpg)

非常に綺麗で分かりやすいですね。

まあ、脂質の組成が上下非対称であることを知っていればとりあえず良いんじゃないでしょうか。


流動モザイクモデル

二層を形成しているリン脂質たちは、横方向には自由に動けます

なので、細胞膜表面はさながら大海なのです。

先ほども言ったように、細胞膜にはいっぱいタンパク質が突き刺さっているわけですが、それもふわふわ細胞膜上を漂うのです。


また、"脂質ラフト"と呼ばれる、スフィンゴ脂質とコレステロールに富む領域があります。
上の図の青い丸で覆われている領域ですね。

ラフト…つまり"いかだ"ですね。なんともぷかぷか浮いてるイメージが湧いてきます。

脂質ラフトは、膜を介したシグナル伝達や細菌やウイルスの感染細胞接着になどなど多彩かつ重要な役割を担います。

いかだにしてはやるじゃないか!と感じざるを得ませんね。


そして、こういった細胞膜の流動性の事を、流動モザイクモデルと言います。


細胞間の接着

基本細胞同士はくっついてますね。

だから、"のり"みたいなのがあるわけです。

その"のり"には種類がいくつかあって、それによって細胞間の距離が変わってきます。

しかし、話がぼちぼち長くなってきたので、これについては次回お話します。




それでは、今日はこの辺で。